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これでいいのか新専門医制度

 

  新専門医制度が未だに迷走している。今春の始動の予定が、一年先延ばしとなったうえ、制度の根幹となる部分の改定が続いている。本会では、これまで同制度の問題点として、医師の偏在、自由標榜制の制限、非専門医への差別化などを指摘してきた。総合診療専門医については、そのゲートキーパー機能によるフリーアクセスの制限や、包括・定額払いの拡大につながる懸念を示してきた。
 各学会や各関係医療団体からは、日本専門医機構のガバナンスに対する不信感を背景とした反発が続いていた。同機構は、昨年12月に地域医療への配慮を盛り込んだ「専門医制度整備指針」を策定。大学病院以外も研修基幹施設になれることを明記していたが、地方の医師不足の加速と若手医師のキャリアへの悪影響を指摘されていた。「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(5月25日)では、研修基幹施設の条件を緩和し、全国に手挙げを促した結果、基幹施設と連携施設の総数が現行の2.4倍(2,937施設)と報告された。基幹施設のうち8割を市中病院が占めており、都市部に集中することにより、へき地医療の崩壊につながりかねない。
 6月2日「専門医制度整備指針」が改定され、研修はすべての医師にとっての義務ではなく「自律的な取り組み」と位置付けられると記載。基本領域学会の専門研修は研修プログラム制を原則としつつ、留学した医師や女性医師のライフイベントなどに配慮し「介護、留学など相当の合理的理由がある医師等は研修カリキュラム制による専門研修を行う等、柔軟な対応を行う」となっている。また、「新専門医制度概略とQ&A」(5月12日)では、総合診療専門医について、最も基本領域となる内科を1年間、新内科専門研修と同等の研修を内科専門医の指導の下で研修することとしか示されておらず、研修の大枠しか決まっていない。拙速に制度を推し進めることなく、我が国の医療制度と地域医療の将来を見据えた議論を積み重ねていく必要がある。


患者負担の引き下げ、診療報酬の大幅引き上げを決議


・・・ 保団連第3回代議員会に287名が参加

 

 保団連の2016〜17年度の第3回代議員会が6月25日、51保険医協会・医会から、代議員、理事、事務局など287名が参加し、東京都内で開催された。前回代議員会以降の会務報告、決算報告、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けた改定要求など、全ての議案が全会一致で議決された。本会からは代議員として加藤康夫会長、野川哲義副会長、小笠原俊一顧問、執行部として田辺政策部長(保団連副会長)、下出監事(保団連組織部長)が参加した。最後に「患者負担の大幅引き下げ」「診療報酬の10%引き上げ」などを盛り込んだ決議が採択された。

 開会に先立ち挨拶した住江会長は、国会情勢について「安倍政権の政治・行政の私物化、国民を愚弄する国会運営に怒りを禁じえない」と厳しく批判。「共謀罪」法案の成立にも強く撤回を求めていく姿勢を示した。一方、社会保障面では、更なる抑制を目的に3つの世論操作が進められているとし「1つ目に自己責任論、2つ目に財源論、3つ目に社会保障概念そのものの破壊」と強調。また、一連の社会保障改悪メニューに対し「真の狙いは何か、誰が利益を得て、誰が被害を受けるのかを明らかにしつつ運動を進めることが重要」と訴えた。
 会務報告では、保団連が全国の保険医協会と共に取り組んだ「今こそストップ!患者負担増」運動の成果について、クイズハガキなどの工夫により署名活動の参加率向上が達成でき、3,686の医療機関から12万筆を超える集約が得られたと報告された。歯科分野でも「保険で良い歯科医療を」の署名活動を全国で展開。また、歯科技工問題についても「歯科技工士アンケート」の結果を踏まえ、保団連内部でも集中的な討議を行い、解決に向けた積極的な取り組みを全国的に拡げていく方針が示された。
 来年の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた要求では、医療費の総枠拡大を前提に、医科では入院患者の他医療機関受診の制限緩和、基本診療料の大幅引き上げ、施設入所者への不合理な給付調整等の改善を求めるとし、歯科でも基本技術料の適正評価や麻酔薬剤等の算定方法の改善等が要求された。一方、補綴物維持管理に関する要求は全国的な一致点が見出せず、今回は要求項目として見送ることが説明された。

 

本会から5つのテーマで発言

 討論では、各保険医協会から合計137の発言が行われ、北海道からは5題の発言を行い、執行部から答弁がされた。
 加藤会長は「国保の都道府県化について」のテーマで「国保の保険者機能強化による国保給付抑制、保険料引き上げ、過酷な保険料徴収、徹底した医療費抑制と、それに伴う受診抑制誘導が始まる」とし執行部の考えを質した。これに対し、保団連の担当理事は「都道府県を医療費抑制の司令塔とする仕組み作りが進められている」と述べ、地域医療を守る立場から「都道府県に対しては納付金など資産結果の公表、市町村に対しては市町村の裁量による一般会計からの繰り入れや法定外繰り入れの継続等、国に対しても国庫負担の増額等を求めていく」と答弁した。
 野川副会長は「地域特性を加味した施設基準の在り方について」のテーマで、歯科分野で施設基準が設定された保険点数が増えることによる弊害を訴えた。とりわけ「人員基準が設けられる点数は地域の雇用事情に大きく左右され、都市部と郡部で医療提供体制に格差が生じ、結果的に地域住民に不利益をもたらす」と指摘。保団連執行部も「施設基準による地域格差は医療機関のみならず、患者国民にとっても大きな問題」との見解を示し「保団連としても地方の状況を鑑みた施設基準の内容とするよう厚労省等に交渉しており、次期改定に向け引き続き強く要求していきたい」との方針が示された。
 小笠原顧問は「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部改正法」について、介護給付費の削減目標を市町村間で争わせる仕組みが導入されるなど、保険者機能の強化を危惧。「厚労省は地域包括ケアの見える化システムを展開し、アウトカム指標と地域ケア会議の開催状況を評価した成果指標に基づき、財政的インセンティブを付与する考え」と指摘し、経済効果最優先の安上がりなサービス体制へと置き換えられる危険性について質した。これに対し執行部は同法の狙いについて「共生型サービスを謳い文句に、本来の公助を自助と称し、安価なサービス体制で地域に丸投げする構図」と問題視。「国の責任を明確にし、地方任せの体制阻止へ声を上げていく」と回答した。
 その他「介護医療院創設」「混合介護の導入」についても質問を行い、改悪阻止に向け働き掛けを求めた。
 代議員会では議事の最後に14項目のスローガンを掲げた決議が提案された。その中では、診療報酬の大幅引き上げ、患者負担の削減のほか「地域医療構想に伴う病床削減の阻止」「国保の都道府県化への反対」「社会保険診療の消費税ゼロ税率の適用による損税問題の解消」等の項目が盛り込まれ、満場一致で採択された。

 

 


これ以上社会保障の切捨てを許すな

 財務省の財政制度等審議会は5月25日「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」を発表した。「建議」では「社会保障の適正化」を名目とした徹底的な給付削減を求め、プライマリーバランスの黒字化の重要性を改めて強調した。社会保障費は、平成25年度から29年度まで自然増分だけで1兆4600億円、自然増に含まれないカット分を含めると3兆円以上が削減されてきており、これ以上の切り捨ては断じて容認できない。


 また、6月9日には「骨太の方針2017」が閣議決定された。その中には「入院医療費については地域医療構想の実現によりどの程度の縮減が見込まれるかを明らかにする」と明記され、地域医療構想を医療費削減の手段とすることが示された。


 さらに「地域別の診療報酬の特例」の実施による、点数単価の切り下げの可能性についても触れた。医療崩壊が現実のものとなっている今、地域の実態を無視した暴挙である。


 最終的には削除されたが「骨太」の素案の段階では、いわゆる参照価格制度の記述があった。参照価格制度は、これまで再三議論の俎上に上がったが、我々がその都度反対の声を上げ、廃案にしてきた。何度も「亡霊」のように甦るこのような医療費抑制策には、粘り強くノーを突きつけていかなければならない。


