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新専門医荒海への船出


 4月から新専門医制度が始まる。新専門医制度は、従来各学会単位で整備した専門医制度が、認定基準等が統一されておらずわかりにくいとされ、専門医の質の一層の向上を目的に検討が始まった。そして、平成25年に「在り方検討会」の最終報告書が出されたが、その中で研修実施のハードルが高く、医師偏在をさらに助長するのではないか等、地域医療の現場から新専門医制度による医療崩壊の懸念の声が上がった。
 また、当初は原則としてすべての医師が何らかの基本領域の専門医を取得する方向で議論が進んだため、将来的には専門医の「ラベル」で国による医師の管理がなされるのではないかとの危惧が広がった。この時点で新専門医制度の議論は、当初の目的であったわかりにくさの解消や専門医の質の向上とはかけ離れたものだった。
 本会をはじめ医療団体等の疑問の声を受け、日本専門医機構の理事が刷新された上で、制度の1年延期が決まった。専門医新整備指針では、専門医取得は義務ではないことが明示され、地域の中核病院等も研修の中心であり、指導医のいない施設でも研修を行うことを認めるなど、大きな問題点は一見解決に向かったようにも見えた。
 ところが、新整備指針の発表後、厚労相は異例の談話を出し、機構や関連学会に対して応募状況や専攻医の配置状況の厚労省への報告を求めたうえで領域ごとの確認を行うとした。また、都道府県が機構に対して意見できる仕組みの法制化の動きもあり看過できない。専門医制度は医師のプロフェッショナルオートノミーに基づく制度であるべきで、国や行政による管理を許してはいけない。
 今年4月から研修を行う専攻医の一次登録では、外科の専攻医が5人以下が14県、そのうち3県は1人だった。このような状況が続けば地域医療の崩壊は必至である。また、機構からのデータの開示がほとんどなされていないことにも批判が出ており、透明性が求められる。
 多難の船出となるが、今後も注視が必要だ。


医療改善に程遠い内容

―診療報酬改定答申―

 中医協は2月7日、診療報酬改定答申書を加藤厚労大臣に提出した。新設項目や加点項目が散見されるものの、全体としてはマイナス改定を前提として急性期医療費を抑制し、在宅医療へ強引に誘導するものである。安心・安全な医療を提供するには程遠く、経営悪化も危惧される。

 2018年度の診療報酬改定率は本体がプラス0・55%(医科0・63、歯科0・69、調剤0・19%)だったものの、薬価と材料価格がそれぞれマイナス1・65%、0・09%で、全体で1・19%のマイナス改定となった。薬価の引き下げ分はまたしても本体に充当されなかった。
 領域ごとの代表的項目を記載する。

入院医療

 一般病棟入院基本料の再編・統合が行われる。現行の「7:1」「10:1」の入院基本料を、急性期一般入院基本料として7段階に細分化する。医療・看護必要度に応じた点数設定が行われるが、最も高い「入院料1」でも現行と同じ点数に据え置かれ、かつ医療・看護必要度が25%から30%に引き上げられ、非常にハードルが高いものとなる。必要度を満たせなければ低い入院料を選択せざるを得ない。そもそも、2016年から17年にかけての1年間で「7:1」を算定している病院は20病院、8200床減少している。今後の急性期の医療費削減の意図が明確に読み取れる。
 現行の「13:1」「15:1」の入院基本料は地域一般入院基本料として再編され、3段階に分類される。

外来・在宅医療

 病院は入院と専門外来、診療所はかかりつけ医機能を強化した外来・訪問診療という役割分担を一層明確にしている。
 「紹介状なしで大病院を受診した際の定額負担(初診5千円以上、再診2千5百円以上)」は、現行の特定機能病院および500床以上の地域医療支援病院から、400床以上の地域医療支援病院に対象が広げられる。これにより、262病院から410病院に増加するが、この定額負担による外来患者数の抑制や医師労働軽減効果は極めて限定的とされており、単なる患者負担の増加とアクセス制限を強いるだけで終わる危惧がある。
 かかりつけ医機能の評価として「機能強化加算(80点)」が新設される。初診時において、専門機関への受診の要否の判断等の医療機能を評価する点数で、地域包括診療加算等の届け出が算定要件となる。また、地域包括診療料も若干の引き上げと、医師の配置基準の緩和(常勤医師2名以上→入 院 医 療外来・在宅医療常勤換算2名以上の医師、うち1名以上が常勤)が行われる。診療所初診料と再診料はいずれも据え置かれた。
 在宅患者が複数の疾病を抱えている状況を踏まえ、他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合の評価も新設された。医療と介護の連携を推進するとして、在宅ターミナルケア加算も増点される。

透析医療

 腹膜透析や腎移植の推進に資する評価として、それらの取り組みの実績があれば、導入期加算に加点がある。しかし、慢性維持透析については時間数にかかわらずいずれも減点となっている。施設の効率性や包括された医薬品の実勢価格を踏まえた評価の見直しとしているが、80年代以降一貫して包括化を含む引き下げが行われてきた。また、透析液の水質確保に関する評価として、透析機器安全委員会を設置し、その責任者として専任医師又は専任の臨床工学技士1名以上の配置が義務付けられた。

遠隔医療の評価

 未来投資会議等からの圧力が強かった遠隔診療が新たな項目として評価された。オンライン診療料(70点、1月につき)およびオンライン医学管理料(100点、1月につき)の新設である。要件・基準として、初診から6月の間は同一医師が対面診療を行っている、連続する3月は算定できない、緊急時に診察可能な体制を有している等、一定の歯止めを設けているとは言えるが、今後、オンライン診療拡大の圧力は一層高まることが想定さる。対面診療の原則を守り、安易な拡大を許さない運動が必要である。また、オンライン在宅管理料や遠隔モニタリング加算も新設された。
 ICTを利用した死亡診断における連携として、死亡診断加算(在宅患者訪問診療料)の算定要件に「(前略)ICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行い、死亡診断加算を算定する場合は、以下の要件を満たしていること(後略)」が追加され、ICTを用いた死亡診断の診療報酬上の取り扱いが明確化された。

チーム医療の推進等推進等

 医師等の従事者の常勤配置に関する要件の緩和が行われる。医師については小児科・産婦人科・精神科・リハ科・麻酔科などの領域について、週3日以上かつ週24時間以上の勤務を行っている複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能となる。緩和ケア診療加算、栄養サポートチーム加算
等について、専従要件が緩和される。また、医師事務作業補助体制加算の見直しが行われ、若干加点される。

   ◇ ◇ ◇

 介護報酬改定はわずか0・54%の引き上げで、介護職員の処遇改善や介護サービスの向上には全く不十分なものである。診療報酬もマイナス改定で、6年に一度の同時改定は非常に厳しい結果となった。診療報酬は、98年を基準として10%も引き下げられたままであり、
今後の改善運動の継続が重要だ。
 本会では3月18日(日)に歯科(札幌ほか5会場)、25日(日)に医科(札幌)の新点数検討会を開催する。ぜひ、多数の先生が参加され、今後の経営に役立ていただきたい

