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私たちの主張
私たちの主張 : [解 説] 提供体制に不安の声―総合事業の調査結果まとまる

解 説

提供体制に不安の声

 
総合事業の調査結果まとまる

 介護保険法の改正により要支援者に対する訪問介護・通所介護が、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)に移行されたことに伴い、本会では全道の市町村に対し総合事業への参入事業者の見通しや自治体財政への影響等についてアンケート調査を行った。その結果、特に人口規模の小さな町村からは不安の声が寄せられ、サービス事業者の不足等による体制整備に危機感を持つ自治体が多いことが明らかになった。

 

 2015年に成立した改正介護保険法では、多様なサービスの提供により要介護状態への進行を防ぎ、地域全体で高齢者の自立した生活を支援するための取り組みを進めることで、地域活力の向上にも繋がると「総合事業」導入の意義を説明している。総合事業は、これまでの要介護・要支援者以外に対する介護予防事業に、介護予防給付の訪問介護、通所介護を組み入れたもので、既に2017年4月から全国の市町村で実施が始まり、2018年4月より完全実施されている。
 総合事業への移行は住み慣れた地域で実情に応じたサービスの提供が受けられるとの利点が示されているものの、保険者が市町村に移管するため、サービス内容や財政措置等は市町村の体力に負うところが大きく、市町村間格差も懸念されていた。本会ではこうした影響を調査するため道内の179市町村に対しアンケートを実施し55市町村(回答率30・7%)から回答を得たのでその概要を報告する。

総合事業移行後の要支援者の変化

 要支援者数は「変わらない」が54・5%と半数を超えており、「伸びている」が23・6%、「抑えられている」が21・9%と拮抗していた【図1】。この伸びや抑制が総合事業への移行に影響したものか明らかではないが、全体的には大きな影響はないと見られる。

新たな総合事業の利用者数

 「見込み通り」との回答が47・3%と約半数に上り、その他は「多い」16・4%と「少ない」14・5%と同水準であった【図2】。「まだ分からない」との回答は18・2%で、先行きの見通しがつかない市町村も2割弱あるようだ。

総合事業に伴う市町村の財政負担

 「変わらない」が49・1%と半数を占めたものの、「増加している(増加の見込み)」も43・6%と高い数字が示された【図3】
 事業の内容、予算については市町村の裁量で行えるものの、これまでのサービスの質や提供体制維持のため、市町村の負担が余儀なくされているケースも多いのではないかと思われる。

新サービス提供事業者の参入有無

 「かなり不足している」が45・5%、「若干不足している」27・3%と合わせると7割以上が不足を訴える回答であった【図4】。さらに「かなり不足している」の回答を、市と町村で比較すると、市が25・0%であるのに対し町村は51・2%と半数を超え、地方での事業者確保の困難さが示された。
 自治体の独自性が発揮できるサービスであり、従来型のサービスに比べ低単価に抑えつつ、増え続ける要支援者の受け皿と目されているものの、事業者やボランティア組織の参入が無ければ成り立たず介護難民を生み出しかねない。今後の状況が注目される問題である。

将来の上限額超過に対する不安大きく

 総合事業移行に伴うメリット、デメリットを問う記述回答では、メリットではチェックリストにより事業対象者の決定が出来るなど事務の簡略化を上げる声もあったが、回答の多くは財政問題を中心に不安を訴える内容で占められていた。
 「地域支援事業交付金の上限額について将来的に訪問型サービス、通所型サービスの給付の自然増が当該上限額を上回ることが予想されるため制度の見直しを要する」「従前相当のサービスを活用せざるを得ず、総合事業の限度額の廃止、引き上げをお願いしたい」「費用の上限を設けられただけの制度」など国からの交付金で賄いきれない場合の財政負担を懸念する声や、「人口規模も財政力も弱小自治体においては事業のメニューを揃えることが難しい」「小規模自治体では新たな事業者の参入があれば共倒れの懸念もある」といったサービス提供体制への不安の声も寄せられた。チェックリストで簡便に対象者を決定する方法も、逆に費用のかかる訪問型、通所型のサービス利用者を拡大させる要因となり財政圧迫に繋がるなど、規模の小さな自治体では切実な課題が山積する状況が明らかになった。

介護給付の削減に歯止めを

 冒頭に記述した通り、「総合事業」の目的は建前上、「地域包括ケアシステム」を構築するための地域全体の支え合いの仕組みとされているが、実質的には国の財政負担を軽減し、市町村と地域に財政問題と運営責任を転嫁するものだ。
 特に要支援者への訪問介護・通所介護は、国の一律の基準による「給付」であったのに対し、総合事業への移行により市町村の予算内で実施される「事業」となり、市町村の財政負担能力や取り組み姿勢等で格差が生じる。また、市町村としても長期的な視野で要支援者の増加等を勘案すると、安易に手を拡げられず、今後要介護1、2も総合事業へ移行される可能性を考えると、予算措置やマンパワー対策にも自ずと限界がある。また、専門職以外の者が直接サービスに携わる総合事業の仕組みにも、一定の歯止めが必要で、国の責任により法律で保障された介護保険給付をこれ以上削減すべきではない。今後も各市町村の動向を注視し必要な改善を求めていきたい。


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