 「建議」では、消費税の10%への引き上げの実施を求めている。「骨太」では、消費税の増税の記載はないが、閣議決定後の記者会見で、石原経済財政政策担当相は、消費税の増税の必要性を強調した。本会は、逆進性の強い消費税の増税に一貫して反対し、医療へのゼロ税率の導入を求めてきた。所得税の累進制、さらに、大企業、特にグローバル企業で実効税率が著しく低い法人税を見直すことを考慮すべきである。


 国民の健康なくして経済の発展はありえない。これ以上の社会保障の削減と地域医療の切り捨ては医療を崩壊へと導く。


 本会は、道民と保険医の双方が安心できる医療を守るために、活動を継続していく。


次期診療報酬改定 中医協で歯科の議論スタート 


 中医協は5月31日に総会を開き、平成30年度診療報酬改定に向けて歯科の議論を本格的に開始した。「歯科医療(その1)」が示され、歯科医療を取り巻く状況等の概況や地域包括ケアシステム構築の進捗状況︑口腔疾患の重症化予防への対応について、厚労省から報告があった。
  
 平成27年の中医協では7月22日に「歯科医療(その1)」が示されたのに比べ約2か月早い提示である。歯科医療を取り巻く現状を厚労省が説明し|楼菠餝腑吋▲轡好謄爐旅獣曚鮨篆覆垢襪Δ┐如△かりつけ歯科医機能やチーム医療の推進等の観点から医科歯科連携についてどのように考えるか患者にとって安全で安心でき、より質の高い適切な歯科医療を提供できるよう、口腔機能の評価・管理や、口腔疾患の重症化予防や生活の質に配慮した歯科医療の提供等について、どのように考えるかを論点案として提示した。
 
歯科医療を取り巻く状況


 歯科診療所の推計患者数について、ここ約10年間は増加傾向にあり、年齢階級別にみると特に75歳以上の患者の増加が著しいこと、歯科外来受療率は、学齢期以降で年齢の上昇に伴って受療率が上昇していくが、高齢者になると受療率が減少すること等が説明された。


 小児の1人平均う蝕歯数は減少傾向にある一方で、高齢者の現在歯数は増加傾向にあると説明。歯科診療医療費の動向では、14歳未満と65歳以上で増加し、全体として微増傾向で、1日当たりの点数は増加するも、レセプト1件当たりの点数は減少しているとした。
 
地域包括ケアシステム構築の推進


 平成28年度改定で導入した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(か強診)は、今年4月時点で7031施設となり、歯科診療所の約1割を占めた。医療機関(医科・歯科)との連携は、か強診で約9割、一般の歯科診療所では約7割、介護保険施設等や在宅医療等を行う医療機関等との連携では、か強診でともに約6割を占めたのに対し、一般の歯科診療所ではそれぞれ約2割、約3割であった。


 周術期口腔機能管理の状況は、平成27年と28年を比較すると、算定医療機関は全体的に増加傾向にあり、実施しているのは全体でみると約3割だが、病院併設の歯科を中心に算定されており、300床以上の病院では約半数で実施されていた。


 平成28年度改定で新設の歯科医師連携加算(栄養サポートチーム加算)は、同加算を算定している病院のうち約3割が算定していて、病床規模でみると500床以上で、算定施設の約半数、算定回数では4割弱が算定していた。

口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応


 小児の口腔機能管理について、子供の食の問題は成長とともに解決するものと、専門家の介入が必要なものがあり、歯科医療関係者による適切な評価・対応が必要な場合があると指摘した。また、70歳以上の高齢者の口腔機能について、約4割が何らかの問題を感じているとした。

要介護高齢者における歯科的対応の必要性

 参考として示された「地域の要介護高齢者に対する悉皆研究調査」結果は「A県O町圏域の要介護高齢者416名(悉皆)に対する調査結果。義歯治療、抜歯、う蝕治療、歯周病の治療が必要な者の割合は、それぞれ、54.8、43.5、18.5、32.0%であった」とし「要介護高齢者の約7割が何らかの歯科治療を必要としていた。また、そのうち早急な対応が必要と判断された者は52名(12.5%)であった」。このことは保団連の要介護高齢者の口腔内状況調査結果とも符合し、潜在的歯科治療の需要の高さを示すものといえる。 この間厚労省から示され続けている「歯科治療の需要の将来予想(イメージ)」が実態を踏まえた想像図でないことは明らかである。
  

かかりつけ歯科医機能の評価

 平成28年度改定で導入した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(か強診)については、今年4月時点で7031施設となり、歯科診療所の約10%である。エナメル質初期う蝕管理の算定回数は、「か強診」のみ算定可能な「エナメル質初期う蝕管理加算」の方が多いが、歯周病安定期治療については、すべての歯科医療機関が算定可能な歯周病安定期治療(機砲諒が多いことが示された (図1 )。


 また、今年秋頃の取りまとめを目指して、かかりつけ歯科医機能の評価に係るイメージ等の整理を進めること、か強診以外の歯科診療所と比較して、か強診では他医療機関及び介護施設等との連携が実施されていること等が報告された。


 しかしこれらの報告に対して、支払側から、「改定では、この間の歯科医療の取り組みの成果を踏まえて、歯周疾患の重症化予防、多職種との連携、高齢者医療の評価に重点を置くべきで『かかりつけ歯科医』のイメージの明確化ではなく、重点を医療連携において高齢者への対応を推進するのが喫緊の課題ではないか」「今更ながら『かかりつけ歯科医』のイメージを議論するのは、後付けの議論だ。評価が先で、イメージを後で議論するのは順番がおかしい」「患者が率先してか強診を選択したと思わせる資料提供がされているが、実際はたまたま通院している歯科診療所がか強診だったという感想を持っている。こうした医療機関の差別化が必要かは疑問だ。慎重に対応すべき」「か強診のうち約6割強が連携しているとの調査結果が示されているが、反対に約3割のか強診では連携できていないこと、先の連携しているか強診のうちでも地域ケア会議等への参加割合は約4割弱と、まだまだ不十分。例えば、介護施設等との連携を要件化する等の検討が必要ではないか」など、「か強診」に対する疑問が再燃する格好となった。

周術期口腔機能管理等の医科歯科連携推進

 周術期口腔機能管理の算定回数は増加しているが、その施設別の内訳をみると病院併設歯科が大部分であった (表) 。 

 

 また、都道府県別の周術期口腔機能管理計画策定料の算定状況は、保険医療機関数に対する算定医療機関数の割合が約1%〜10%と地域差がみられ、広島県が約10%と最高であった。平成27年と平成28年を比較すると、算定医療機関は全体的に増加傾向にある。


 医師と歯科医師の連携状況について、全体では「院内又は院外の歯科医師と連携して周術期口腔機能管理に関する情報提供を行っている」医師の割合は約30%であるが、病床数が多いほど周術期口腔機能管理に関する連携を行っている割合は高くなっている (図2) 。


 栄養サポートチームにおける歯科医師の参加状況では、歯科医師が栄養サポートチームに参加している施設は、病院内の歯科医師が参加している場合と院外の地域の歯科診療所の歯科医師が参加している場合をあわせて、全体で約20%であった。病床規模別にみると、病床数が多いほど栄養サポートチームに歯科医師が参加している割合が高かった。これについては、「栄養サポートチーム等が大病院で進んでいるが、中小規模の病院で進んでいないのは、病院歯科が自院にないからだ。外部の歯科診療所の参加についても、歯科診療所側に連携時の点数評価の整備が進んでいないことも課題。嚥下では、内科・神経科、歯科の連携が必要で、こうした認識の共有も必要。こうした地道な取り組みに光が当たってもいいのではないか」との発言があった。