 


歯科診療報酬改定への反映

 次期診療報酬改定の概要が明らかになりつつある。

 歯科においては、か強診の施設基準の一つである訪問診療要件の緩和と施設基準要件の選択制、院内感染対策への評価、診療情報提供料における医科医療機関への「照会」の評価、特定薬剤と麻酔薬剤の薬剤料算定に係る「 40 円ルール」の見直し、機械的歯面清掃の対象拡大等が行われる予定となっている。

 これらは、これまでの本会の主張が厚労省でも一定理解され、歯科診療報酬へと反映されてきたものであると確信している。か強診施設基準の訪問診療要件や、医科への照会は、現場の実態に即したものとなるよう、また、昭和 47 年から続いてきた薬剤料の「 40 円ルール」については、医科の「 15 円ルール」との格差是正で求めてきたものである。

 前回の改定では、歯管の文書提供の別途評価、ブリッジ支台の第一小臼歯前装冠の導入、咬合挙上副子の削合調整時の評価等が行われた。これらは、本会が毎年行っている「歯科保険診療に関するアンケート」においても、多くの会員から改善要望が出されてきたものであった。次期改定を含め、ここ数回の診療報酬改定の内容を見ると、本会の主張が数多く採り入れられたものとなっている。

 超高齢社会がますます進展する中で、8020の達成率は 50 %を超え、歯科のあり方も以前とは変化してきている。地域包括ケアシステムを構築する上で、求められる歯科医療や地域連携とは何かを考えていく必要があるだろう。医療改善には学術的なエビデンスが求められているが、医療現場のデータ「生の声」の集積こそが一番のエビデンスである。今後も、国民が地域で安心して暮らしていけるような歯科医療提供体制と、それに基づく診療報酬体系を求めていくために医療現場の声を伝えていく。

 次期診療報酬改定について、本会の歯科新点数検討会が、3月 18 日に全道6ヶ所で同日開催される。ぜひご参集の上、日々の診療に役立てていただければ幸いである


タスクシフティングの推進を

 医師の働き方改革で緊急取組を要請

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は1月 15 日、これまでの議論の中間とりまとめとして「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」と「中間的な論点整理」の骨子案を示した。医師法で定める応召義務のあり方や宿日直許可基準等について議論を進め、2018年度末に最終報告をとりまとめる。

 同検討会は昨年8月、医師の長時間労働の是正に向け、応召義務の特殊性を踏まえ対応することを目的に設置されたもの。早期の対応が求められる「緊急的な取組」の骨子案では、出退勤時間の的確な把握や36協定の点検、産業医等の活用等が示されている。特にタスクシフティング(業務の移管)の推進では、初療時の予診、薬の説明や服薬の指導、静脈採血・静脈注射、診断書等の代行入力等、実行可能なものから他職種への分担を進め医師の負担を減らすよう求めている。また、看護師に特定行為研修の受講を促し、一定の医療行為も担わせたい方針だ。

 今後の検討課題をまとめた「中間的な論点整理」では、政府の「働き方改革実行計画」を進める上で、医師の特殊性が問われる医師法第 19条(応召義務)との関係、研究業務との切り分け等医師の労働者性の問題等を議論、整理していくとした。また、この中でもタスクシフティング・タスクシェアリングの推進が掲げられており、看護師や事務職等医師以外が可能な業務の明確化や、複数主治医制の導入等も提案されている。

 両骨子案の中では、タスクシフティングについて、特に大学病院での取り組みが遅れていると指摘し、要因分析と推進方策を検討するよう求めている。こうした中、昨年末から複数の大学病院で 36協定の不備、時間外労働の賃金未払い等、長時間労働を伴う不適切な労務管理について労働基準監督署の是正勧告を受けており、安倍首相も今国会で「働き方改革」を重要テーマと位置づける等政府の本気度がうかがえる。労働法制の強化や診療報酬上での誘導等、今後の政策によっては民間医療機関でも対応を迫られてくる。


ダブル改定の骨格明らかに

 診療報酬・介護報酬3月に大臣告示

 4月1日からの診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、改定の具体項目が明らかになった。1月24日の中医協総会では「個別改定項目」が、26日の社会保障審議会介護給付費分科会では平成30年度介護報酬改定の諮問、了承が行われた。「地域包括ケアシステムの推進」を共通の視点に据え、かかりつけ機能の強化や医療機能の分化、地域連携強化へのインセンティブを強める。診療報酬は3月上旬に、介護報酬は3月中旬までに大臣告示が予定されている。

 外来 かかりつけ機能の強化とICTの活用促進

  外来では地域包括診療加算が、在宅患者への24時間対応の要件により1と2に区分される。1は24時間の「往診等の体制」で、2は24時間「連絡体制」と評価を分けた。さらに、同加算等、かかりつけ医機能に係る診療報酬の届出をしている医療機関では、専門医療機関での受診の要否を判断した場合、初診料に新たに機能強化加算が設けられる。かかりつけ医の普及に向け評価を高めた。

 ICTの活用では、オンライン診療料、オンライン医学管理料が新設される。一定期間を経過した慢性疾患患者にオンライン診療と対面診療を組み合わせて行うことが要件となる。在宅患者にも在宅時医学総合管理料にオンライン在宅管理料が新設される。これらに伴い、従来の電話再診については定期的なものは除外され、病状の急変等に限られる扱いとなる。

 在宅医療では、在宅時(施設入居時)医学総合管理料を月2回算定する患者は一定の重症者に限定されることとなった。

 美容目的の使用がメディアで報道された皮膚保湿剤の算定は、治療との関連、医師の使用判断が要件に加えられる。

  入院 急性期病床を再編し段階的評価へ

 入院医療では、7対1と10対1の一般病棟入院基本料が統合し、急性期一般入院基本料に再編される。看護配置10対1を基本とし、患者の看護必要度割合に応じて段階的に点数を引き上げ、看護配置も厚くする仕組みだ。最も高い評価は現行の7対1相当の見込みとなる。

 データ提出が算定要件となる入院料が拡大される。対象は、回復期リハビリテーション病棟入院料1、2、3(3は200床未満)、療養病床入院料(200床以上)、10対1一般病棟入院料とされ、導入に際し一定の経過措置期間が設けられる見込みだ。

  介護報酬改定

 介護報酬は「地域包括ケアの推進」「多様な人材の確保と生産性の向上」等4つの視点から改定項目が検討されている。

 医療系サービスの個別の改定項目では、居宅療養管理指導が現行の「同一建物居住者」と「同一建物居住者以外」の区分から、診療報酬の在宅時医学総合管理料の人数区分に準拠となる(1人、2〜9人、10 人以上)。なお、看護師による居宅療養管理指導は廃止となる。訪問看護では集合住宅減算が拡大される。同一・隣接敷地内の建物で利用者が50人以上の場合は現行の10%からさらに減算幅が拡大する。

