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時 論


フリーアクセス制限にするな

 

 今次診療報酬改定・基本方針の最重点課題は「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」である。地域完結型医療の仕上げに向け「かかりつけ医機能を有する医療機関の初診を評価した」機能強化加算(80点)を新設した。地域包括診療加算等を届出した場合に加算できる。
 そもそも「かかりつけ医」は、医療法、医師法、健康保険法には規定されてはいない。
 社会保障審議会医療部会「医療提供体制に関する意見」(平成17年月8日)で「かかりつけ医は、国民が身近な地域で日常的な医療を受けたり、健康の相談等ができる医師」であり「患者の症状に応じて適切な医療機関を紹介すること」と記載された。
 ところが「社会保障制度改革国民会議報告書」(平成25年8月6日)では、フリーアクセスとは「いつでも、好きなところでと解釈されるものではなく必要な時に必要な医療にアクセスできる」という意味であり「かかりつけ医」はその「ゲートキーパー機能を備える」と変質させた。
 さらに社会保障審議会「議論の整理」(平成28年12月20日)では「かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担の導入を検討する」と明記した。
 今回、紹介状なし大病院受診時の定額負担の対象範囲が拡大(500床以上から400床以上に)された。また地域包括診療加算は、一患者につき一医療機関が算定する設定となっているが、患者向け説明書に他院受診時相談する旨を記載することとされた。
 「ゲートキーパー機能」を持たせた「かかりつけ医」への誘導はフリーアクセスを一層制限することになりかねない。さらにかかりつけ医以外受診時定額負担は登録「かかりつけ医」による人頭払い制に向かう危険性が懸念される。英国のNHSや米国のメディケアを想起させる。
 「かかりつけ歯科医」や「かかりつけ薬剤師」のあり方も議論されている。
 「かかりつけ医」は住民が安心して暮らせる「真の包括ケアシステム」を担うものである。フリーアクセスの制限、医療費削減の具とさせるわけにはいかない。


歯科診療報酬改定の留意点

 

 今次診療報酬改定の要点は、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進にある。
 改定項目を見ると、院内感染防止対策の実施を前提とした基本診療料(歯科初診・再診)が引き上げられたが、届出のない場合は減算となる。外来診療における基本診療料の減算は、医科の診療所にはなく歯科のみに導入されたもので、今後、診療報酬体系における減算(ペナルティ)の制度化への先駆けになりかねない。また、前改定で導入された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(か強診)については、外来環と歯援診の機能を併せ持つ体制があれば届出が可能であったが、今回の改定では、か強診、歯援診ともに体制の評価から地域連携に関する会議等への参加などの実績の評価へと施設基準の内容が大幅に引き上げられた。「か強診」の機能に新たに実績を課す項目を設けたことにより「か強診」とそれ以外の歯科診療所を区分する意図がさらに強まった。一方で、すでに「か強診」の届出をしている医療機関にとっても新たなハードルとなり、将来的には、医科で行われている「適時調査」が歯科でも行われ、締め付けが強化される可能性があり注視が必要である。
 さらに今次改定では、金属代替材料の普及の一環として、昨年12月からの下顎6番へのCAD/CAM冠の適用拡大に続き、高強度硬質レジンブリッジが導入された。予期せぬ脱離や破損などメタルフリーの安全性・安定性の向上は当然求められる。歯科医療の充実とそのための歯科医療費総枠拡大、診療報酬の抜本的引上げと改善は喫緊の課題である。それらを踏まえた上で、この機会にあらためてクラウン・ブリッジ維持管理料(補管)の在り方に関して十分な検討を行うべきではないか。
 4月から新たな診療報酬となるが、直近のものを除き施設基準の届出には猶予期間がある。地域における自院の立場、チーム診療で目指す歯科医療のスタンスをこの機会に検討し方向性を決めていく必要がある。


細分化・複雑化でより難解に
厚労省が30年度診療報酬改定で説明会

 

 厚生労働省は3月5日、地方厚生局の職員等を対象に平成30年度診療報酬改定説明会を開催した。保険局の迫井医療課長は改定概要の説明で「人生100年時代を見据えた社会の実現、地域包括ケアシステムの構築、制度の安定・持続性の確保」の3つの基本認識を踏まえ、人口動態など社会環境の変化などへ必要な対応を図ったと改定目的を解説。続けて点数告示、通知をもとに個別項目に関する解説と質疑応答が行われた。

  今次改定で大幅な再編が行われた急性期の入院料では、現行の一般病棟7対1及び10対1と、新設される急性期一般入院基本料の届出要件の相違点や、経過措置等が説明された。急性期一般入院料1は現行の7対1相当とし、急性期一般入院料2から7は看護配置10対1とした上で重症度、医療・看護必要度に応じて細分化された。
 また、重症度、医療・看護必要度も現行の評価方法を気箸掘⊃靴燭烹庁丕辰裡釘禿合ファイルを用いた兇良床舛魏辰病院が任意で選択可能としている。なお、患者割合が細分化されたため「3ヵ月を超えない期間の1割以内の一時的な変動は変更不要」の規定は適用されないこととなった。基準を下回る場合は直ちに変更の届出が必要となるため、これまで以上に患者割合に関する病棟管理には注意を要する。また、気鉢兇倭択、変更ともに自由であるが、変更時期は4月か10月の年2回に限られることも示された。

オンラインの取扱はガイドラインで明示

 外来ではオンライン診療に関する説明に質疑が集中した。
 通信機器等の具体的な通信手段などは、月内に示される「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン」に沿い改めて事務連絡等で示すと説明した。その他の質疑では、同一医療機関の医師2名が交代で行う場合は算定不可となること、離島などに居る患者で30分以内に診察できない範囲も算定不可と説明した。対象者は介護施設など住宅形態を問わず可能であるが、あくまでも1対1の診療が必要で、1対多で診療するケースは不可としている。
 また、オンライン診療料の新設に伴い、電話等による再診も対象が絞られた。緊急性が求められ、定期的な医学管理を前提とするものは除外することが明文化された。
 オンライン診療を通じて慢性疾患等の指導・管理を行う、オンライン医学管理料は、特定疾患療養管理料等と併せて算定することが要件とされているが、在宅自己注射指導管理料などを算定するため、実際に特定疾患療養管理料を算定しない場合でも、相応の診療が行われていれば算定可能とした。さらに、在宅患者に算定するオンライン在宅管理料については、在宅時医学総合管理料の加算点数となるため、オンライン診療のみの月では算定できず、訪問診療料及び在医総管の算定とセットであることが改めて示された。

