[私たちの主張] 究極のモラルハザード

投稿日時 2018-05-22 | カテゴリ: 私たちの主張

時 論

 

究極のモラルハザード

 

 とうとう出てきたと云うべきか。
 あの財務省の財政制度等審議会が医療・介護分野に社会保障費削減を目的とする地域別診療報酬を提言してきた。
 高齢者医療確保法で都道府県別の診療報酬設定の特例を認めているが、2006年の法改正後の実施例はない。
 提言では、医療費の伸び率が高い地域は住民の保険料負担が高いとして、地域差是正等も論拠にしている。
 介護報酬の単価が地域によって最大14差異があるとする調査結果も参考にしている。歯科への対応が医科に利用された歴史が、今度は介護から医療へと繰り返されている。
 病名のDPC係数管%の理に味をしめた厚労省が、今後さらに病床数のKPI評価指数等の細かい数値設定で病床削減を目論んでいる。
 しかし特例の法令化から10数年、実施されていないのは大きな理由があるのだろう。医療崩壊の一因とされる「医師の偏在」の悪化だ。
 診療報酬の低い地域で新規医業経営に意欲を持つことが可能だろうか。明日の1%が数年先の数%になる事は誰でも知っている。地域医療崩壊に拍車が掛かり、公設民営や委託の選択を迫られる事案が増えるのではないか。
 係数等のミクロの数値よりもマクロの数値を見直そう。
 道内に医療過疎地が多いのは周知の事実だが、地域医療を支える准看護師の養成数の減少や高齢化など、医療環境の厳しさは医師数、医師の偏在などだけではない。
 今年3月に今後5年間の北海道医療計画が公表された。厚労省の方針に基づく地域医療計画策定では、在宅診療必要者も数万人規模で急激に増加することが予想されている。ここに財務省主導の地域別診療報酬が実施されればどうなるか。疲弊した医療機関が医療・介護連携の要になりきれるか。数値化しにくい互助を地域包括ケアシステムに組み入れ、老々介護は蚊帳の外か。
 残念ながら財務省提言の中にその考察が無いように思う。
 厚労官僚のパソコンに眠っているのか。






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