 施設サービスでは介護療養病床の転換施設として、介護医療院が新設される。2つの類型に区分され、人員配置は儀燭病院における療養機能強化型介護療養病床に準拠、況燭楼綮佞般剤師は老人保健施設に準拠する。また、転換の支援策として、療養病床からの転換の場合は、大規模修繕まで療養室(病室)の床面積、廊下幅の基準が緩和される。加えて平成33年3月までの措置として、転換後のサービスの変更内容等を丁寧に説明すること等を評価した加算が、転換後1年間に 限って算定できる。介護医療院が行う居宅サービスについては、ショートステイ、通所リハビリ、訪問リハビリの3種類とし、訪問看護、居宅療養管理指導は提供できない扱いとなる。

 4月からの同時改定に伴い、本会では会員対象に改定内容の解説テキストを無償配布し、3月18日には歯科(札幌ほか5会場)、同25日には医科(札幌)が新点数検討会の開催を予定している。


医療者不在の「遠隔診療」に懸念

 

 次年度診療報酬改定に向けた議論が大詰めを迎えている。外来診療での目玉の一つは「遠隔診療」の評価に関する議論である。今回の動きは医療界の要望ではなく、規制緩和と評価拡大を求める遠隔ビジネス業者と成長戦略の一環と位置付ける政府の思惑が一致したものと言わざるを得ない。
 そもそも医師法20条は、無診察での医師の治療を禁止している。遠隔診療に関して、国は97年厚生省健康政策局通知で、離島・へき地など対面困難、病状が安定している患者などを対象に、対面診療を補完する形で限定的に認めてきた。しかし厚労省は、平成27年6月に閣議決定された「日本再興戦略2015」を受け、従来の方針を大幅に変更する通知を示した。つまり、対象地域や対象疾患は限定されず、患者の心身への有用な情報が得られれば電子メールなどでも医師法違反ではないとした。このあと、ベンチャー企業を中心に遠隔医療関連ビジネスが活発化することになる。
 安倍首相は本年4月、政府の「未来投資会議」で「診療報酬上の評価を行うとともに、遠隔診療の推進により、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理の効率性を飛躍的に向上させていく」と宣言した。
 一方、厚労省も7月、再度「遠隔診療」の規制緩和についての周知・明確化に関する厚労省医政局長通知を発出し、すでに自由診療での「禁煙外来」が始まっている。さらに、ICTを利用した「遠隔看取り」も検討されており、まさに政権の意向を忖度した方針転換である。
 近年ICTが進歩する中、離島やへき地などの通院困難な環境や状態にある患者への活用は今後必要になると思われる。しかし、現在国が進めようとしている「遠隔診療」は、医療費削減を目的とした、公的医療保険制度を利用した新たな営利産業の推進である。
 医療の質、安全性、信頼性のエビデンスが担保されないままの、野放図な「遠隔診療」の普及はわが国の医療を変質させる危険性があり、議論の行方に十分な監視が必要と考える。


消費増税に続く 新たな負担増

  安倍首相は「全世代型社会保障」を掲げ、社会保障4経費に充てる消費増税財源の使途を変更し、幼児教育や高等教育の無償化、待機児童解消等を目指すと述べた。一方、使途変更による医療介護財源の縮小と社会保険方式による「こども保険」という応能負担によらない新たな負担増が計画されている。

 内閣府は、幼児教育・保育・子育て支援の充実を図るためとして、消費増税による1兆円規模の財源と、消費増税以外に約0・3兆円の財源確保を見込んでいる。

 子育て支援の財源確保が困難となり、本年3月自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」は「こども保険」制度の提言案をまとめた。骨太2017には「新たな社会保険方式の活用を含め安定的な財源確保の進め方を検討」し「社会保険方式」(「こども保険」)による財源確保が明記されている。

 「こども保険」は、子どもの出産育児における偶発的な保険事故に備える保険とは本質的に異なり、拠出を前提として給付されるが、給付の可能性がない世帯からも保険料徴収がなされる。日本は社会保障給付費の9割以上を社会保険方式で実施しており、社会保障財源の中で社会保険料収入の占める比重が大きい。社会保険料負担は先進諸国で最上位を占め、個人の所得税負担より社会保険料負担の方が大きいのは、主要国中で日本だけだ。低所得者や無所得者にも保険料負担が強制される。

 近年、保険料の引き上げや自己負担の増大、国庫負担の引き下げや社会保険給付の抑制強化等により制度は劣化している。社会保険制度そのものが、きわめて保険主義的で、私的保険に近い制度に変容し「負担なければ給付なし」という「保険原理」のみが強調されてきた。 消費増税によっても、医療・介護・子育ての充実は得られず、格差拡大と生活困窮が広がっている。応能負担に基づく医療・介護・子育て等の社会保障の充実に資するよう「こども保険」の進捗状況を注視する必要がある。


 高薬価を生み出す薬価算定制度 

  日本の医療費に占める薬剤費の割合は、OECD諸国の中でもっとも高い。その割合は2009年には 30%を超え、近年も増加し続けている。今回、高薬価を生み出す薬価算定制度の構造的問題点を解説する 薬価算定のプロセス 製薬企業が薬事承認された新薬を薬価収載したい旨の希望を出すと、厚労省医政局経済課が製薬企業にヒアリングして下裁きをする。その指導を受けた製薬企業は薬価算定に係る資料を同省保険局医療課に提出し、保険適応の可否、類似薬効比較方式等の区分、加算の有無、加算率等について検討され、原案が作成される。

 薬価算定組織はその原案をもとに算定案を策定する。その算定案に製薬企業は不服がある場合には不服意見書を提出し、薬価算定組織で再検討される。最後に中医協総会で算定案が追認されると、薬価基準に収載される。

 高薬価を生み出す要因

 (1)非公開の薬価算定組織

 薬価算定組織は、算定案を作成する重要な役割を担うにもかかわらず、この組織の議事録やメモは一切存在しない。さらに、会議も非公開である。

 このような状況では算定案の妥当性を検証することも困難である。

  保団連は、厚労省に対して薬価算定組織の審議内容・資料の公開を強く要望している。しかし、厚労省は「機密性の高い情報を扱うため非公開はやむを得ない」としており、こうしたブラックボックスな算定過程が高薬価を生み出す大きな要因となっている。

 (2)補正加算の存在

  新薬の薬価算定にあたっては、類似薬がある場合とそうでない場合に分けられる。類似薬がある場合、新規性がある場合には類似薬効比較方式(機法⊃卦性に乏しい場合は類似薬効比較方式(供砲濃残蠅気譴襦その他、類似薬がない場合には原価計算方式で算定される。