複数医療機関で訪問診療可能に

 在宅医療では、主治医の依頼を受けて他の医療機関が訪問診療を行う場合の点数が新設された。在(施)総管等を算定する医療機関の依頼を受けることが要件で、6ヵ月を限度に複数の医療機関から訪問診療を受けることが可能となる。依頼を受けた診療科でなければ診療が困難なケースなどは、6ヵ月終了後さらに6ヵ月間訪問診療を更新継続できる。皮膚科に褥瘡治療や泌尿器科に尿路管理を一時的に依頼する場合等が想定される。ただし、依頼を受けた医療機関側では継続的に治療を行っても在(施)医総管は算定できない。

抗菌薬の適正使用では一部緩和も

 抗菌薬の適正使用の推進として、小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料に小児抗菌薬適正使用支援加算を新設し、地域包括診療加算等の算定要件にも抗菌薬の適正使用の普及啓発が加えられた。
 1月に出された「個別改定項目」の中では「抗微生物薬適正使用の手引」に則した治療手順等として示される予定であったが、長崎県保険医協会はじめ保団連が、診療報酬による一律の強制は裁量権の侵害と重症化への危惧があるとし、会員に緊急アンケートを実施するとともに、その結果をもとに厚労省に要請交渉を行った。これを受け通知案では「手引を参考に」と一部表現の緩和が図られている。
                   ◇ ◇ ◇
 なお、4月からの施設基準に係る新規、変更の届出は、北海道厚生局に4月16日までに受理されれば4月1日から遡って適用となる。また、今次改定に伴うQ&A(事務連絡)は月末に発出予定となっている。


    

 真の医科歯科連携を

 

 平成30年度診療報酬改定は6年に一度の介護報酬との同時改定となる。団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて、道筋を示す実質的には最後の同時改定となる。医療・介護両制度にとって重要な節目と位置づけられている。重要課題に地域包括ケアシステムの構築のための取り組みの強化を挙げ、医療機関等の連携の推進を強調している。
 医科歯科連携の推進では、歯科診療を行う上で必要な患者の検査結果、投薬内容等の診療情報の医療機関への照会・返書など、診療情報共有が評価された。また、診療情報提供料(機砲痢峪科医療機関連携加算」の算定が、在宅歯科医療を行う歯科診療所に拡大された。さらには、周術期等口腔機能管理を推進するため対象患者の拡大等の見直しが行われた。
 超高齢社会が進展する中で、80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合は50%を超えた。厚労省の患者調査では、歯科診療所を受診した65歳以上の患者は平成2年の13・4%から平成26年には41%に増加している。有病者が歯科医療機関を受診する機会も増える。
 周術期口腔機能管理は、術後の感染予防や在院日数の減少につながる。周術期口腔機能管理を実施する医療機関は年々増加傾向にあるものの、施設別内訳では大部分が病院併設歯科であった。医科医療機関が周術期口腔機能管理を実施していない理由として、受け入れ態勢の問題や周術期口腔機能管理の内容と歯科の実施医療機関が分からないなどが挙げられている。
 昨年12月に本会が実施した歯科保険診療に関するアンケートでは、医科歯科連携について、連携する医科医療機関、病院歯科が「ある」は、いずれも65・1%であったが、周術期口腔機能管理を行ったことが「ある」は22%にとどまる。
 制度上では医科歯科連携の推進が行われつつあるが、連携が十分とは言えない。地域包括ケアシステムを構築する上で、求められる歯科医療のため、医科歯科連携を充実したものにしていく必要がある。


公開医政講演会 今後の日本の医療制度を外観

 公開医政講演会を2月 17日、エムスリー株式会社 m3.com 編集部編集長橋本佳子氏を講師に迎え「爍横娃械鞠〞医療の行方を占う〜2018年度診療報酬改定を踏まえて」をテーマに開催し、道内各地より多数が参加した。

 佐々木広報部長の司会のもと、はじめに加藤会長より「医療制度という大きな流れの中、我々保険医は『2025年問題』さらにはその先の『2035年問題』を見据え対応していかなければならない。本日の講演がその参考になれば幸いである」と挨拶があった。

 引き続き行われた講演で橋本氏は、昨今の医療制度改革の背景や遠隔診療をはじめとする今次診療報酬改定について概説。さらに、今回のトリプル改定から見える日本の医療制度の将来を見通すための着眼点等について解説した。

 講演後に行われた質疑応答では、参加者から「遠隔診療について、自由診療も含めて議論を進めるとしているが具体的には」「医療界ではかかりつけ医制度を推進するとしているが、患者のフリーアクセスを阻害するのでは」「現在の医療制度を存続させていくために必要な変革や改善点は」等の質問が寄せられ、大変盛況だった。


歯科診療報酬改定答申概略 窮状打開には程遠い

 歯科診療報酬本体の改定率はプラスであったが、歯科の答申をみても、歯科医院経営の厳しい現状を打開し、抜本的に改善するためには程遠い内容と言わざるを得ない。前号での医科の診療報酬改定答申の概略に続き、本号では歯科部分の概略を述べる。

 今改定の詳細な内容は、今後の告示や通知を待たなければ分からないが、現時点での主な特徴を記載する。

 地域包括ケアシステムの構築を推進

  かかりつけ歯科医機能の評価として、か強診の施設基準の見直しで「う蝕や歯周病の重症化予防に関する継続的な管理実績」「歯科訪問診療実績について、かかりつけ歯科医と歯科支援診との連携実績を選択可能な要件の一つとして」「地域連携に関する会議等への参加実績」を要件に追加し、関連要件の見直しが行われた。また医科歯科連携を推進する観点から、慢性疾患を有する患者について治療を行う上で必要な検査値や処方内容等の診療情報を歯科医療機関と医科医療機関との間で共有した場合の評価として診療情報連携共有料が新設された。 質の高い在宅医療の確保では歯科訪問診療料の引き上げ、歯科衛生士を帯同して訪問診療を行った場合の評価の充実が行われた。

  安心・安全で納得のできる質の高い医療

  歯科外来診療において、日常的に唾液や血液に触れる環境下で多くの器具器材を用いて診療を行っているという特徴をふま安心・安全で納得のできる質の高い医療え、歯科医療機関における院内感染防止対策を推進するため、歯科初診料及び歯科再診料の引き上げを行うとともに施設基準が新設された。さらにライフステージに応じた口腔機能管理の推進として、歯管の加算に口腔機能の発達不全を有する小児には小児口腔機能管理料加算、老化等に伴い口腔機能の低下を来している高齢者には口腔機能管理加算が新設された。 新規医療技術の保険導入では、口腔機能評価に関する検査として、咀嚼能力検査等三項目が新設された。 また先進医療からの保険導入としては金属代替材料としてグラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた3ユニットブリッジ治療を評価し高強度硬質レジンブリッジが適応となった。