その他の医科歯科連携


 歯周病と糖尿病の関連では、糖尿病診療ガイドライン2016(日本糖尿病学会)と糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン改訂2版(日本歯周病学会)の内容を示したうえで、糖尿病性腎症重症化予防プログラム(平成28年4月20日)の医科歯科連携の部分で、必要に応じてかかりつけ医と専門医の連携、医科歯科連携ができる体制をとること、臨床における検査値(血圧、血糖、腎機能等)を把握するに当たっては、糖尿病連携手帳等を活用し、本人ならびに連携機関と情報を共有できるようにすることが望ましいとした。


 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理については、顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016の歯科治療を行う上での注意では、骨吸収抑制薬の投与予定患者は投与前に口腔内衛生状態を改善、骨吸収抑制薬治療中は歯科医師による定期的な口腔内診査、骨吸収抑制薬投与中の侵襲的歯科治療に際しては、徹底した感染源の除去と感染予防、計画に基づいた治療、侵襲は最小限を示し、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死は医科と歯科にまたがる疾患であり、医師と歯科医師の緊密な連携で予防、治療するチーム医療体制の構築、整備が望まれるとした。平成30年度改定は、医科歯科連携がポイントになると思われる。


中医協総会開催 次期診療報酬に向けて

 中医協は5月31日、第352回総会を開催した。総会では、費用対効果評価専門部会、薬価専門部会で議論があった。また歯科医療について、次期改定に向けた意見交換があった。

■ 費用対効果評価専門部会

 費用対効果評価専門部会では、費用対効果評価を医薬品、医療機器について、2018年度診療報酬改定時に試行的導入し、その検討結果を踏まえ、制度化の検討を進めることとしている。当日は「総合的評価(アプレイザル)について」との議題で、増分費用効果比(ICER)とICER以外に考慮すべき要素や評価項目についてを中心に議論された。
 アプレイザルの過程は(1)分析結果の妥当性を科学的な観点から検証(2)倫理的、社会的影響等に関する観点からの検証、それらを踏まえた総合評価となる。
 (2)の際に考慮すべき要素として、ICERの分析結果のみでは評価が困難と考えられる要素(例えば感染症対策といった公衆衛生上の課題等)を考慮する必要があり、今後の議論として六つの要素が挙げられた。<ICERによる分析の特性を踏まえた要素>ヾ鏡症対策といった公衆衛生的観点での有用性公的医療の立場からの分析には含まれない追加的な費用D拘にわたり重症の状態が続く疾患での延命治療<その他の要素>ぢ綢惻N鼎十分に存在しない疾患の治療ゥぅ離戞璽轡腑鶚小児の疾患を対象とする治療である。
 総合評価のICERの評価軸として「支払い意思額」(一定の割合の人が1QALYを獲得するために支払うことを許容する額)を基本とし、五段階で評価することが提案された。
ただし評価が悪くとも倫理的、社会的影響等に関する観点から考慮すべき要素がある場合には「費用対効果は受け入れ可能である」とするなど一定の配慮をすることとした。

■ 薬価専門部会

 薬価専門部会では▽先発医薬品価格のうち後発品に係る保険給付額を超える部分の負担▽後発品への置き換えが進まない既収載品薬価改定特例(Z2)を中心に議論が行われた。
 第105回社会保障審議会医療保険部会で\菷品と後発品の差額を患者負担(選定療養)とする∪菷品の薬価を後発品まで引き下げ同一薬価とする二つの考え方が示され、議論では^討法⊃芭殿Α支払い側とも強く反対意見が続出した。
案については、スペインの事例のもと、長期収載品の後発品への置き換え率が激減し、長期収載品市場の成長により医療費が増加したとする資料が示され、慎重とするべきとした。二つの案で結論を得るのは難しく、これ以外の案として後発品が出た段階で先発品の価格を後発品のプラス10%や20%の薬価とするなども検討する案について厚労省は「検討する価値はある」と述べ、今後様々な検討を行っていくとした。
 後発品への置き換えが進まない先発品の薬価の特例引下げ(Z2)については、引き下げまでの期間5年は妥当なのか、新薬創出加算を認める代わりに長期収載品の薬価切り下げまでの期間を厳しくするべきとの見直しを求める声が支払側から出された

■ 歯科医療について考え方を意見交換

 次期改定に向けて、歯科医療を取り巻く状況等の概況や地域包括ケアシステム構築の進捗状況、口腔疾患の重症化予防等への対応について、厚労省から報告がされた。
 上記の厚労省からの報告を踏まえて、支払側から「患者が率先してか強診を選択したと思わせる資料提供がされているが、実際はたまたま通院している歯科診療所がか強診だったという感想を持っている。こうした医療機関の差別化が必要かは疑問だ。慎重に対応すべき」とした上で「高齢化社会への対応等での活躍を見据えて、医療・介護の連携を小規模の歯科診療所でも取り組めるような評価をしていくべきで、施設形態での差別化ではなく、う蝕から口腔機能の回復や重症化予防に取り組んでいるかによる差別化(重点化)をしていくべき」との意見があった。


新体制で活動推進を

 5月27日、北海道保険医会の第5回代議員総会が開催され、新役員として理事候補者34名と監事候補者3名が選ばれた。新会長と4名の副会長および顧問が理事会に推薦された。そして5月30日に開かれた臨時理事会で、加藤康夫会長が率いる新体制がスタートした。
 一般社団法人北海道保険医会は、昭和25年12月「国民の健康を守るため保険医療の改善を期し、併せて保険医の生活安定を実現する」ことを目的に結成された。現在全道に18の支部が組織され、3,300名の医科・歯科の保険医により医科・歯科一体の活動が展開されている。法人格を取得して4年目となる今年、本会は運動強化と組織拡大が問われる重要な時期を迎えている。
 活動方針の具体化としては(1)医療制度改善に向けた運動を進めること。「いつでも、どこでも、だれでも」が安心して保険証一枚で受診できる医療を目指して活動していく。国民皆保険制度を守り、患者負担増計画の阻止に向けた運動に取り組む。「子どもの貧困」や保育所の不足が叫ばれている中で、今後は国が中心となって子どもの医療費助成を支援する体制を確立させるとともに、中学までの無料化制度の早期創設を求めて国や自治体への働き掛けを続ける(2)医業経営をサポートする諸活動。消費税の増税阻止とゼロ税率の適用を求めて運動する。医業経営に役立つ各種研修会を開催する。平成30年度診療報酬・介護報酬の同時改定に際し、検討会や講習会などを通じ会員へ迅速かつ正確な情報を提供し、懇切丁寧に相談に応じる(3)組織拡大と共済制度の普及。休業保障共済保険、保険医年金、団体定期保険の三大共済制度の加入拡大に努め組織拡大にもつなげる。会員のメリットとなる実務セミナーやスポーツ・レクリエーション行事を充実させる。
 会務執行体制の強化と健全財政の維持、また各種関係団体との連携や交流を図ることは重要である。
 新体制の下にすべての会員が結集して更なる運動の強化を目指したい。


医科歯科連携推進のために

 「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(厚労省)」は4月6日、医師の需給問題や看護師の業務範囲、歯科分野におけるビジョン等、今後の働き方ビジョンについて報告書を提出した。 

歯科分野で触れられた「医科歯科連携推進等」では、周術期に口腔管理を行うことで入院日数が減少することや、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防となること、歯周病患者に糖尿病の発症リスクが高いことなど、口腔の健康が全身の健康と深い関係を有することを指摘したうえで、医科歯科連携の重要性が増しているとした。 

周術期の口腔管理については、平成24年改定において全麻下でがん等に係る手術を実施する患者の管理を目的として、「周術期口腔機能管理料」が導入された。算定に際しては、手術を行う医科からの情報提供が必要であるが、連携が進まなかった。 

 連携の推進のため、平成26年改定では、点数の大幅な引き上げ、周術期口腔機能管理後手術加算を医科、歯科点数表に新設、診療情報提供料(機砲鵬短擦垢觧科医療機関連携加算を医科点数表に新設などの対応が図られた。しかし、平成27年社会医療診療行為別調査によるとレセプト100枚当たりの回数は0・1回に満たない状況である。 