 類似薬効比較方式(機砲涼罎砲蓮△気泙兇泙癖篝飢短擦設けられている。補正加算は、2年毎の薬価引き下げの一方で、これまで定期的に引き上げられている。その中の画期性加算は薬価本体を超える場合や、2014年の薬価制度改定では先駆導入加算がこっそり導入されており、これらの加算によって薬価がさらに釣り上げられていく。

 (3)原価計算方式

 原価計算方式は、電気料金を決める総額原価方式に似ている。原材料費のみならず営業利益や流通経費まで、ありとあらゆるコストの積み上げを行って算出される。しかし、驚いたことに厚労省は積み上げられた原価の検証を行っていない。これでは製薬メーカーの言い値である。緊急に引き下げられた「オプジー(R)」は類似薬がないため、原価計算方式で算定されていた。

 (4)外国平均価格調整

 薬価算定が行われた後に、外国平均価格調整が行われる。具体的には、米国、英国、独国、仏国の4カ国の価格の平均額(外国平均価格)を出し、それから薬価算定された額が1.25 倍を上回る場合は引き下げ調整が行われ、逆に外国平均価格の0.75倍を下回る場合には引き上げ調整が実施される。

 保団連は「参照する価格リストが、英独仏は薬局マージンを含み、米国は企業の希望小売価格となっている」と指摘し「日本の価格と適切に比較するには、マージンを除外することや実勢価格を採用する等、補正が必要」と言及している。

  ◇  ◇  ◇    

 薬価制度改定に向け、厚労省は抜本改革の「骨子取りまとめ」を12月中に公表する予定であるが、ここ数年「オプジーボ(R)」のような超高額薬剤の出現で薬剤費が膨張し、国保や保険者の財政を圧迫している。

 保団連は新薬の高薬価構造の是正に向け、薬価算定過程の透明化や新薬創出加算の廃止等を求める「『薬価制度の抜本改革』等に向けた要望書」を厚労省に提出しているが、国民皆保険制度を堅持するためには早急な薬価算定制度の抜本的改革が必要である。


これ以上の診療報酬、介護報酬マイナス改定を許すな

 

 厚生労働省は2016年度の概算医療費が前年度比約2000億円少ない41・3兆円になったと公表した。昨年まで概算医療費は増加を続けていたが、14年ぶりに減少。厚労省は16年度の診療報酬改定のほか、高額のC型肝炎治療薬ソバルディ、ハーボニーの薬価引き下げの影響が大きいと説明している。
 実際にこれらの薬を含む薬剤費は前年度比1432億円減少している。
 福祉医療機構の16年度経営分析参考指標によると、一般病院の医業利益率は16年度には前年比0・7ポイント減の0・4%、療養型病院でも1ポイント減の4・6%と減少し、診療報酬のマイナス改定による病院の経営状態の厳しさが顕著となっていた。
 社会保障費の自然増抑制は13年度から5年間の累計が1兆4600億円に上り、16年度は診療報酬マイナス改定により1500億円圧縮された。さらに来年度も自然増6300億円を5000億円に抑制し、1300億円を削減する方針だ。
 財務省は社会保障費抑制のポイントとして、75歳以上の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる、低所得でも資産が豊富な高齢者は医療・介護の負担を増やす、18年度診療報酬2%以上のマイナス改定、かつ診療報酬本体の引き下げ、介護報酬のマイナス改定などを求めている。
 今回の衆議院選挙では自民党が大勝。安倍首相は「同じ総裁で3回連続勝利したのは結党以来初めて」と政権運営に自信を見せ、安倍一強時代が続くこととなった。そして消費税の使い道を子育て世代、子供たちに大胆に投資、変革することで「全世代型社会保障」へ大きく変革すると訴えている。来年度の社会保障費自然増の5000億円の中には「全世代型社会保障」への改革費用も含まれる可能性があり、そのしわ寄せが診療報酬、介護報酬の削減などに回れば、大幅なマイナス改定を強いられる可能性もある。
 医療、介護崩壊を招かないためには、これ以上の診療報酬、介護報酬のマイナス改定を許してはいけない。


介護医療院創設をめぐる議論大詰めを迎える

2018年度介護報酬改定に向け、社会保障審議会介護給付費分科会において「介護医療院創設」、17年度末で廃止予定の「介護療養病床再編計画等」の検討が進められている。介護医療院の要件厳格化等も議論されており、厳しい介護報酬改定が懸念される。

療養病床の現状

 16年4月時点で、介護療養型医療施設は1320事業所、約5万9千床で10年前と比して約50%に減少した。
 同医療施設は、医療必要度が低いとして18年3月末に廃止が決まっているが、15年度調査の結果、他の介護保険施設に比して、喀痰吸引、経管栄養等多くの医療処置や看取りが実施されており医療機能が評価され、その機能の存続が認められた。老人性認知症疾患療養病棟では、約70%の患者が医療保護入院である。また、約49%がBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)に対応している。
 15年度介護報酬改定において、介護療養型医療施設は、喀痰吸引・経管栄養等の医療処置や看取り・ターミナルケアを中心とした長期療養を担う療養機能強化型A・Bが創設され46%の施設で算定されている。

新たな施設類型 介護医療院

 「療養病床の在り方等に関する特別部会の議論の整理」では、介護医療院の「医療を内包した新たな施設の基本設計」は、日常的な医学管理と重介護者の生活施設としての機能が求められる。利用者像は、介護医療院(機砲浪雜醂斗槁他価蠹で主として療養機能強化型A・B相当、介護医医療院(供砲蕨型擁欸鮖楡濮蠹以上で前者より容体が安定した者とし、現行の利用者を引き続き受け入れる。

転換支援策と再編

 介護療養病床及び医療療養病床からの転換に関し、必要入所定員総数は設定せず、またこれ以外の転換支援措置も継続予定である。現行の介護療養病床は経過措置があるが17年度末で廃止され、新たな類型として介護医療院を設置、地域医療構想に沿った療養病床の再編が行われる。また、介護療養病床は、現行の療養機能強化型と老健施設の二つの類型へ転換、又は25対1病床の一部を20対1病床へ転換する動きもある。
 独立行政法人福祉医療機構が行った療養病床の転換移行アンケートでは、転換先として療養機能強化型A・Bを運営する病院の50%が介護医療院(機砲髻14%が同(供砲魑鵑欧拭2雜邂緡撤^奮阿任蓮◆岼緡迭杏佞鰻拭糞鐔札好據璽垢醗緡典ヾ悗諒酸漾法廚眦彰浩荼補とされる。
 介護医療院への転換が予想される病床は約20万床に上る。介護医療院創設に伴い、介護療養病床転換の猶予期間は23年度末まで6年間延長され、第7期介護計画では療養病床から介護医療院への転換は総量規制対象外である。