 その他の個別改定項目

 床副子に関する技術の見直しが行われ、口腔内装置1、2、3、睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置、舌接触補助床、術後即時顎補綴装置と分類が新たに変更された。が新たに変更された。 歯冠修復、欠損補綴においては、充填の準用で行われていたレジンインレー修復が非金属歯冠修復としてレジンインレー、硬質レジンジャケット冠として再編された。またポンティックについては金属裏装ポンティックが廃止となり、新たにレジン前装ポンティックが前歯、小臼歯、大臼歯に分類された。 さらに以前より問題となっていた特定薬剤料と麻酔薬剤の算定方法( 40 円ルール)が見直しされ、他の薬剤料と同じ算定方法となった。

 現時点での問題点

 改定率が、医院経営の改善には程遠い低さであることは言うまでもない。個別の問題として今改定では、継続的管理の実施実績とともに、歯援診や医科、他業種との連携の実績を施設基準に導入し、地域包括ケアシステムへの積極的な参加を要件に盛り込む等施設基準の強化が行われ、いわゆるはしご外しが行われる可能性がある。院内感染防止対策が盛り込まれたことは評価したいが、初・再診料に包括という形での、低評価で、施設基準を伴い導入されたことは問題である。施設基準未届出の医療機関は基本診療料が減算となるが、 患者のニーズに応えるために、すべての歯科医療機関が実効ある感染防止対策が行えるようにすべきであり、減算すべきではない。


新専門医荒海への船出


 4月から新専門医制度が始まる。新専門医制度は、従来各学会単位で整備した専門医制度が、認定基準等が統一されておらずわかりにくいとされ、専門医の質の一層の向上を目的に検討が始まった。そして、平成25年に「在り方検討会」の最終報告書が出されたが、その中で研修実施のハードルが高く、医師偏在をさらに助長するのではないか等、地域医療の現場から新専門医制度による医療崩壊の懸念の声が上がった。
 また、当初は原則としてすべての医師が何らかの基本領域の専門医を取得する方向で議論が進んだため、将来的には専門医の「ラベル」で国による医師の管理がなされるのではないかとの危惧が広がった。この時点で新専門医制度の議論は、当初の目的であったわかりにくさの解消や専門医の質の向上とはかけ離れたものだった。
 本会をはじめ医療団体等の疑問の声を受け、日本専門医機構の理事が刷新された上で、制度の1年延期が決まった。専門医新整備指針では、専門医取得は義務ではないことが明示され、地域の中核病院等も研修の中心であり、指導医のいない施設でも研修を行うことを認めるなど、大きな問題点は一見解決に向かったようにも見えた。
 ところが、新整備指針の発表後、厚労相は異例の談話を出し、機構や関連学会に対して応募状況や専攻医の配置状況の厚労省への報告を求めたうえで領域ごとの確認を行うとした。また、都道府県が機構に対して意見できる仕組みの法制化の動きもあり看過できない。専門医制度は医師のプロフェッショナルオートノミーに基づく制度であるべきで、国や行政による管理を許してはいけない。
 今年4月から研修を行う専攻医の一次登録では、外科の専攻医が5人以下が14県、そのうち3県は1人だった。このような状況が続けば地域医療の崩壊は必至である。また、機構からのデータの開示がほとんどなされていないことにも批判が出ており、透明性が求められる。
 多難の船出となるが、今後も注視が必要だ。


医療改善に程遠い内容

―診療報酬改定答申―

 中医協は2月7日、診療報酬改定答申書を加藤厚労大臣に提出した。新設項目や加点項目が散見されるものの、全体としてはマイナス改定を前提として急性期医療費を抑制し、在宅医療へ強引に誘導するものである。安心・安全な医療を提供するには程遠く、経営悪化も危惧される。

 2018年度の診療報酬改定率は本体がプラス0・55%(医科0・63、歯科0・69、調剤0・19%)だったものの、薬価と材料価格がそれぞれマイナス1・65%、0・09%で、全体で1・19%のマイナス改定となった。薬価の引き下げ分はまたしても本体に充当されなかった。
 領域ごとの代表的項目を記載する。

入院医療

 一般病棟入院基本料の再編・統合が行われる。現行の「7:1」「10:1」の入院基本料を、急性期一般入院基本料として7段階に細分化する。医療・看護必要度に応じた点数設定が行われるが、最も高い「入院料1」でも現行と同じ点数に据え置かれ、かつ医療・看護必要度が25%から30%に引き上げられ、非常にハードルが高いものとなる。必要度を満たせなければ低い入院料を選択せざるを得ない。そもそも、2016年から17年にかけての1年間で「7:1」を算定している病院は20病院、8200床減少している。今後の急性期の医療費削減の意図が明確に読み取れる。
 現行の「13:1」「15:1」の入院基本料は地域一般入院基本料として再編され、3段階に分類される。

外来・在宅医療

 病院は入院と専門外来、診療所はかかりつけ医機能を強化した外来・訪問診療という役割分担を一層明確にしている。
 「紹介状なしで大病院を受診した際の定額負担(初診5千円以上、再診2千5百円以上)」は、現行の特定機能病院および500床以上の地域医療支援病院から、400床以上の地域医療支援病院に対象が広げられる。これにより、262病院から410病院に増加するが、この定額負担による外来患者数の抑制や医師労働軽減効果は極めて限定的とされており、単なる患者負担の増加とアクセス制限を強いるだけで終わる危惧がある。
 かかりつけ医機能の評価として「機能強化加算(80点)」が新設される。初診時において、専門機関への受診の要否の判断等の医療機能を評価する点数で、地域包括診療加算等の届け出が算定要件となる。また、地域包括診療料も若干の引き上げと、医師の配置基準の緩和(常勤医師2名以上→入 院 医 療外来・在宅医療常勤換算2名以上の医師、うち1名以上が常勤)が行われる。診療所初診料と再診料はいずれも据え置かれた。
 在宅患者が複数の疾病を抱えている状況を踏まえ、他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合の評価も新設された。医療と介護の連携を推進するとして、在宅ターミナルケア加算も増点される。

透析医療

 腹膜透析や腎移植の推進に資する評価として、それらの取り組みの実績があれば、導入期加算に加点がある。しかし、慢性維持透析については時間数にかかわらずいずれも減点となっている。施設の効率性や包括された医薬品の実勢価格を踏まえた評価の見直しとしているが、80年代以降一貫して包括化を含む引き下げが行われてきた。また、透析液の水質確保に関する評価として、透析機器安全委員会を設置し、その責任者として専任医師又は専任の臨床工学技士1名以上の配置が義務付けられた。

遠隔医療の評価

 未来投資会議等からの圧力が強かった遠隔診療が新たな項目として評価された。オンライン診療料(70点、1月につき)およびオンライン医学管理料(100点、1月につき)の新設である。要件・基準として、初診から6月の間は同一医師が対面診療を行っている、連続する3月は算定できない、緊急時に診察可能な体制を有している等、一定の歯止めを設けているとは言えるが、今後、オンライン診療拡大の圧力は一層高まることが想定さる。対面診療の原則を守り、安易な拡大を許さない運動が必要である。また、オンライン在宅管理料や遠隔モニタリング加算も新設された。
 ICTを利用した死亡診断における連携として、死亡診断加算(在宅患者訪問診療料)の算定要件に「(前略)ICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行い、死亡診断加算を算定する場合は、以下の要件を満たしていること(後略)」が追加され、ICTを用いた死亡診断の診療報酬上の取り扱いが明確化された。