 なぜ連携が進まないのか。一番の理由は、歯科からの情報発信があまりにも少ないことではないだろうか。医科において、周術期の口腔管理についてほとんど周知されていない現状がある。また、今後の高齢化の進展に伴い、基礎疾患を有する患者や歯科診療所に来院できない患者が増加するため、在宅等において患者の全身の状態に配慮しながら歯科医療を行うことが求められているが、そのためには医科歯科連携は不可欠であることは言うまでもない。 

 次回同時改定に向けた中医協での議論においても、医科歯科連携の実践例が例示されるなど連携がキーワードになるだろう。連携推進のために歯科からの働きかけを今から進めなければならない。


在宅医療における本格的な議論が始まる

 4月12日、中医協総会が開催され、部会・小委員会に属する公益委員の指名等、最適使用推進ガイドラインについて、在宅医療を議題として行われた。その中で在宅医療において出された課題提起と議論を概説する。

 



 これまで厚労省は約6割が「自宅で療養したい」と回答しているなどと、自宅療養を強調するような資料を出していたが、今回は、終末期の療養場所に関する希望として、「自宅で最期まで療養したい」との回答は約1割であり、「自宅で療養して、必要になれば緩和ケア病棟に入院したい」等回答は様々、「60%以上の国民が、最期まで自宅での療養は困難と考えている」と実態に沿って報告が行われた。

 

在宅医療に係るニーズの特徴

 支援診や支援病の数は近年微減・横ばいだが、一方、支援診以外で訪問診療や往診を行う一般診療所の数は多い。支援診を届出ていない理由は、24時間往診体制が困難との回答が最も多く、負担感が大きいこと、一方、在宅専門医療機関は、わずかに減少していると報告された。参考として、訪問診療料の通知が示され「1人の患者に対して1つの保険医療機関の保険医の指導管理の下に継続的に行われる訪問診療」と規定されているため、連携先の医療機関の医師が訪問診療を行っても、在宅患者訪問診療料は算定できない取扱いとなっていることが指摘された。
 また医療機関での看取り状況資料(H26・10月分)が示され、療養病棟入院基本料の死亡退院割合は約35%であること、緩和ケア病棟入院料の届出医療機関数は年々増加していることなどが報告された。

在宅医療を担う医療機関

 主な原因疾患は、循環器疾患、脳血管疾患、認知症、糖尿病が多く、複数疾患を有する患者が一定程度いた。また、耳鼻科や眼科の疾患に対する訪問診療も行われていた。
 これらを踏まえ、厚労省は、在宅医療を確保・推進するために〇抉膺念奮阿魎泙瓩拭△かりつけ医による在宅医療提供体制△かりつけ医の夜間・時間外の負担軽減に資する、地域の医療機関の連携による救急応需体制かかりつけ医機能を補完するため、複数の診療科の医師が協働して行う訪問診療ご擬圓両態や診療内容、居住形態に応じた効果的・効率的なサービス提供に資する評価のあり方について提起した。

在宅医療を必要とする患者とその内容

 診療側の松原委員は、機能強化型支援診の連携型では、看取り実績をクリアするのは困難とした上で、連携先医療機関は、往診料を算定出来るように要望した。また「24時間体制は1人では無理。いくつかタイアップするとうまくいく」や「支援診以外の診療所は、頑張っているが届出できない現状がある。今以上の評価が必要」と現状の不合理が訴えられた。支払側から「負担感は事実と思うが24時間体制確保は重要」と述べ、要因分析を求めた。また、「高齢化が進んでいるから負担が大きいのは事実だが、チーム対応、グループ診療が重要だ」とし、医師以外を中心に考えることを優先すべきだと反論した。
 来年は医療・介護の同時改定であり、財源ありきの在宅医療には、断固反対する。

診療側意見に支払側が反論

 今回は、在宅医療に関する主な視点(案)が提案された。その中でも在宅医療提供体制の確保として|楼茲亮他陲鯑Г泙┐芯鷆‖寮の確保救急応需体制の確保。また、看取りを含めた在宅医療の充実としてヾ擬圓両態・特性に応じた在宅医療の推進多様な住まい方に応じた在宅医療の推進についてとりあげられた。

 



なりふり構わぬ給付抑制

介護保険法改正案

 

 介護保険関連法等一部改正案(正式名称;地域包括ケアシステムの強化のための介護保険等の一部を改正する法律)が4月18日、衆院本会議で可決された。15年8月からの2割負担導入による介護サービスの利用抑制に関する十分な影響調査もされないまま、来年8月から3割負担が導入される。安倍政権は将来的な利用者負担の拡大を否定しておらず、国民不在の制度改悪による社会保障の後退はこれ以上許されない。

 

1 保険者機能の強化
 厚労省は現在、地域間比較を行うことのできる「地域包括ケア」見える化システムを展開している。全市町村が保険者機能を発揮しやすくなるよう、自立支援・重度化防止に向け取り組む仕組みを制度化する。 
 まず市町村に介護給付費や要介護認定等に関するデータ提供を義務付ける。国は市町村から提供されるデータを集計・分析し、地域間比較が行いやすいように加工する。
 市町村は国から提供されたデータに基づき地域の課題を分析し、介護保険事業計画を策定する。計画には介護予防・重度化防止等の取組と目標を記載する、市町村はリハビリ職と連携して効果的な介護予防を実施するとともに、「要介護状態の維持・改善の度合い」などのアウトカム指標と「地域ケア会議の開催状況」などのプロセス指標の組み合わせによる実績評価を行う。
 国は結果を集約して評価・公表するとともに交付金などの財政的インセンティブを付与する。指標とインセンティブ付与の詳細は平成30年度の予算編成過程で検討される。

2 「介護医療院」の創設
 介護療養病床等の受け皿となる新たな介護保険施設として「介護医療院」を創設する。「日常的な医学管理が必要な重介護者の受け入れ」「看取り・ターミナル」などの機能を受け継ぎ、また「生活施設」としての機能を兼ね備えており、長期療養のために医療と介護を一体的に提供する。
介護保険法上の介護保険施設だが、医療法上は病院ではなく、介護老人保健施設と同様に医療提供施設として位置付けされる。管理者は都道府県の承認を受けた医師。病院または診療所から転換した場合は転換前の名称を継続して使用できる。

 具体的な介護報酬・基準・転換支援策は、社会保障審議会介護給付費分科会等で検討する予定である。なお介護療養病床の経過措置も6年間延長され35年度末までとなる(表1)。(医療療養病床は未定)
 
3 地域共生型サービスの導入
 高齢者と障害児・者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉制度に加え新たに「共生型サービス」を位置づける。介護保険法、社会福祉法、障害者支援法、児童福祉法を改正し、障害福祉サービス事業所や介護保険事業所がそれぞれ別の制度の指定を受けやすくする特例を設ける。対象サービスとしては、ホームヘルプやデイサービス、ショートステイが想定されている。
 これに対して、障害者団体は「複合的なニーズに安上がりな人員体制で対応するもの」との危惧を示し、兼務に伴う過重労働が憂慮されるとしている。
 
4 利用者負担3割の導入
 介護保険の自己負担2割の人のうち、特に収入が高い層の負担が3割になる。導入は平成30年8月の予定。具体的な基準は政令事項であるが、医療保険の「現役並み所得者」の基準を踏襲する。
 対象は 峭膩彌蠧清盂曄糞詬深入や事業収入等から給与所得控除や必要経費を控除した額)が220万円以上」、かつ◆崘金収入及び年金収入以外の合計所得金額が単身世帯の場合で340万円以上、夫婦世帯の場合で463万円以上」が対象になる。対象者は3%に当たる12万人と推定されている(表2)。