むすび

 療養病床が介護医療院として存続することで、地域包括ケアシステムの拡充が期待される。一方、療養病床再編後も医療費・介護費増加が想定され、医療介護報酬抑制が懸念される。介護医療院は医療必要度の要件厳格化等により療養病床の医療必要度の低い患者は強制的に在宅へ押し出され、医療介護難民の増加が懸念される。
 介護の被保険者一人あたり給付費に地域差がある。これを縮減するため保険者機能を強化し、保険者による介護費用削減を目指すインセンティブが導入される。その結果、病床削減が加速する懸念がある。必要な医療介護提供体制が確保され、医療介護崩壊が生じないよう注視が必要だ。


保団連 医療研究フォーラム

 一人ひとりの尊厳を守る社会をめざして 

第 32 回保団連医療研究フォーラムが 10 月8〜9日に名古屋市で開催され、全国から約550名が参加した。

 初日は記念企画として、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏と諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏による対談が行われ「今をどう生きる〜子や孫が安心して暮らせる社会をどう残すか」のテーマで、科学者と医師の立場から子どもたちの未来、平和への思い等について語った。

 2日目は、8分科会とポスターセッションが行われ、本会からは、猫塚義夫先生(勤医協札幌病院)と堀元進先生(旭町医院)が発表した。

 猫塚先生は「パレスチナ、ヨルダン川西岸と『ガザ地区』における医療支援活動の報告」として、難民キャンプの実態と活動内容、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)や現地医療関係者との連携の重要性を述べた。堀元先生は「在宅医療現場から見た『地域包括ケアの行方﹄」とのタイトルで「機能強化型在宅支援診療所」の現状調査から国は何をすべきであるかを考察した。


 事務作業の効率化のためにレセプト様式等の変更を検討  

 

「診療報酬に係る事務の効率化・合理化」では 〇楡澳霆爐瞭禄亶猝椶篌蠡海等の合理化入院診療計画書等の各種様式の内容や必要性の精査 レセプト摘要欄への記載や添付資料の廃止・見直しの3点が検討項目として挙げられた。

 

請求事務の効率化に向けた見直し  

 ,砲弔い討六楡澳霆爐陵弖錣示されている告示・通知の記載に曖昧な部分があり、算定可否の判断に苦慮する場合があるとして、届出の省略や簡素化等を進めるとしている。これまでも、解釈が判然としない基準要件が示され、その後に発出請求事務の効率化に向けた見直しされる事務連絡(疑義解釈)で補足するということが続けられてきたのが実情だ。将来的には簡素化した上で、オンラインでの届出や報告・受理通知等を目指すことも検討するとした。

 △砲弔い討六楡澳霆爐涼罎能蠶蠅陵夕阿傍載し作成が要件となるものについて、内容や必要性を精査するとした。入院時に患者に交付する入院診療計画書では、治療計画や栄養管理計画、リハビリテーション計画等、多岐にわたる記載項目があり、さらに入院から7日以内に交付することが義務づけられている。

 こうした様式の作成が現場の負担となっていることを踏まえ、診療録等から既に得られる情報は簡略化する、一定期間で評価を行う様式は頻度を減らす等、負担軽減への対応が示されている。

 についてもレセプトの摘要欄にフリーテキスト形式で記載するものや、別途資料の添付が求められるものがあり、効率的な事務処理を阻害していると指摘。該当項目を選択制にする等の見直しが考えられている。具体的には 表1 にある通り、在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定要件には1月に2回以上実施した場合、現行の規定ではその理由を文章で記載する必要がある。これに対し見直し案では、該当する項目を選択して記載するとしている。現在までに128の見直し項目を抽出しており、これらは次回改定からの対応が見込まれている。

 同様にレセプトの添付資料についても、算定要件を満たすか否かを判断するために不必要なものは廃止するか摘要欄への記載に変えていくとした。同項目も11の見直し項目が抽出されており、次回改定で反映される見込みだ。さらにの検討内容は医科だけなく、歯科・調剤のレセプトについても同様に見直しを行うことが確認されている。

 

診療情報の利活用で分析・評価を推進

  「診療報酬にかかる情報の利活用」の推進では .譽札廛箸亡擬圓僚蚕蠑霾鵑ない⊃芭店坩戰魁璽匹実臨床に即したコード体系になっていない 傷病名や診療行為の選択が統一されていない た芭甜太咼如璽燭侶措阿様々で分析が容易でないといった観点から見直しが図られる。

 ,砲弔い討魯譽札廛箸亡擬圓僚蚕蠑霾鵑無いため、地域単位での医療提供体制や地域差に係る分析・評価等が困難との指摘に応えるものだ。またカタカナ表記が無いため介護保険との紐付けが出来ず、分析が出来ないことも問題視している。今後はレセプトに患者の住所地の郵便番号(7桁)及び氏名のカタカナ記載診療情報の利活用で分析・評価を推進を求め、導入に当っては医療機関やシステム等への影響を確認した上で、必要に応じて経過措置期間を設けるとしている。

 ↓については、手術の多様化・高度化によって多くの手術手技が生まれてきたものの、手術分類(Kコード)が様々な手術手技を分類するものとして十分な体系化がなされていないとして、国際的に標準化された用語や分類を参照したマスター等の整備・普及が重要と指摘している。今後は外保連手術試案の手術の基幹コード7桁(STEM7)をKコードに活用可能かどうか検討していく。

 次回改定ではデータ提出加算で提出されたデータにおいてKコードにSTEM7を併記する欄を設け( 表2 )データを収集する。その結果を踏まえ次々回以降の改定で導入・再編する方針だ。

 

 負担軽減には賛意も慎重な対応を 今回の提案について、中医協の診療側委員は、請求事務の効率化、簡素化に関し概ね賛同を示したものの、レセプトのカタカナ記載について「古いレセコンでは対応できず、買い替え等の費用負担が発生する」。また、レセプト様式の全体的な変更についても「小規模医療機関には事務・費用の双方の負担が大きい」と慎重な対応を求める意見も相次いで出された。フリーテキストに関しても、症状詳記をする上で必要との主張も見られた。

 書類作成に忙殺される医療現場において、負担軽減対策は必要な施策であるが急激な改編は医療現場を混乱させる可能性があり、費用負担や移行への経過措置等、医療機関への一定の配慮は必要とされる。また、診療報酬の情報に係る利活用に関しても、ビッグデータの活用、医療の標準化、不当な審査の厳格化等に繋がる懸念もある。次回改定以降も継続的な審議が予定されており、今後の動向を注視していく必要がある