チーム医療の推進等推進等

 医師等の従事者の常勤配置に関する要件の緩和が行われる。医師については小児科・産婦人科・精神科・リハ科・麻酔科などの領域について、週3日以上かつ週24時間以上の勤務を行っている複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能となる。緩和ケア診療加算、栄養サポートチーム加算
等について、専従要件が緩和される。また、医師事務作業補助体制加算の見直しが行われ、若干加点される。

   ◇ ◇ ◇

 介護報酬改定はわずか0・54%の引き上げで、介護職員の処遇改善や介護サービスの向上には全く不十分なものである。診療報酬もマイナス改定で、6年に一度の同時改定は非常に厳しい結果となった。診療報酬は、98年を基準として10%も引き下げられたままであり、
今後の改善運動の継続が重要だ。
 本会では3月18日(日)に歯科(札幌ほか5会場)、25日(日)に医科(札幌)の新点数検討会を開催する。ぜひ、多数の先生が参加され、今後の経営に役立ていただきたい

 


歯科診療報酬改定への反映

 次期診療報酬改定の概要が明らかになりつつある。

 歯科においては、か強診の施設基準の一つである訪問診療要件の緩和と施設基準要件の選択制、院内感染対策への評価、診療情報提供料における医科医療機関への「照会」の評価、特定薬剤と麻酔薬剤の薬剤料算定に係る「 40 円ルール」の見直し、機械的歯面清掃の対象拡大等が行われる予定となっている。

 これらは、これまでの本会の主張が厚労省でも一定理解され、歯科診療報酬へと反映されてきたものであると確信している。か強診施設基準の訪問診療要件や、医科への照会は、現場の実態に即したものとなるよう、また、昭和 47 年から続いてきた薬剤料の「 40 円ルール」については、医科の「 15 円ルール」との格差是正で求めてきたものである。

 前回の改定では、歯管の文書提供の別途評価、ブリッジ支台の第一小臼歯前装冠の導入、咬合挙上副子の削合調整時の評価等が行われた。これらは、本会が毎年行っている「歯科保険診療に関するアンケート」においても、多くの会員から改善要望が出されてきたものであった。次期改定を含め、ここ数回の診療報酬改定の内容を見ると、本会の主張が数多く採り入れられたものとなっている。

 超高齢社会がますます進展する中で、8020の達成率は 50 %を超え、歯科のあり方も以前とは変化してきている。地域包括ケアシステムを構築する上で、求められる歯科医療や地域連携とは何かを考えていく必要があるだろう。医療改善には学術的なエビデンスが求められているが、医療現場のデータ「生の声」の集積こそが一番のエビデンスである。今後も、国民が地域で安心して暮らしていけるような歯科医療提供体制と、それに基づく診療報酬体系を求めていくために医療現場の声を伝えていく。

 次期診療報酬改定について、本会の歯科新点数検討会が、3月 18 日に全道6ヶ所で同日開催される。ぜひご参集の上、日々の診療に役立てていただければ幸いである


タスクシフティングの推進を

 医師の働き方改革で緊急取組を要請

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は1月 15 日、これまでの議論の中間とりまとめとして「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」と「中間的な論点整理」の骨子案を示した。医師法で定める応召義務のあり方や宿日直許可基準等について議論を進め、2018年度末に最終報告をとりまとめる。

 同検討会は昨年8月、医師の長時間労働の是正に向け、応召義務の特殊性を踏まえ対応することを目的に設置されたもの。早期の対応が求められる「緊急的な取組」の骨子案では、出退勤時間の的確な把握や36協定の点検、産業医等の活用等が示されている。特にタスクシフティング(業務の移管)の推進では、初療時の予診、薬の説明や服薬の指導、静脈採血・静脈注射、診断書等の代行入力等、実行可能なものから他職種への分担を進め医師の負担を減らすよう求めている。また、看護師に特定行為研修の受講を促し、一定の医療行為も担わせたい方針だ。

 今後の検討課題をまとめた「中間的な論点整理」では、政府の「働き方改革実行計画」を進める上で、医師の特殊性が問われる医師法第 19条(応召義務)との関係、研究業務との切り分け等医師の労働者性の問題等を議論、整理していくとした。また、この中でもタスクシフティング・タスクシェアリングの推進が掲げられており、看護師や事務職等医師以外が可能な業務の明確化や、複数主治医制の導入等も提案されている。

 両骨子案の中では、タスクシフティングについて、特に大学病院での取り組みが遅れていると指摘し、要因分析と推進方策を検討するよう求めている。こうした中、昨年末から複数の大学病院で 36協定の不備、時間外労働の賃金未払い等、長時間労働を伴う不適切な労務管理について労働基準監督署の是正勧告を受けており、安倍首相も今国会で「働き方改革」を重要テーマと位置づける等政府の本気度がうかがえる。労働法制の強化や診療報酬上での誘導等、今後の政策によっては民間医療機関でも対応を迫られてくる。


ダブル改定の骨格明らかに

 診療報酬・介護報酬3月に大臣告示

 4月1日からの診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、改定の具体項目が明らかになった。1月24日の中医協総会では「個別改定項目」が、26日の社会保障審議会介護給付費分科会では平成30年度介護報酬改定の諮問、了承が行われた。「地域包括ケアシステムの推進」を共通の視点に据え、かかりつけ機能の強化や医療機能の分化、地域連携強化へのインセンティブを強める。診療報酬は3月上旬に、介護報酬は3月中旬までに大臣告示が予定されている。

 外来 かかりつけ機能の強化とICTの活用促進

  外来では地域包括診療加算が、在宅患者への24時間対応の要件により1と2に区分される。1は24時間の「往診等の体制」で、2は24時間「連絡体制」と評価を分けた。さらに、同加算等、かかりつけ医機能に係る診療報酬の届出をしている医療機関では、専門医療機関での受診の要否を判断した場合、初診料に新たに機能強化加算が設けられる。かかりつけ医の普及に向け評価を高めた。

 ICTの活用では、オンライン診療料、オンライン医学管理料が新設される。一定期間を経過した慢性疾患患者にオンライン診療と対面診療を組み合わせて行うことが要件となる。在宅患者にも在宅時医学総合管理料にオンライン在宅管理料が新設される。これらに伴い、従来の電話再診については定期的なものは除外され、病状の急変等に限られる扱いとなる。