 厚労省は、一昨年の2割負担導入前後で、1割と2割負担者間で受給者数の伸び率に「顕著な差はない」としている。しかし、2割負担になった約40万3000人のうち、40%以上がサービス利用を減らしており、また特養などの介護施設からの退所者は1600人以上と報告されており、現場の実態を軽視した厚労省の姿勢は看過できない。

5 介護納付金への総報酬割の導入
 現在、介護保険の2号保険者の保険料は、介護納付金として医療保険者に賦課している。現行制度では「加入者数に応じて負担(加入者割)」しているが、被用者保険では段階的に「報酬額に比例した負担(総報酬割)」となる。具体的には、平成29年8月分から2分の1、31年度から4分の3、32年度から全面的に導入される。負担増となる被保険者は約1300万人、一方負担減となる被保険者は1700万人(平成26年度実績ベース)。比較的報酬の高い共済組合や多くの健保組合は負担増になる見通しで、全体では320億円の負担増となる。
 また、特に負担増が大きい被用者保険者への財政支援が31年度末まで予定されている。なお、市町村国保や国保組合では加入者割を継続する。

6 その他
 ’知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の基本的な考え方を介護保険法に位置付ける。地域包括支援センターの事業の自己評価と質の向上を図るよう義務付ける。市町村が居住サービス等の供給量を調節できるよう、指定拒否や条件付加の仕組みを導入する。ぐ質な事業を続ける有料老人ホームへの指導監督の仕組みを強化するため、事業停止命令措置を新設する。ゾ祿下垰抉膸楡濺を退所して介護保険施設等に入所した場合、市町村の給付費が過度に増えないよう、前施設に入所前の市町村を保険者にする、などが盛り込まれている。

 本法案は4月12日、衆院厚生労働委員会において、民進党が安倍首相への質疑で森友学園問題を取り上げたことに反発し、当初の予定を繰り上げて強行採決された。野党は3割負担の対象が拡大しないよう法律に明記することを求めたが、安倍首相は将来的な拡大を否定していない。
国会では、重要な法案が充分な審議がなされないまま、数の論理だけで決まる状況が続いている。本会は社会保障をめぐる諸問題を会員に周知するとともに、改善に向けた活動を強化していく。

 



介護難民増加は必至

 

 全都道府県の地域医療構想(以下「構想」)が出揃った。2025年の医療提供体制構築に向けて各構想区域に設置する地域医療構想調整会議において具体的な議論が本格化する。 厚労省は調整会議を年4回開催する案を示し、第3回(10〜12月)には、機能ごとに具体的な医療機関名をあげた上で、削減・転換する病床を決定するよう求めている。定期的に都道府県に進捗を確認し、18年度の本格実施前に、病床削減先を決めるよう促す構えだ。

 「構想」では、2025年に向けて全都道府県の病床が、約15・6万床と1割強減少する見通しとなり、これは政府専門調査会が推計した削減値に沿った結果となった。「構想」に基づいて病床削減を進めた場合、介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等で新たに30万人程度の対応が必要と見込まれている。

 厚労省は、在宅医療の整備量の推計にあたって一般病床からの患者(概ね1日175点未満の患者)は基本的には外来医療で対応し、療養病床からの患者(医療区分1の70%等)は、介護療養病床の新たな転換先とする「介護医療院」等への転換見込量を除いた上で、外来、在宅医療、介護サービスで対応する考えを示している。

 しかし、推計の方法や臨床現場との乖離に対しての疑問や異論は少なくない。2017年度下期に具体名を挙げるとするスケジュールに、拙速ではないのかとの懸念もある。更に、 レセプト情報・特定健診等情報データベースを活用したデータブックについても、 使いこなせていない、診療圏分析ができない、不完全なデーターを全てとする危険性等が指摘されている。

 厚労省の計画・誘導は、患者家族のニーズに対応する施策ではなく、病床削減ありきの感は否めない。患者の療養環境はさらに悪化し、介護難民の増加が懸念される。

 北海道は広域だが人口が分散するという地域特性、医療資源が札幌に一極集中するという現状がある。どのように「地域完結型」の医療を実現するのか、これからの各地域医療構想調整会議の議論の行方を注視したい。


 
第5回代議員総会にご参加を


 北海道保険医会は、医科歯科の保険医が一体となり医療制度改善のために活動してきたが、更なる活動の強化と公益性を求めて4年前、一般社団法人となった。法人の責任を果たしつつ、創設以来の目的である「保険医療の改善を推進し、もって国民の健康を守ることを目的にし、会員の団結をはかり保険医の生活安定を実現する」活動に邁進する。

 デフレは、バブル崩壊と緊縮財政で始まる。1990年代半ばバブル崩壊で、巨額の不良債権を抱えた銀行が、自己資金比率の確保で「貸し渋り・貸し剥がし」を行ったため、資金繰り悪化で企業倒産が相次ぎ、金融不況に陥った。阪神・淡路大震災の復興への政府支出と携帯電話の爆発的ブームで景気回復軌道にあった1997年に橋本政権は、財務省主導の緊縮財政を行ってしまった。国民は、消費税増税、特別所得減税打ち切り、医療費自己負担増などで9兆円の負担増になった。その翌年、名目GDP(総需要)は、マイナス成長になり、当然、税収も4兆円減少した。いわゆる失われた20年が始まり、本来の供給能力より、名目GDPが低くなり、デフレギャップが広がった。引き続き歴代政権も、公共投資削減、診療報酬削減、医療費窓口負担増などの緊縮財政を続け、名目GDPは横ばい状態で推移した。名目GDPが増えない時期の緊縮財政は、同じパイの中で政府の取り分を増やし、国民の取り分を少なくし国民を貧乏にする。デフレ脱却には、名目GDPの増加と緊縮財政の廃止が必要である。

 依然として、デフレが脱却されず緊縮財政が続けられているため、医療経営は益々厳しさを増している。だからこそ、多くの保険医を本会に迎えて組織拡大を図り、社会インフラの一つである「医療」の制度改善のため活動を行い、頼りにされる北海道保険医会を目指し邁進している。

 来る27日午後5時より札幌ビューホテル大通公園で「第5回代議員総会」が開催される。一般会員も傍聴できるので、是非、参加して頂きたい。
 

 


      第7次医療計画 厚労省が通知                
              
           医科歯科連携の重要性を明記―



 厚労省は、平成30年度からの第7次医療計画に伴う「医政局長通知」と疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制の「医政局地域医療計画課長通知」を3月31日付で都道府県知事に発出した。同通知は今後の医療計画策定の指針となるもので、医科歯科連携等の重要性が明記された。

 


5疾病・5事業について
 がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患と糖尿病及び精神疾患の5疾病について、ロコモティブシンドローム、フレイル、肺炎、大腿骨頚部骨折等は5疾病に加えないとしたものの、その対策については、他の関連施策と調和を図りつつ疾病・介護予防等を中心に医療・介護が連携した総合的な対策を講じるとした。

 また、救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療(小児救急医療を含む)の5事業及び在宅医療については、施策や事業の結果のみならず住民の健康状態や患者の状態にどれだけ影響を与えたかという観点からの評価と改善を行う仕組みを提起した。


歯科医療機関の役割について
 地域包括ケアシステムを進める上で、歯科医療機関が地域の医療機関等と連携体制を構築することが重要とした上で、各医療連携体制の構築に歯科医療が果たす役割を明示し、入院や在宅等の患者に対する医科歯科連携の更なる推進が必要と指摘した。


がん、脳卒中の医療提供体制について
 がん治療では周術期口腔機能管理への取組みの把握が必要とし、脳卒中では誤嚥性肺炎の予防に関して、口腔管理を実施する病院内の歯科や歯科医療機関等を含め多職種で連携して対策を図るとした。


糖尿病の医療提供体制について
 糖尿病の予防・治療には、患者自身による生活習慣の自己管理に加え、内科、眼科、小児科、産科、歯科等の各診療科が糖尿病の知識を有する管理栄養士、薬剤師、保健師、看護師等の専門職種と連携して実施する医療サービスの必要性を明記。糖尿病患者は生涯を通じての治療継続が必要であり、これらの医療サービスが連携、継続して実施されることが重要とした。