 700万人時代 

 我が国の認知症の人は2012年で460万人、65歳以上高齢者の約7人に1人だという。これが2025年には700万人(同約5人に1人)に達すると推計されている。わずか10余年で1・5倍。 25年はいわゆる団塊の世代が75歳以上となる年、地域包括ケアシステム実現の目標元年である。「700万人時代」に向けて行政、医療・介護界を挙げての対応が始まっている。一方で、既に現実となったもう一つの「700万人時代」がある。発達障害だ。

 厚労省によると、発達障害の人は疑いを含め700万人。小中学生の約6・5%に発達障害の可能性があるとする文科省の調査報告もある。近年、芸能人のカミングアウトやメディアの啓発等により世間の認知度は上昇しているが、医療・福祉からのニーズに対応が追いついていない。

 総務省の調査では、発達障害の専門医療機関における初診待ち期間は平均3ヶ月以上、当事者・家族の生活や就労に関する支援を行う発達障害者支援センターの相談件数も昨年度は7万4千件を上回った。診療・支援を巡る体制はパンク状態だ。

 こうした状況に対し厚労省も、18年度概算要求で発達障害児・者の支援施策予算として今年度当初予算比3倍を計上し、専門医の養成・専門医療機関の確保・就労支援の強化に乗り出した。来年4月から、企業が障害者の法定雇用率の中に精神障害者を含めることが可能となり、精神障害の手帳を持つ発達障害者の雇用も増えるであろう。専門医に加えて非専門の産業医にも対応が求められる場面の増加が予想される。非専門医を支える医師や多職種の養成を含め、発達障害「700万人時代」への対応が急務である。

  17年度改定の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)には、認知症サポート医の養成に加え、予防・早期発見を含めた歯科医療機関の認知症対応力向上が盛り込まれている。認知症グループホーム協会は18年度介護報酬改定に「口腔衛生管理」関連加算2項目の新設を要望した。本会においても、医科歯科連動の対応が急務である。


費用対効果評価の思考的導入に向けて

 厚労省は 10 月4日、第362回総会を開催した。総会では、費用対効果評価の試行的導入にあたり、費用対効果評価専門部会での検討状況を踏まえながら、費用対効果評価専門部会、薬価専門部会及び保険医療材料専門部会を合同で開催し、価格調整方法について検討を開始した。

 費用対効果評価専門部会

 費用対効果評価の試行的導入に向けた「総合的評価」(アプレイザル)に係わる5項目の論点を提起した。⑴価格調整を見据えた評価結果の示し方では、各品目の複数の分析結果(ICER)及び倫理的・社会的考慮要素に基づく、連続的な価格調整を行うこと⑵基準値の設定では「1QALY獲得のために支払う金額調査結果」や具体的な評価基準が公開されている国のうち、日本と生活水準が近い英国の評価基準を参考に設定し、それらを活用した価格調整の具体的な方法については、薬価専門部会等の合同部会で検討する⑶ICERが得られる場合の対応では、複数の適応疾患等を持つこと等により、複数のICERが得られる場合の対応は、それらを使用患者割合等で加重平均し総合的評価に用いる⑷ICER算出不可品目の評価方法では「効果増大、費用削減」または「効果同等、費用削減」の旨や、当該品目の費用対効果評価に使用した比較対象品目(技術)との比較方法、比較結果等を記載する⑸倫理的、社会的考慮要素では、ヾ鏡症対策といった公衆衛生観点での有用性公的医療の立場からの分析には含まれない追加費用(中医協における費用対効果評価ガイドラインで認められたものに限る)重篤な疾患でQOLは大きく改善しないが生存期間が延長する治療、希少難病等ぢ綢惻N鼎十分に存在しない治療とする。

三部会合同部会

  費用対効果評価専門部会での論点提起について、評価結果が薬価(材料価格)に影響する範囲を「薬価・保健医療材料価格の全体」か「加算分のみ」とするかで意見が対立した。

 支払側の幸野委員は「改定毎に薬価(材料価格)が変動する中、加算分とそれ以外を分けることは不可能」と指摘、その上で「評価結果は、薬価(材料価格)全体に補正を掛けるべき」と主張し、診療側の今村委員も賛同した。

 対して、業界代表の加茂谷専門委員は、現行の薬価算定のルールとの整合性を強調「評価は加算の範囲内にとどめるべき」と主張した。

医療業界からの意見聴取

 医薬品業界及び医療機器業界から費用対効果評価に対する意見陳述があった。

 ・費用対効果評価に係わる検討は、試行対象企業に大きな負担がかかっていることを考慮し、我が国の薬価基準制度との整合性を踏まえた、慎重かつ丁寧な議論が必要・費用対効果評価は、薬価基準制度における新薬の価値評価のあくまで補足的な手法として限定的に位置づけられるべき

 ・アプレイザルについては、他国に同様の例がないICERによる評価基準の設定について慎重に検討を行うとともに、倫理的・社会的影響等に関する観点からの評価も十分に反映すべき

 ・薬価の調整範囲は、薬価算定における加算率の補整に限局すべきであり、加算前の価格を下回る調整については、断じて容認できない

 診療側の万代委員は、医薬品の価値評価の定義がない上、価値評価として様々な意味が含まれる中で費用対効果評価を考えるのであれば、加算率の補整に限局することに納得し難い。全体として費用対効果評価を考えていくべきと述べた。

その他の検討課題

 費用対効果評価の結果を償還の可否の判断に用いることについて、仮に償還しないとする場合、薬事承認されたものを保険適用とするという従来の原則を根本的に変えることになるが、その合意はまだ得られておらず、国民の目から見て医薬品等にアクセスの制限が加わるということは受け入れ難いのではないか。これまで、原則として有効性・安全性等が確立した医療は給付の対象とされてきたことを踏まえ、費用対効果評価の結果は、原則として保険償還の可否の判断には用いず、価格調整に用いる位置づけとすることとしてはどうか等の指摘がなされた。

 ノバルティスが、薬が効いた患者にのみ支払いを求める成功報酬型の薬を日本で販売できるように働きかけることを検討しているとの報道もあり、今後も注視していかなければならない。



さらなる患者負担増   

-18年度社会保障予算-

 