 在宅医療では、在宅時(施設入居時)医学総合管理料を月2回算定する患者は一定の重症者に限定されることとなった。

 美容目的の使用がメディアで報道された皮膚保湿剤の算定は、治療との関連、医師の使用判断が要件に加えられる。

  入院 急性期病床を再編し段階的評価へ

 入院医療では、7対1と10対1の一般病棟入院基本料が統合し、急性期一般入院基本料に再編される。看護配置10対1を基本とし、患者の看護必要度割合に応じて段階的に点数を引き上げ、看護配置も厚くする仕組みだ。最も高い評価は現行の7対1相当の見込みとなる。

 データ提出が算定要件となる入院料が拡大される。対象は、回復期リハビリテーション病棟入院料1、2、3(3は200床未満)、療養病床入院料(200床以上)、10対1一般病棟入院料とされ、導入に際し一定の経過措置期間が設けられる見込みだ。

  介護報酬改定

 介護報酬は「地域包括ケアの推進」「多様な人材の確保と生産性の向上」等4つの視点から改定項目が検討されている。

 医療系サービスの個別の改定項目では、居宅療養管理指導が現行の「同一建物居住者」と「同一建物居住者以外」の区分から、診療報酬の在宅時医学総合管理料の人数区分に準拠となる(1人、2〜9人、10 人以上)。なお、看護師による居宅療養管理指導は廃止となる。訪問看護では集合住宅減算が拡大される。同一・隣接敷地内の建物で利用者が50人以上の場合は現行の10%からさらに減算幅が拡大する。

 施設サービスでは介護療養病床の転換施設として、介護医療院が新設される。2つの類型に区分され、人員配置は儀燭病院における療養機能強化型介護療養病床に準拠、況燭楼綮佞般剤師は老人保健施設に準拠する。また、転換の支援策として、療養病床からの転換の場合は、大規模修繕まで療養室(病室)の床面積、廊下幅の基準が緩和される。加えて平成33年3月までの措置として、転換後のサービスの変更内容等を丁寧に説明すること等を評価した加算が、転換後1年間に 限って算定できる。介護医療院が行う居宅サービスについては、ショートステイ、通所リハビリ、訪問リハビリの3種類とし、訪問看護、居宅療養管理指導は提供できない扱いとなる。

 4月からの同時改定に伴い、本会では会員対象に改定内容の解説テキストを無償配布し、3月18日には歯科(札幌ほか5会場)、同25日には医科(札幌)が新点数検討会の開催を予定している。


医療者不在の「遠隔診療」に懸念

 

 次年度診療報酬改定に向けた議論が大詰めを迎えている。外来診療での目玉の一つは「遠隔診療」の評価に関する議論である。今回の動きは医療界の要望ではなく、規制緩和と評価拡大を求める遠隔ビジネス業者と成長戦略の一環と位置付ける政府の思惑が一致したものと言わざるを得ない。
 そもそも医師法20条は、無診察での医師の治療を禁止している。遠隔診療に関して、国は97年厚生省健康政策局通知で、離島・へき地など対面困難、病状が安定している患者などを対象に、対面診療を補完する形で限定的に認めてきた。しかし厚労省は、平成27年6月に閣議決定された「日本再興戦略2015」を受け、従来の方針を大幅に変更する通知を示した。つまり、対象地域や対象疾患は限定されず、患者の心身への有用な情報が得られれば電子メールなどでも医師法違反ではないとした。このあと、ベンチャー企業を中心に遠隔医療関連ビジネスが活発化することになる。
 安倍首相は本年4月、政府の「未来投資会議」で「診療報酬上の評価を行うとともに、遠隔診療の推進により、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理の効率性を飛躍的に向上させていく」と宣言した。
 一方、厚労省も7月、再度「遠隔診療」の規制緩和についての周知・明確化に関する厚労省医政局長通知を発出し、すでに自由診療での「禁煙外来」が始まっている。さらに、ICTを利用した「遠隔看取り」も検討されており、まさに政権の意向を忖度した方針転換である。
 近年ICTが進歩する中、離島やへき地などの通院困難な環境や状態にある患者への活用は今後必要になると思われる。しかし、現在国が進めようとしている「遠隔診療」は、医療費削減を目的とした、公的医療保険制度を利用した新たな営利産業の推進である。
 医療の質、安全性、信頼性のエビデンスが担保されないままの、野放図な「遠隔診療」の普及はわが国の医療を変質させる危険性があり、議論の行方に十分な監視が必要と考える。


 高薬価を生み出す薬価算定制度 

  日本の医療費に占める薬剤費の割合は、OECD諸国の中でもっとも高い。その割合は2009年には 30%を超え、近年も増加し続けている。今回、高薬価を生み出す薬価算定制度の構造的問題点を解説する 薬価算定のプロセス 製薬企業が薬事承認された新薬を薬価収載したい旨の希望を出すと、厚労省医政局経済課が製薬企業にヒアリングして下裁きをする。その指導を受けた製薬企業は薬価算定に係る資料を同省保険局医療課に提出し、保険適応の可否、類似薬効比較方式等の区分、加算の有無、加算率等について検討され、原案が作成される。

 薬価算定組織はその原案をもとに算定案を策定する。その算定案に製薬企業は不服がある場合には不服意見書を提出し、薬価算定組織で再検討される。最後に中医協総会で算定案が追認されると、薬価基準に収載される。

 高薬価を生み出す要因

 (1)非公開の薬価算定組織

 薬価算定組織は、算定案を作成する重要な役割を担うにもかかわらず、この組織の議事録やメモは一切存在しない。さらに、会議も非公開である。

 このような状況では算定案の妥当性を検証することも困難である。

  保団連は、厚労省に対して薬価算定組織の審議内容・資料の公開を強く要望している。しかし、厚労省は「機密性の高い情報を扱うため非公開はやむを得ない」としており、こうしたブラックボックスな算定過程が高薬価を生み出す大きな要因となっている。

 (2)補正加算の存在

  新薬の薬価算定にあたっては、類似薬がある場合とそうでない場合に分けられる。類似薬がある場合、新規性がある場合には類似薬効比較方式(機法⊃卦性に乏しい場合は類似薬効比較方式(供砲濃残蠅気譴襦その他、類似薬がない場合には原価計算方式で算定される。

 類似薬効比較方式(機砲涼罎砲蓮△気泙兇泙癖篝飢短擦設けられている。補正加算は、2年毎の薬価引き下げの一方で、これまで定期的に引き上げられている。その中の画期性加算は薬価本体を超える場合や、2014年の薬価制度改定では先駆導入加算がこっそり導入されており、これらの加算によって薬価がさらに釣り上げられていく。

 (3)原価計算方式

 原価計算方式は、電気料金を決める総額原価方式に似ている。原材料費のみならず営業利益や流通経費まで、ありとあらゆるコストの積み上げを行って算出される。しかし、驚いたことに厚労省は積み上げられた原価の検証を行っていない。これでは製薬メーカーの言い値である。緊急に引き下げられた「オプジー(R)」は類似薬がないため、原価計算方式で算定されていた。