訪問歯科診療関連について
 厚労省のデータでは、在宅歯科医療を受けた患者数は4万600人/日(歯科外来患者総数の3・0%)で、そのうち78%が65歳以上。また全歯科診療所6万8592か所のうち訪問歯科診療を提供している診療所は1万4069か所(20・5%)で、在宅又は介護施設等における療養を支援する在宅療養支援歯科診療所は6443か所(9%)とした。近年、口腔ケアと全身疾患との関係性が広く認識され、医療機関等との連携推進が求められるとした上で、在宅医療の体制構築に当たり現状の把握が重要としている。


◇  ◇  ◇


 今回の通知に関し、本会としても医科歯科一体の活動の充実を図り、医科歯科連携の更なる推進に積極的に取り組んでいく。

 

 

 



     遠隔診療の現状と議論の推移         


 中医協総会は、先月8日に来年度の診療報酬改定に向けて外来医療についての議論をスタートさせた。外来医療についての大きな論点の一つが「遠隔診療」だ。遠隔診療の現状と、それを巡る議論の推移について概説する。

 



「遠隔診療」の現状
 診療は対面診療が基本とされているが、「患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合は、対面診療の補完として遠隔診療を行うこと」は無診察診療を禁じた医師法第20条に直ちに抵触しないと解釈されている。厚労省は、離島・へき地などの場所、在宅酸素や難病、がんなどの9種類の患者の状態に該当した場合、遠隔診療ができると例示している。これらの場合は再診料等の診療報酬を算定できるが、初診料に関しては遠隔診療のみで診療を完結させることは医師法第20条に抵触するとの判断から算定することができない。

 それに対し、一昨年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改定2015」には、「初診であっても直接の対面診療を行うことが困難である場合についても、医師の判断により、遠隔診療が可能であることを明確化するため、速やかに通知を発出する」と明記され、議論が続いている。

 しかし、厚労省としては遠隔診療はあくまで補完的な役割であり、初診料は対象外という立場を崩していない。また、診療報酬上の評価のためには、対面診療に比べて医療サービスの質が上がるという科学的なデータが必要であるとしており、この点も今後の論点となる。


診療側と支払い側は対立
 政府は昨年末の未来投資会議において、今後の目指すべきあり方として、「AIを用いた最新のエビデンスや診療データの解析により、患者が最適な診療を受けられるシステムを構築すること」「AIやIoT等のICTを活用した診療支援や遠隔医療等を診療報酬の中に組み込むこと」を挙げた。そして、遠隔診療およびAIを用いた診療支援の来年度改定における対応を検討するとした。

 これを受け、先月8日の中医協総会で診療側の中川俊男委員は「遠隔診療、AIを用いた診療支援に対して、18年度診療報酬改定での対応を検討するという方向は拙速ではないか」と述べた。それに対し、支払側は「患者や医師などの負担軽減、医療費の節減になるのではないか」と意見は真っ向から対立した。さらに、中川委員は「通常の診療の場でICTの技術が活用されるのは当然だが、遠隔診療とICTを活用した診療は別に考えるべきだ」と主張した。


加速する遠隔診療を巡る議論

 規制改革会議の「健康・医療ワーキンググループ」の議論では、「遠隔診療にかかるコストは(中略)患者の利便性・快適性向上に寄与するものであり、保険外併用療養制度の範囲を拡大してコストを回収する考え方もあり得る」とし、閣議決定に盛り込まれた。また、厚労省は、遠隔診療について「在宅における療養指導・助言に加え、慢性疾患の重症化予防や健康指導・管理といった多様なサービス提供モデルが検討されている」と述べるなど、診療報酬上の評価の要件とされる「サービスの質」の向上につながるとの主張も出されてきている。

 次期改定に向けた遠隔診療を巡る議論は、混合診療拡大の動きを含め、今後急速に進む可能性がある。その中で、患者の利便性とニーズに真にかなうものか、保険医の医療提供体制へ悪影響がないのか等を検証しつつ今後の議論を注視していく必要がある。

 


   徹底した医療費抑制を誘導する国保都道府県化   

 18年度、多額の赤字が続く国民健康保険(国保)の都道府県化が施行され、徹底した医療費抑制策と国保保険料の引上げなど深刻な影響が懸念される。

 

 

はじめに
 15年度、国保は2853億円の巨額な赤字を抱える。15年5月医療保険改革関連法が成立し、18年度から国保は都道府県化され「都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化する」ことを目指すとしている。しかし、国保都道府県化により、療養給付抑制と保険料引上げ、医療費「適正化」を誘導する市町村のインセンティブ改革、周到な医療費抑制策が始まろうとしている。


都道府県の権限強化
 都道府県は市町村に対し徹底した保険料徴収を強要させる等の「保険者努力支援制度」を新設し、新たに国保特別会計を設け、財政運営の責任を負う。医療給付見込み、所得を加味した1年分の「事業費納付金」を決定し、市町村に割り振り、100%納付が義務付けられる。

 都道府県は、「骨太方針2015」が掲げる(1) 療養病床・外来医療費・医療介護費用の都道府県別の地域差是正、(2) 国保の医療費の地域差が反映されるよう国保財政の仕組みを見直す方針を盛り込んだ「医療費適正化計画18〜23年」を策定する。都道府県別の診療報酬点数単価設定見直しや民間病院病床削減を命令する権限が検討される。


インセンティブ改革としての「保険者努力支援制度」
 保険者に対する「インセンティブ改革」としての「保険者努力支援制度」とは、「被保険者の健康の保持増進や医療費適正化等に向けた保険者の努力を促」し、都道府県が、市町村に対し保険者として徹底したの保険料徴収や特定健診・特定保健指導の実施率、糖尿病等の重症化予防、後発医薬品の使用促進の達成率等を評価する医療費「適正化」政策である。客観的な指標を評価し、一定基準以上改善できれば支援金が交付される。その財源は「医療費適正化」を達成できない市町村から徴収するペナルティからなる。応能負担と社会保の倫理性に矛盾した政策であり、保険者による健診・保健指導等に関する検討会でも異論がでた。


医療費削減に向けた個人のインセンティブ強化
 「個人については、健康づくりの取組等に応じたヘルスケアポイント付与や保険料への支援になる仕組み等の個人に対するインセンティブ付与を行うことにより、国民一人ひとりによる疾病予防、健康づくり、後発医薬品の使用、適切な受療行動をさらに促進する。また、個人の健康管理に係る自発的な取組を促す観点から、セルフメディケーションを推進する」とされている。16年の医療保険制度改革第150条で既に規定されている。しかし、ヘルスケアポイント付与に現金給付、保険料の傾斜設定を行う考えであり到底容認できない。安易なセルフメディケーションは健康被害や必要な受診を妨げ重症化を招く懸念がある。


都道府県と市町村との役割分担

 都道府県は、財政運営責任の主体となり、市町村ごとの納付金を決定し、標準保険料率設定、保険給付の点検、事後調整を担当する。

 一方、市町村は、被保険者の資格管理、保険料率の決定、賦課・徴収、保険給付、保険事業などを行う。保険料を被保険者から徴収し、都道府県に上納する。保険料の収納率目標が下回り、都道府県に収める分賦金が不足する部分は、市町村が一般会計から繰り入れし賄う。分賦金方式では、都道府県は市町村に対する上納額を決めるだけにすぎず、国保の財政問題の解決には至らない。国の責任が、地方自治体に転嫁され、国保事業の後退を招き、地域間格差が一層拡大することが危惧される。


国保料引上げ 最大2倍
 国保制度改正は、市町村間で差が大きい保険料の平準化が最大の目的であり、持続可能な制度にすると説明されている。都道府県は市町村との協議を通じ保険料の市町村間格差を高い方に均して行くため、保険料は引き上げられる。都道府県全体で保険料算定方式を統一すると保険料は更に高騰する。