 厚労省は8月31日、2018年度予算の概算要求を財務省に提出した。総額は31兆4298億円、社会保障費は29兆4972億円で、前年度比6491億円の増加だ。社会保障費は高齢化等により年間8000億円から1兆円の自然増が見込まれているが、概算要求で減額、ここからさらなる圧縮が行われる。
 政府は財政赤字が累積する中で、2020年に基礎的財政収支の黒字化をめざしており、社会保障費を国債で補う状況を悪化の主因として社会保障費の抑制を行ってきた。「骨太の方針2015」では16〜18年度を財政健全化の集中改革期間と位置付け、高齢化に伴う自然増を3年間で1兆5000億円に圧縮することを掲げている。
 16年度は診療報酬マイナス1・31%改定などで1700億円の圧縮、17年度は患者負担増や薬価引き下げで1400億円の圧縮を行ってきた。集中改革期間最終年度の18年度は診療・介護報酬の改定年度でもあり、一層の患者負担増と診療報酬のマイナス改定が懸念される。
 患者負担増としては、今年4月から低所得者の後期高齢者保険料の軽減特例の縮小、8月から高額療養費制度の70歳以上の患者負担上限度額の引き上げ、高額介護サービス費制度の上限額の引き上げ、10月から入院居住費の負担増も開始される。来年8月から介護保険で現役並みの所得(単身で年金収入のみで344万円以上、2人以上世帯で463万円以上)の利用者は3割負担となる。来年以降では「かかりつけ医」普及を理由に外来受診時の定額負担拡大、市販薬類似品の保険外しなどが検討されている。
 経済の停滞が続き賃金・所得が増えない中、医療・介護費の国民負担は増加し続けており、経済的理由での受診抑制も起きている。公的保険で充分な健康の維持・管理がなされないのなら、国民の健康に対して国が責任を放棄しているといわざるを得ない。本会は「いつでも、どこでも、だれもが安心して保険で医療が受けられる」社会をめざして活動を行っていく。


ICT死亡診断等GL・・・
条件付きで死亡確認可能に

 厚労省は9月12日、各都道府県知事宛に「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等の取扱いについて」の通達を発出し、併せて「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」を示した。医師が死亡に立ち会えなかった場合、死亡後改めて対面での診察(死後診察)を行わずに死亡診断書を交付することを条件付で認めたもの。厚労省は規制の見直しについて患者が住み慣れた場所で最期を迎えやすくするほか、遺体を長時間保存・長距離搬送するなどの不都合を回避するのが狙いと説明している。


 同通知は日本看護協会の要望を受け、「スマホ等を用いて看護師による死亡確認報告」をもとに死亡診断書の交付を可能とした。患者の死亡時に生前診療にあたっていた医師が遠方にいるなどして、埋火葬を行うことができず、遺体の長時間保存や長距離搬送が問題になっていると指摘されたことを受け、規制改革推進会議ワーキンググループで議論された内容を具体化したものだ。
 
政府解釈の「診察」

 政府は平成9年に発出した通達で遠隔診療に関し、医師法における「診察」が「問診などの手段の如何を問わず、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のもの」であるとし、「情報通信機器を用いた診療であっても直接の対面診療による場合と同等ではないにしても、代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことはただちに医師法に抵触するものではない」との解釈を示した。
 政府はこの解釈を更に拡大し、医師が死亡に立ち会えず、生前に診療にあたっていた医師が死後診察を行う場合であっても、直接対面による死後診察に代替しうる程度の情報が得られる場合にはICTを用いた遠隔からの死亡診断を行うことは法令上可能であると明示した。

ICTを利用した死亡診断等の流れ

(表):ICTを利用した死亡診断等を行う際の要件

(a) 医師による直接対面での診療の経過から早晩死亡することが予測されていること
(b) 終末期の際の対応について事前に取決めがあるなど、医師と看護師の十分な連携がとれており、患者や家族の同意があること
(c) 医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にあること
(d) 法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が、死の三兆候の確認を含め医師とあらかじめ取決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できること
(e) 看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置等のICTを活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異状がないと判断できること
 生体に対する診察と異なり、死後診察の場合にはどのような条件下であれば 「直接対面による死後診察に代替し得る程度の情報が得られるか」明らかになっていないことから、ガイドライン(GL)で次の5つの要件すべてに該当した場合は、ICTを利用した死亡診断を可能と定めた(表)。             遠隔で死亡診断を行うには、前提として事前に終末期の際に積極的な治療・延命措置を行わないことや、ICTを利用した死亡診断を行うことについて予め文書で同意を得ていること、死後診察を行うまでに12時間以上要する状況であることなどの条件が設けられた。  実際に直面した時の対応としては、一定の研修を受けた看護師が遺体を観察した上で死の三兆候(心停止、呼吸停止、瞳孔散大・対光反射停止)を確認する。心停止については看護師が心音消失を確認した上で、心電図(または心電図波形を撮影したデータ)を送信する。また、遺体に異状がないか判断できるように、遺体の様子を撮影・伝送してリアルタイムに報告する等の対応が行われる。これらの報告をもとに医師が死亡診断を行った場合、看護師は医師の指示の下で死亡診断書を代筆し作成後遺族に交付する。ただし、看護師の報告から医師が死亡の事実確認や異状がないと判断できない場合には、死亡診断等を中止することになる。

ガイドラインの問題点

 ICTを利用した死亡診断等GLについては、平成31年3月を目処に再検証するとしているが問題点は山積している。特に要件の(c)「(略)医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にあること」については想定されている状況を離島・へき地等に限定していない。要件の例示では日当直勤務中に患者が死亡し、その後の勤務時間が長時間であるなど、直接の対面診療まで12時間を越えると見込まれる場合には対象になるとしており、患者との信頼関係への影響も懸念される。
 また要件の(d)「法医学等に関する一定の教育(略)」について、現行の看護師の養成課程では「法医学」に関する教育課程はなく、看護師国家試験の科目にも組み込まれていないため、同GLを踏まえて、平成29年度「在宅看取りに関する研修事業」(厚労省委託事業)で実施する予定としている。数日の研修・講義演習を受講することで法医学に関する一定の教育を受けたことになると定められているが、死後診察の現場で求められる水準に到達できるのか疑問がある。
 さらに、医師が転送された情報から死亡診断を行うことにより、通常の死亡診断よりも異状死を見落とす可能性が高くなることも指摘されている。
 死亡診断に必要な情報についても適切な通信セキュリティ環境下で送受信することを求められおり、情報の保護、漏えい対策等、医療機関の責任も重くなる。死亡診断書は法律上、社会上の重要性が極めて高く、その記載内容が正確になされなかった場合、死因統計が不正確になる等の影響が懸念される。

◇   ◇   ◇

 多死社会を迎えICT技術の活用が今後の医療に大きく貢献していくことが期待されるものの十分な議論を尽くさず、効率・効果を最優先し、見切り発車しては国民や医療現場に混乱をもたらす。保団連や保険医協会も遠隔診療自体に慎重な対応を求めており、今後の動向を注視する必要がある。

 


弱いものいじめはもう止めろ!