 (4)外国平均価格調整

 薬価算定が行われた後に、外国平均価格調整が行われる。具体的には、米国、英国、独国、仏国の4カ国の価格の平均額(外国平均価格)を出し、それから薬価算定された額が1.25 倍を上回る場合は引き下げ調整が行われ、逆に外国平均価格の0.75倍を下回る場合には引き上げ調整が実施される。

 保団連は「参照する価格リストが、英独仏は薬局マージンを含み、米国は企業の希望小売価格となっている」と指摘し「日本の価格と適切に比較するには、マージンを除外することや実勢価格を採用する等、補正が必要」と言及している。

  ◇  ◇  ◇    

 薬価制度改定に向け、厚労省は抜本改革の「骨子取りまとめ」を12月中に公表する予定であるが、ここ数年「オプジーボ(R)」のような超高額薬剤の出現で薬剤費が膨張し、国保や保険者の財政を圧迫している。

 保団連は新薬の高薬価構造の是正に向け、薬価算定過程の透明化や新薬創出加算の廃止等を求める「『薬価制度の抜本改革』等に向けた要望書」を厚労省に提出しているが、国民皆保険制度を堅持するためには早急な薬価算定制度の抜本的改革が必要である。


消費増税に続く 新たな負担増

  安倍首相は「全世代型社会保障」を掲げ、社会保障4経費に充てる消費増税財源の使途を変更し、幼児教育や高等教育の無償化、待機児童解消等を目指すと述べた。一方、使途変更による医療介護財源の縮小と社会保険方式による「こども保険」という応能負担によらない新たな負担増が計画されている。

 内閣府は、幼児教育・保育・子育て支援の充実を図るためとして、消費増税による1兆円規模の財源と、消費増税以外に約0・3兆円の財源確保を見込んでいる。

 子育て支援の財源確保が困難となり、本年3月自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」は「こども保険」制度の提言案をまとめた。骨太2017には「新たな社会保険方式の活用を含め安定的な財源確保の進め方を検討」し「社会保険方式」(「こども保険」)による財源確保が明記されている。

 「こども保険」は、子どもの出産育児における偶発的な保険事故に備える保険とは本質的に異なり、拠出を前提として給付されるが、給付の可能性がない世帯からも保険料徴収がなされる。日本は社会保障給付費の9割以上を社会保険方式で実施しており、社会保障財源の中で社会保険料収入の占める比重が大きい。社会保険料負担は先進諸国で最上位を占め、個人の所得税負担より社会保険料負担の方が大きいのは、主要国中で日本だけだ。低所得者や無所得者にも保険料負担が強制される。

 近年、保険料の引き上げや自己負担の増大、国庫負担の引き下げや社会保険給付の抑制強化等により制度は劣化している。社会保険制度そのものが、きわめて保険主義的で、私的保険に近い制度に変容し「負担なければ給付なし」という「保険原理」のみが強調されてきた。 消費増税によっても、医療・介護・子育ての充実は得られず、格差拡大と生活困窮が広がっている。応能負担に基づく医療・介護・子育て等の社会保障の充実に資するよう「こども保険」の進捗状況を注視する必要がある。


これ以上の診療報酬、介護報酬マイナス改定を許すな

 

 厚生労働省は2016年度の概算医療費が前年度比約2000億円少ない41・3兆円になったと公表した。昨年まで概算医療費は増加を続けていたが、14年ぶりに減少。厚労省は16年度の診療報酬改定のほか、高額のC型肝炎治療薬ソバルディ、ハーボニーの薬価引き下げの影響が大きいと説明している。
 実際にこれらの薬を含む薬剤費は前年度比1432億円減少している。
 福祉医療機構の16年度経営分析参考指標によると、一般病院の医業利益率は16年度には前年比0・7ポイント減の0・4%、療養型病院でも1ポイント減の4・6%と減少し、診療報酬のマイナス改定による病院の経営状態の厳しさが顕著となっていた。
 社会保障費の自然増抑制は13年度から5年間の累計が1兆4600億円に上り、16年度は診療報酬マイナス改定により1500億円圧縮された。さらに来年度も自然増6300億円を5000億円に抑制し、1300億円を削減する方針だ。
 財務省は社会保障費抑制のポイントとして、75歳以上の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる、低所得でも資産が豊富な高齢者は医療・介護の負担を増やす、18年度診療報酬2%以上のマイナス改定、かつ診療報酬本体の引き下げ、介護報酬のマイナス改定などを求めている。
 今回の衆議院選挙では自民党が大勝。安倍首相は「同じ総裁で3回連続勝利したのは結党以来初めて」と政権運営に自信を見せ、安倍一強時代が続くこととなった。そして消費税の使い道を子育て世代、子供たちに大胆に投資、変革することで「全世代型社会保障」へ大きく変革すると訴えている。来年度の社会保障費自然増の5000億円の中には「全世代型社会保障」への改革費用も含まれる可能性があり、そのしわ寄せが診療報酬、介護報酬の削減などに回れば、大幅なマイナス改定を強いられる可能性もある。
 医療、介護崩壊を招かないためには、これ以上の診療報酬、介護報酬のマイナス改定を許してはいけない。


介護医療院創設をめぐる議論大詰めを迎える

2018年度介護報酬改定に向け、社会保障審議会介護給付費分科会において「介護医療院創設」、17年度末で廃止予定の「介護療養病床再編計画等」の検討が進められている。介護医療院の要件厳格化等も議論されており、厳しい介護報酬改定が懸念される。

療養病床の現状

 16年4月時点で、介護療養型医療施設は1320事業所、約5万9千床で10年前と比して約50%に減少した。
 同医療施設は、医療必要度が低いとして18年3月末に廃止が決まっているが、15年度調査の結果、他の介護保険施設に比して、喀痰吸引、経管栄養等多くの医療処置や看取りが実施されており医療機能が評価され、その機能の存続が認められた。老人性認知症疾患療養病棟では、約70%の患者が医療保護入院である。また、約49%がBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)に対応している。
 15年度介護報酬改定において、介護療養型医療施設は、喀痰吸引・経管栄養等の医療処置や看取り・ターミナルケアを中心とした長期療養を担う療養機能強化型A・Bが創設され46%の施設で算定されている。

新たな施設類型 介護医療院

 「療養病床の在り方等に関する特別部会の議論の整理」では、介護医療院の「医療を内包した新たな施設の基本設計」は、日常的な医学管理と重介護者の生活施設としての機能が求められる。利用者像は、介護医療院(機砲浪雜醂斗槁他価蠹で主として療養機能強化型A・B相当、介護医医療院(供砲蕨型擁欸鮖楡濮蠹以上で前者より容体が安定した者とし、現行の利用者を引き続き受け入れる。