 道の試算によると、所得200万円、夫婦2人のモデル世帯で、市町村ごとの保険料が大きく増加するのは93市町村で最大2・26倍、最も下がるのは82市町村で33%減であり、激変緩和の措置が講じられる。


国民健康保険をめぐる問題

・職業構成
 被用者保険に加入できない非正規雇用労働者や無職者が増加しつづけ、国保は生活保護を受ける直前までの国民を支える役割と日本国憲法第25条における生存権保障を担っている。

 「保険料の納付」は、保険料を納付できない人々が多数いるという視点が北海道国民健康保険運営方針原案(以下、方針案)には欠けている。国保被保険者のうち65〜74歳の構成比が年々増加し、平成26年で38・3%を占めている。国保被保険者の職業は退職者も含めた無職者が47%であり、非正規雇用者などが31%を占め78%は低所得者と考えられ、更に被保険者の所得は減少する傾向にある。最も平均所得の低い国保加入者が、最も高い保険料を支払っており、国は国保の運営に対し国庫負担を削減しつづけているため国保料は他の被用者保険に比して相対的に高額になっている。

・保険料徴収の強化
 「収納率向上対策」として、現在市町村は以下に述べる制裁措置の強化策を取っている。財産調査の徹底、財産差し押さえの強化等の滞納処分の強化、短期被保険者証発行と納付誓約などである。財産調査による滞納処分は全保険者の93・4%の保険者に及んでいる。また、給与、売掛金、年金、生命保険や学資保険の解約返戻金等も対象とし、全保険者の91・6%で行なわれている。

 高い保険料が生み出される構造、保険料を滞納せざるを得ない状況、国庫負担の削減の結果、被保険者に負担と責任が転嫁されており、早急に改めるべきである。

・経済的理由による受診抑制
 無職者や非正規労働者などの被用者は保険料の納付ができずに、受診抑制が誘導されている。17年度までは市町村が保険者として保険料の強制的徴収などの保険者機能強化が図られ、保険料の納付ができずに実質的に無保険者となり、受診抑制のため重症化を招いている。
 
・医療機関への適正な受診
 必要な医療に安心してアクセスできる国保制度改革が必要である。支払いが可能な保険料設定が重要であり、保険料を支払えない人々から懲罰的に徴収することなく、国庫負担を増やすことが求められる。必要な医療を受けることで、健康確保を通し地域社会の活性化に繋げるべきである。


おわりに
 国保は国民にとって最後の重要なセーフティーネットである。国保加入者は約3500万人と最大の公的医療保険である。被用者保険に加入できない非正規雇用労働者や無職者が増加しつづけ国保は生活保護を受ける直前までの国民を支える重要な役割を担っている。
 

 国保の都道府県化は、都道府県の権限強化による徹底した医療費抑制をもたらし、国民皆保険制度崩壊が懸念され注視が必要である。




医師自身のメンタルヘルス対策を

  
 平成27年12月からストレスチェック健診制度がはじまり、高ストレス者には、産業医が面接して必要な措置を事業者に勧告できるようになった。しかし、これに伴い、医療法人理事長、病院や診療所の院長が自分の職場の産業医を兼務している場合、労働者の健康管理よりも事業経営上の利益を優先する恐れがあるとして是正が求められることにもなった。罰則規定はまだないものの、平成29年4月までに是正を求められており、対策は急務である。

 国会質問を機にこの通達がなされたようであるが、これまで産業医資格を苦労して取得し、医師の良心にもとづいて、自らの職場従業員の健康管理にも尽力してきた院長、理事長の先生方にとっては、納得いかないところであろう。何より、産業医資格を持つ他の先生をすぐに確保できないのではないだろうか。これから産業医資格の取得を誰かにお願いするにしても、研修実績が必要であり、少なくとも2年程度の猶予が欲しいところであったかと思う。

 さて一方、政府は働き方改革として、残業時間の上限規制を罰則付きに厳格化する方針を示している。残業時間と職場のメンタルヘルス(うつや自殺)との関連に関する医学的な検証を踏まえて、上限は単月で100時間未満とし、特例を含め年720時間以内に収めようとするものである。これに対し、日本医師会や病院団体から医師を適用除外とするよう要望がなされ、適用は5年遅らせる予定とのことである。医療法の医師の応召義務、救急患者や緊急手術対応、山間部の一人診療所などの状況、また研修と労働の切り分けも難しいというのが理由らしい。今後、オールジャパンで医師の働き方等について議論されるとのことだが、この5年後というのは少し間延びしている感じがある。

 このように国がすすめるメンタルヘルス対策については、医師の負担増となる。今まで置き去りにしてきた医師自身の職場のストレス対策については制度上の改善を強く望む



国民皆保険を堅持し 歯科医療の充実を

 歯科会員集会は、歯科医療の成立ち、過去の差額徴収問題、臨調行革、健保改悪、特定療養費制度、補綴物維持管理、「か初診」導入、そして、現在に至る長期維持管理、「か強診」導入、地域医療構想と地域包括ケアへの歯科の位置づけ、さらなる医療費抑制の構想に認識を深める場となった。

 昨年の歯科診療報酬改定では、診療現場の実態に則した算定用件の緩和や具体的項目の引上げがされたが、本会歯科部が実施した「歯科保険診療に関する会員アンケート」では、人件費や福利厚生費、消耗品など経費削減に努める一方で、患者数(45%)、保険収入(46%)、保険外収入(37%)いずれも「減少した」との回答があり、保団連の「開業医の実態・意識基礎調査」では、歯科医院経営に「見通しが立たない」との回答が2割あった。依然として厳しい医院経営と医療環境が続いており、診療報酬の大幅な引上げが求められる。

 また、近年、医療、介護の現場を中心に口腔ケアの重要性が強く認識されるようになり、厚労省は歯科医療によってADL、QOLの向上が図られるとして歯科保健医療の充実を確約した。次期の医療・介護の同時改定でどのように反映されるか注視が必要である。

 歯科では予てより保険適用外の治療も多く、保険診療の拡大に影を落としてきた。厳しい医療環境のもと「歯科技工問題」では、診療報酬の公定価格と技工物の市場価格の間で具体的な解決策を見いだせないまま今日に至っている。歯科医師の多くが将来の補綴物の供給に不安を抱いており、歯科医療を支える重要な課題解決のためには、歯科医師と歯科技工士が一体となり医療保険制度の改善、医療法改正も視野に検討を進めるべき時に来ている。

 本会歯科部では、今後も医院経営に有用な医療・保険情報の迅速な発信に努める。さらに関連する医療団体と情報交換や連携を深め、患者・道民に口腔管理の重要性を訴える各種啓発活動を通じ、より良い歯科医療の充実を目指し積極的に活動を進めていく。

 

 


平成28年度 歯科会員集会
    歯科医療の過去から現在を見つめ   
           未来に向け確かな運動の継続を   


 本会歯科部は、3月18日、平成28年度歯科会員集会を開催した。「歯科医療の過去・現在・未来」をテーマに、全国保険医団体連合会(保団連)より宇佐美宏歯科代表を講師にお迎えし講演会を開催。道内各地より会員、関係団体が多数参加した。


 会員集会では、はじめに野川哲義副会長より「歯科医療を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いている。本日は歯科医療の過去から現在までを検証し、未来について我々が進むべき方向を見出すための集会としたい」との挨拶があった。

 講演では、宇佐美歯科代表が冒頭「様々な場所で講演させて頂いているが、私の話を聞くと皆が暗くなると言われる。その理由は国による歯科医療軽視の歴史をどうしても語らざるを得ないからだ」と前置きがあった。