 

  来年は、医療・介護・障害者報酬の「トリプル改定」の年だ。 新設される「共生型サービス」が問題となっている。内容の異なる介護保険と障害者福祉サービスを「一体化」し「共生型サービス事業者」として両者に対応させる。

 高齢障害者の障害者サービス利用では「介護保険優先の原則」により介護保険が適応され、自己負担の増額やサービス打切り・縮小が発生する。

 障害者が「軽度者」と介護認定されて「地域共生社会の重視」の名のもとで、サービスがボランティアや無資格者による「総合事業」に移行され、質の低下が懸念される。

 そもそも「一体化」は、強い批判を受けてこれまで何度も否定されてきた。

 一方、難病医療費助成の経過措置が本年 12 月に終了し、負担が重くなる。認定要件に「重症度分類」が加わり狭められ、入院時の食費自己負担額が2分の1から全額となり、毎月の自己負担上限額が2〜3倍に引き上げられる。

 高齢者医療では負担限度額引き上げ、後期高齢者医療保険料軽減特例の縮小・廃止、窓口負担2割が進められている。 弱者の自己負担は軒並み引き上げられ、サービスの低下・縮小・打切りを強いられている。

 しかし財源はある。

 まず、高額薬剤の是正だ。平成 28 年度医療費(厚労省速報値)で、C型肝炎薬剤の減額だけで前年比1432億円減少した。

 輸出大企業の消費税還付金(輸出戻し税)は、上位 10 社だけで約7300億円(平成 27 年度)と推計される。さらに、アップルなどの多国籍企業のタックスヘイブン(租税回避地)による日本の税収損失は468億ドル(5兆1000億円)と言われる。

 これらの是正だけで弱いものいじめ代は潤沢に賄われ、有り余るお釣りがくる。 これ以上弱者に負担を強いて格差を拡大する社会は、絶対に食い止めなければならない。

  10 月 22 日には総選挙が実施される。私達の意志をはっきりと示す時だ。


第6回歯科医師の資質向上等に関する検討会

「論点整理」「歯科保健医療ビジョン(素案)」を提出

 

 厚労省は、8月31日「第6回歯科医師の資質向上等に関する検討会」を開催し、「各ワーキンググループ(WG)における議論を踏まえた現時点での論点整理」と「歯科保健医療ビジョン(素案)」を提出した。同省は、秋ごろを目処に素案内容を中間報告として取りまとめ、ビジョンなどを基に歯科医師需給の更なる推計に向けて検討していく予定。

  検討会で提出された「各WGにおける議論を踏まえた現時点での論点整理」では、歯科医師の需給問題や女性歯科医師の活躍等に関する論点が示され「歯科保健医療ビジョン(素案)」では、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割やあるべき歯科医師像、かかりつけ歯科医の機能・役割、具体的な医科歯科連携方策および歯科疾患予防策が示された。

 現時点での論点整理

 歯科医師の需給問題について

  同項では、〇科医療の需要∋科医療の供給歯科医師の需要と供給せ科医師数の需給推計セ科医師のキャリアパスの5項目が示された。歯科医療ニーズの多様化に対応するため「歯科医療機関や歯科医師の経験、専門的能力」「高齢者患者の歯科治療の難度」「歯科治療の偶発的リスクへの対応能力」「医療安全対策の取り組み状況」等の情報が必要とした。また、人口動態を踏まえた入学定員数を設定し、早急に実行しなければならないとした。

 女性歯科意志の活躍について

 「女性歯科医師の活躍等をはじめとした歯科をめぐる課題解決」では、女性歯科医師の働きやすい環境づくりは男性歯科医師の働きやすい環境づくりにもつながるという意識を業界全体で共有することが重要とした。また「女性歯科医師の働き方やキャリアパスに関する対応」では、継続して就労するために必要な体制の整備等、歯科業界全体の「結婚や出産等のライフイベントに合わせてフレキシブルな勤務形態を認める」という思考の転換が必要とした。 

 歯科医療における専門性について

  各学会の専門医制度については、客観的評価を踏まえた根本的な見直しを行うことが必要で「国民が求めている専門性」と、歯科医師間で難症例等の患者紹介等に活用するための「歯科医師が求めている専門性」を分けて議論すべきで、日歯、学会、大学、第三者を交えた協議の場を設定し、1年を目処に結論を得るとした。

 歯科保健医療ビジョン(素案)

  素案では、高齢化の進行や歯科保健医療を取り巻く環境の変化に伴い、歯科保健医療の需要に変化が生じており、外来に加えて入院患者や居宅の療養者等に対する歯科医療提供体制を構築することが必要であり、今後、他職種や他分野との連携の動きに柔軟に対応していくことが求められると指摘した。

  そのため歯科医師の需給問題、女性歯科医師の活躍、歯科医療の専門性に加え、各職種で検討されている内容等も踏まえ、今後、本検討会で示す中間報告の一部として、あるべき歯科保健医療の提供体制等を「歯科保健医療ビジョン」として示すと説明があった。

 論点整理と素案を通じて提起された「多様化する国民や患者ニーズに対応できる診療形態」「地域医療連携推進法人制度の活用等、複数歯科診療所のグループ化」「これまで以上にかかりつけ歯科医機能が重要」「歯科医療の提供については歯科診療所以外にも考えられる」等については、歯科医師、歯科医療機関、歯科医療全般に関係する問題である。  今後の議論は、次回改定にも大きく影響を与えると思われる。引き続き、本検討会の情報収集や分析に努めていく必要がある。


不公正の極み 都道府県別診療報酬

 

  社保審医療保険部会で、都道府県別診療報酬が議論の俎上に挙がっている。4月26日の部会は医療費適正化に関する都道府県のガバナンス強化がテーマで、都道府県別診療報酬も議論された。引き続き今年度中に医療保険部会や中医協で検討を進めるとされている。
 都道府県別診療報酬設定の法的根拠は、平成20年施行の「高齢者の医療の確保に関する法律」13、14条にある。13条は「都道府県は(中略)必要があると認めるときは、厚労大臣に対し、診療報酬に関する意見を提出することができる」、14条は「厚労大臣は(中略)他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」となっている。医療費抑制を都道府県ごとに競わせ、成果が不十分な場合には、都道府県から厚労大臣に低い診療報酬を申請させ、決定するものだ。
 人口一人当たりの都道府県別国民医療費は西高東低の傾向があり、平成26年度で埼玉県と高知県の間で1・52倍もの差がある。骨太の方針では医療費の地域差半減を目指すとしているが、それを当てはめれば診療報酬の格差は非常に大きいものになる。
 過去の医療保険部会では「診療報酬については、一物一価、全国統一にしないと国民の納得は得られない」「全国一律のメリットは大きく、都道府県別にすると現場が混乱」との意見が出されている。全国知事会も「その妥当性、医療費適正化への実効性に疑問がある」との意見を述べている。
 都道府県別診療報酬が持ち込まれたらどうなるだろうか。低く設定された地域の医療機関は軒並み経営困難に直面する。低い地域から医療機関と人材が移動する可能性があり、患者の受診行動の変化(診療報酬が低い地域への受診誘導)も起こりうる。何よりも同じ内容の療養の現物給付に地域価格差が付けられるということであり、不公正極まりない。
 ガバナンスの強化を口実に都道府県に医療費抑制の責任を押し付け、医療崩壊を促進させる都道府県別診療報酬は早急に断念させなければならない。


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