転換支援策と再編

 介護療養病床及び医療療養病床からの転換に関し、必要入所定員総数は設定せず、またこれ以外の転換支援措置も継続予定である。現行の介護療養病床は経過措置があるが17年度末で廃止され、新たな類型として介護医療院を設置、地域医療構想に沿った療養病床の再編が行われる。また、介護療養病床は、現行の療養機能強化型と老健施設の二つの類型へ転換、又は25対1病床の一部を20対1病床へ転換する動きもある。
 独立行政法人福祉医療機構が行った療養病床の転換移行アンケートでは、転換先として療養機能強化型A・Bを運営する病院の50%が介護医療院(機砲髻14%が同(供砲魑鵑欧拭2雜邂緡撤^奮阿任蓮◆岼緡迭杏佞鰻拭糞鐔札好據璽垢醗緡典ヾ悗諒酸漾法廚眦彰浩荼補とされる。
 介護医療院への転換が予想される病床は約20万床に上る。介護医療院創設に伴い、介護療養病床転換の猶予期間は23年度末まで6年間延長され、第7期介護計画では療養病床から介護医療院への転換は総量規制対象外である。

むすび

 療養病床が介護医療院として存続することで、地域包括ケアシステムの拡充が期待される。一方、療養病床再編後も医療費・介護費増加が想定され、医療介護報酬抑制が懸念される。介護医療院は医療必要度の要件厳格化等により療養病床の医療必要度の低い患者は強制的に在宅へ押し出され、医療介護難民の増加が懸念される。
 介護の被保険者一人あたり給付費に地域差がある。これを縮減するため保険者機能を強化し、保険者による介護費用削減を目指すインセンティブが導入される。その結果、病床削減が加速する懸念がある。必要な医療介護提供体制が確保され、医療介護崩壊が生じないよう注視が必要だ。


保団連 医療研究フォーラム

 一人ひとりの尊厳を守る社会をめざして 

第 32 回保団連医療研究フォーラムが 10 月8〜9日に名古屋市で開催され、全国から約550名が参加した。

 初日は記念企画として、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏と諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏による対談が行われ「今をどう生きる〜子や孫が安心して暮らせる社会をどう残すか」のテーマで、科学者と医師の立場から子どもたちの未来、平和への思い等について語った。

 2日目は、8分科会とポスターセッションが行われ、本会からは、猫塚義夫先生(勤医協札幌病院)と堀元進先生(旭町医院)が発表した。

 猫塚先生は「パレスチナ、ヨルダン川西岸と『ガザ地区』における医療支援活動の報告」として、難民キャンプの実態と活動内容、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)や現地医療関係者との連携の重要性を述べた。堀元先生は「在宅医療現場から見た『地域包括ケアの行方﹄」とのタイトルで「機能強化型在宅支援診療所」の現状調査から国は何をすべきであるかを考察した。


 事務作業の効率化のためにレセプト様式等の変更を検討  

 

「診療報酬に係る事務の効率化・合理化」では 〇楡澳霆爐瞭禄亶猝椶篌蠡海等の合理化入院診療計画書等の各種様式の内容や必要性の精査 レセプト摘要欄への記載や添付資料の廃止・見直しの3点が検討項目として挙げられた。

 

請求事務の効率化に向けた見直し  

 ,砲弔い討六楡澳霆爐陵弖錣示されている告示・通知の記載に曖昧な部分があり、算定可否の判断に苦慮する場合があるとして、届出の省略や簡素化等を進めるとしている。これまでも、解釈が判然としない基準要件が示され、その後に発出請求事務の効率化に向けた見直しされる事務連絡(疑義解釈)で補足するということが続けられてきたのが実情だ。将来的には簡素化した上で、オンラインでの届出や報告・受理通知等を目指すことも検討するとした。

 △砲弔い討六楡澳霆爐涼罎能蠶蠅陵夕阿傍載し作成が要件となるものについて、内容や必要性を精査するとした。入院時に患者に交付する入院診療計画書では、治療計画や栄養管理計画、リハビリテーション計画等、多岐にわたる記載項目があり、さらに入院から7日以内に交付することが義務づけられている。

 こうした様式の作成が現場の負担となっていることを踏まえ、診療録等から既に得られる情報は簡略化する、一定期間で評価を行う様式は頻度を減らす等、負担軽減への対応が示されている。

 についてもレセプトの摘要欄にフリーテキスト形式で記載するものや、別途資料の添付が求められるものがあり、効率的な事務処理を阻害していると指摘。該当項目を選択制にする等の見直しが考えられている。具体的には 表1 にある通り、在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定要件には1月に2回以上実施した場合、現行の規定ではその理由を文章で記載する必要がある。これに対し見直し案では、該当する項目を選択して記載するとしている。現在までに128の見直し項目を抽出しており、これらは次回改定からの対応が見込まれている。

 同様にレセプトの添付資料についても、算定要件を満たすか否かを判断するために不必要なものは廃止するか摘要欄への記載に変えていくとした。同項目も11の見直し項目が抽出されており、次回改定で反映される見込みだ。さらにの検討内容は医科だけなく、歯科・調剤のレセプトについても同様に見直しを行うことが確認されている。

 

診療情報の利活用で分析・評価を推進

  「診療報酬にかかる情報の利活用」の推進では .譽札廛箸亡擬圓僚蚕蠑霾鵑ない⊃芭店坩戰魁璽匹実臨床に即したコード体系になっていない 傷病名や診療行為の選択が統一されていない た芭甜太咼如璽燭侶措阿様々で分析が容易でないといった観点から見直しが図られる。

 ,砲弔い討魯譽札廛箸亡擬圓僚蚕蠑霾鵑無いため、地域単位での医療提供体制や地域差に係る分析・評価等が困難との指摘に応えるものだ。またカタカナ表記が無いため介護保険との紐付けが出来ず、分析が出来ないことも問題視している。今後はレセプトに患者の住所地の郵便番号(7桁)及び氏名のカタカナ記載診療情報の利活用で分析・評価を推進を求め、導入に当っては医療機関やシステム等への影響を確認した上で、必要に応じて経過措置期間を設けるとしている。

 ↓については、手術の多様化・高度化によって多くの手術手技が生まれてきたものの、手術分類(Kコード)が様々な手術手技を分類するものとして十分な体系化がなされていないとして、国際的に標準化された用語や分類を参照したマスター等の整備・普及が重要と指摘している。今後は外保連手術試案の手術の基幹コード7桁(STEM7)をKコードに活用可能かどうか検討していく。

 次回改定ではデータ提出加算で提出されたデータにおいてKコードにSTEM7を併記する欄を設け( 表2 )データを収集する。その結果を踏まえ次々回以降の改定で導入・再編する方針だ。

 