 1.「歯科医療の苦難の道のり-今に至る歯科軽視の流れ」では、歯科医療の成り立ちから健康保険法発足、国民健康保険法施行について説明があった。

 2.「国の歯科診療報酬政策-厚労省はいかにして歯科医療費を抑制してきたのか」では、社会問題化した差額徴収問題と51年通知による混合診療の固定化、臨調行革による診療報酬改定財源を薬価差益から捻出、健保法改悪・自己負担増による歯科受診の低迷、特定療養費制度導入と混合診療解禁への布石、補綴物維持管理や「かかりつけ歯科医初診料」導入での長期維持管理路線の定着、2006年度診療報酬改定は日歯の汚職事件への報復改定と審査、指導の強化、2016年度改定での「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」新設の思惑と今後の影響について解説した。

 3.「歯科医療供給体制再編の流れ-歯科医院総体の平等化を阻止」では、「か強診」の届出、在宅医療への対応、診療所の人員・規模、IT化などを基準とする医療機関の区分けと差別化、地域医療構想と地域包括ケアシステムのリンクで「定数制」「定年制」導入へなど、様々な医療費抑制策の構想について述べた。

 4.「国民皆保険制度を守り、更に発展、拡大させるための医療運動」では、「保険で良い入れ歯を運動」などの成功例を挙げ、「国・官僚が恐れるのは世論の盛り上がりとマスメディアである」として、医師・歯科医師・パラメディカルスタッフが一致団結し、患者・国民を巻き込んだ運動やきめ細かなマスメディア、議員、ネット対策が必要と指摘。「歯科医療の明るい未来ビジョンは容易には描けないが、医療団体としての使命を忘れることなく、国民や関連団体と共に医療改善運動を続けることが大切」と結び、講演を終了した。

 今回の歯科会員集会には、会員はもとより北海道歯科医師会、札幌歯科技工士会から多数の役員の参加があり、講演会後の懇親会では藤田一雄道歯会会長、道垣内茂樹札技会会長から挨拶を頂き、今後の歯科医療の進むべき方向に関し意見交換を行い、会員との懇親を深めた。
 


  社会保障の切り捨てを直ちに中止せよ



 安倍政権は平成28年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定した。その目的はアベノミクスによって子育て支援や社会保障の基盤を強化し、経済を強くするという新たな経済社会システムの構築である。プランが実現するか否かはともかく、この時点ではあたかも安倍首相が社会保障の充実に本腰を入れる決意を表明したかのように見えた。しかし昨年の参院選後、国民が目の当たりにした現実は社会保障の充実どころか、安倍政権のあからさまな医療と介護の切り捨てへの方向転換である。

 ちなみに17年度厚生労働省の予算要求は概算で過去最高の31・1兆円、その伸びは前年度比6400億円増に上る。社会保障費のうち最も額が大きいのが医療で、前年予算に比べて2・6%増の11・5兆円。また介護では同3・8%増の2・9兆円を計上、年金は1・4%増の11・4兆円を求めている。これに対し政府は財政健全化計画により、社会保障費の伸びを16年から18年まで年5000億円に抑えなければならない。年金は給付額の伸びを物価や賃金の伸びより抑制する仕組みが作用し増加幅は比較的小さい。当然ながら医療費と介護の増加が問題となる。とりわけ介護は額こそ医療と比べ少ないがその伸びは著しい。

 このような状況下で財務省と厚労省が社会保障費の増加分を、国民の負担増で賄おうとしている。具体的には医療においては後期高齢者の自己負担引き上げや、所得の高い高齢者の高額療養費月額負担の引き上げ等を検討している。さらに介護においても2割負担の対象者の拡大、要介護度の低い人向けサービスの保険外し、高額介護費自己負担の月額上限引き上げなどが予定されている。一方、医療機関側にとっても受診抑制は言うまでもなく社会保障費の絞り込みが十分でない場合、18年の診療報酬と介護報酬改定が重なる同時改定時に大幅なマイナス改定が予測される。

 政府は医療機関や国民に負担を強いる社会保障切り捨てを直ちに中止すべきである。


 公開医政講演会開催! 

   地域住民のための「地域医療構想」の推進を!   




 公開医政講演会を2月18日、津市立三重短期大学生活科学科教授の長友薫輝(ながともまさてる)氏を講師に迎え、「北海道の地域医療構想を考える〜地域医療の崩壊を招かないために〜」をテーマに開催し、道内各地より多数が参加した。



  立花政策部長の司会のもと、はじめに小笠原俊一会長より「医療費抑制策の中、現在進められている地域医療構想には、様々な問題がある。本日の講演を通じ、より知識を深め問題点等について検証したい」と挨拶があった。

  引き続き講演が行われ、長友教授は、日本の医療保障は、公的医療保障による皆保険制度と医療供給体制で成り立っている。この両者を一体的に変えるのが医療保険制度改革関連法であり、この中で医療費適正化計画である地域医療構想は新たな医療費抑制策の一環であるとし、その問題点を解説した。

 当初、地域医療構想の策定にあたっては、「地域の客観的受診データをもとに議論し、合意形成を経て病床数や構成割合等を決めていく」としているが、実際には多くの都道府県で病床数の削減決定が先行している。また、地域の受診記録や人口推計などをもとに国の定めた計算方式で医療需要を推計し、在宅医療・介護の推進を前提にした区域ごとの必要病床数を定める方法にも問題がある。特に、北海道のように広域で冬期間など医療アクセスが悪い地域を、全国一律の基準により算出されたデータを使用して医療需要の推計を行うことには無理があると説明した。

 さらに、地域医療構想は、国民健康保険の都道府県単位化や地域包括ケアシステムとそれぞれセットで連動し、医療費抑制策(医療費・供給体制の管理)として機能していることも注視する必要があると言及した。

 最後に、地域医療の崩壊を招かないためには問題点の改善はもとより、この「地域医療構想」を、患者・住民の実態を把握し、必要な医療提供体制と皆保険体制の底上げを図る好機と捉え、住民本位の地域包括ケア構築をイメージし地域で医療保障の水準を高める取り組みを続けることである。今必要とされるのは、政策方針として提示されている「地域包括ケアシステム」づくりに積極的に関わり、住民、医師・歯科医師や医療・介護関係の専門職、そして自治体とともに地域で独自の住民本位の地域包括ケアを構築するという視点であると述べた。

 参加者からは、「このまま進められた場合、医療難民・介護難民はどの程度発生するのか」「地域医療構想の他の政策との関連性・連動性が良くわかった」などの質問・意見が寄せられ、大変好評だった。



     改正道路交通法             
        認知症対策強化で現場は混乱か―



 改正道路交通法が3月12日に施行され、75歳以上のドライバーの認知症対策が強化される。

 現行では75歳以上のドライバーは3年ごとの免許更新時に「認知機能検査」を受け、「認知症のおそれ」「認知機能低下のおそれ」「認知機能低下のおそれなし」の3分類に判別される。「認知症のおそれ」に分類されたとしても、一定期間内に信号無視等の交通違反を犯していなければ、医師の診断を受ける必要はなく、該当した人の多くが医師の診断を経ることなく運転を継続できる状況にある。

 しかし、今回の改正法では同検査で「認知症のおそれ」と判定された場合、交通違反の有無にかかわらず医師の診断を義務付ける。このほか、免許更新時以外に、認知機能の低下が引き起こしやすいとされる信号無視や一時不停止等の18項目の交通違反を犯した場合にも「臨時認知機能検査」が実施され、「認知症のおそれ」と判定されれば、医師の診断を受けることとなる。

 医師の診断とはかかりつけ医による診断書の提出、または日本認知症学会等の専門医による「臨時適性検査」の実施である。警察庁によると2015年度の「認知機能検査」で「認知症のおそれ」と判定された人数は5万4千人となっているが、今回の改正に伴い、かかりつけ医に認知症の診断書作成を求めるケースは今後それ以上に増加することが予想され、現場に混乱が生じる恐れがある。

 その対策として、日本医師会では、認知症の診断書作成マニュアルを作成し、配布していく方針を明らかにしている。会員諸氏にもぜひ一度マニュアルをご確認いただきたい。

 


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