 負担軽減には賛意も慎重な対応を 今回の提案について、中医協の診療側委員は、請求事務の効率化、簡素化に関し概ね賛同を示したものの、レセプトのカタカナ記載について「古いレセコンでは対応できず、買い替え等の費用負担が発生する」。また、レセプト様式の全体的な変更についても「小規模医療機関には事務・費用の双方の負担が大きい」と慎重な対応を求める意見も相次いで出された。フリーテキストに関しても、症状詳記をする上で必要との主張も見られた。

 書類作成に忙殺される医療現場において、負担軽減対策は必要な施策であるが急激な改編は医療現場を混乱させる可能性があり、費用負担や移行への経過措置等、医療機関への一定の配慮は必要とされる。また、診療報酬の情報に係る利活用に関しても、ビッグデータの活用、医療の標準化、不当な審査の厳格化等に繋がる懸念もある。次回改定以降も継続的な審議が予定されており、今後の動向を注視していく必要がある


 700万人時代 

 我が国の認知症の人は2012年で460万人、65歳以上高齢者の約7人に1人だという。これが2025年には700万人(同約5人に1人)に達すると推計されている。わずか10余年で1・5倍。 25年はいわゆる団塊の世代が75歳以上となる年、地域包括ケアシステム実現の目標元年である。「700万人時代」に向けて行政、医療・介護界を挙げての対応が始まっている。一方で、既に現実となったもう一つの「700万人時代」がある。発達障害だ。

 厚労省によると、発達障害の人は疑いを含め700万人。小中学生の約6・5%に発達障害の可能性があるとする文科省の調査報告もある。近年、芸能人のカミングアウトやメディアの啓発等により世間の認知度は上昇しているが、医療・福祉からのニーズに対応が追いついていない。

 総務省の調査では、発達障害の専門医療機関における初診待ち期間は平均3ヶ月以上、当事者・家族の生活や就労に関する支援を行う発達障害者支援センターの相談件数も昨年度は7万4千件を上回った。診療・支援を巡る体制はパンク状態だ。

 こうした状況に対し厚労省も、18年度概算要求で発達障害児・者の支援施策予算として今年度当初予算比3倍を計上し、専門医の養成・専門医療機関の確保・就労支援の強化に乗り出した。来年4月から、企業が障害者の法定雇用率の中に精神障害者を含めることが可能となり、精神障害の手帳を持つ発達障害者の雇用も増えるであろう。専門医に加えて非専門の産業医にも対応が求められる場面の増加が予想される。非専門医を支える医師や多職種の養成を含め、発達障害「700万人時代」への対応が急務である。

  17年度改定の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)には、認知症サポート医の養成に加え、予防・早期発見を含めた歯科医療機関の認知症対応力向上が盛り込まれている。認知症グループホーム協会は18年度介護報酬改定に「口腔衛生管理」関連加算2項目の新設を要望した。本会においても、医科歯科連動の対応が急務である。


費用対効果評価の思考的導入に向けて

 厚労省は 10 月4日、第362回総会を開催した。総会では、費用対効果評価の試行的導入にあたり、費用対効果評価専門部会での検討状況を踏まえながら、費用対効果評価専門部会、薬価専門部会及び保険医療材料専門部会を合同で開催し、価格調整方法について検討を開始した。

 費用対効果評価専門部会

 費用対効果評価の試行的導入に向けた「総合的評価」(アプレイザル)に係わる5項目の論点を提起した。⑴価格調整を見据えた評価結果の示し方では、各品目の複数の分析結果(ICER)及び倫理的・社会的考慮要素に基づく、連続的な価格調整を行うこと⑵基準値の設定では「1QALY獲得のために支払う金額調査結果」や具体的な評価基準が公開されている国のうち、日本と生活水準が近い英国の評価基準を参考に設定し、それらを活用した価格調整の具体的な方法については、薬価専門部会等の合同部会で検討する⑶ICERが得られる場合の対応では、複数の適応疾患等を持つこと等により、複数のICERが得られる場合の対応は、それらを使用患者割合等で加重平均し総合的評価に用いる⑷ICER算出不可品目の評価方法では「効果増大、費用削減」または「効果同等、費用削減」の旨や、当該品目の費用対効果評価に使用した比較対象品目(技術)との比較方法、比較結果等を記載する⑸倫理的、社会的考慮要素では、ヾ鏡症対策といった公衆衛生観点での有用性公的医療の立場からの分析には含まれない追加費用(中医協における費用対効果評価ガイドラインで認められたものに限る)重篤な疾患でQOLは大きく改善しないが生存期間が延長する治療、希少難病等ぢ綢惻N鼎十分に存在しない治療とする。

三部会合同部会

  費用対効果評価専門部会での論点提起について、評価結果が薬価(材料価格)に影響する範囲を「薬価・保健医療材料価格の全体」か「加算分のみ」とするかで意見が対立した。

 支払側の幸野委員は「改定毎に薬価(材料価格)が変動する中、加算分とそれ以外を分けることは不可能」と指摘、その上で「評価結果は、薬価(材料価格)全体に補正を掛けるべき」と主張し、診療側の今村委員も賛同した。

 対して、業界代表の加茂谷専門委員は、現行の薬価算定のルールとの整合性を強調「評価は加算の範囲内にとどめるべき」と主張した。

医療業界からの意見聴取

 医薬品業界及び医療機器業界から費用対効果評価に対する意見陳述があった。

 ・費用対効果評価に係わる検討は、試行対象企業に大きな負担がかかっていることを考慮し、我が国の薬価基準制度との整合性を踏まえた、慎重かつ丁寧な議論が必要・費用対効果評価は、薬価基準制度における新薬の価値評価のあくまで補足的な手法として限定的に位置づけられるべき

 ・アプレイザルについては、他国に同様の例がないICERによる評価基準の設定について慎重に検討を行うとともに、倫理的・社会的影響等に関する観点からの評価も十分に反映すべき

 ・薬価の調整範囲は、薬価算定における加算率の補整に限局すべきであり、加算前の価格を下回る調整については、断じて容認できない

 診療側の万代委員は、医薬品の価値評価の定義がない上、価値評価として様々な意味が含まれる中で費用対効果評価を考えるのであれば、加算率の補整に限局することに納得し難い。全体として費用対効果評価を考えていくべきと述べた。

その他の検討課題

 費用対効果評価の結果を償還の可否の判断に用いることについて、仮に償還しないとする場合、薬事承認されたものを保険適用とするという従来の原則を根本的に変えることになるが、その合意はまだ得られておらず、国民の目から見て医薬品等にアクセスの制限が加わるということは受け入れ難いのではないか。これまで、原則として有効性・安全性等が確立した医療は給付の対象とされてきたことを踏まえ、費用対効果評価の結果は、原則として保険償還の可否の判断には用いず、価格調整に用いる位置づけとすることとしてはどうか等の指摘がなされた。

 ノバルティスが、薬が効いた患者にのみ支払いを求める成功報酬型の薬を日本で販売できるように働きかけることを検討しているとの報道もあり、今後も注視していかなければならない。


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