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私たちの主張 : [私たちの主張] ICT死亡診断等GL 条件付きで死亡確認可能に

ICT死亡診断等GL・・・
条件付きで死亡確認可能に

 厚労省は9月12日、各都道府県知事宛に「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等の取扱いについて」の通達を発出し、併せて「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」を示した。医師が死亡に立ち会えなかった場合、死亡後改めて対面での診察(死後診察)を行わずに死亡診断書を交付することを条件付で認めたもの。厚労省は規制の見直しについて患者が住み慣れた場所で最期を迎えやすくするほか、遺体を長時間保存・長距離搬送するなどの不都合を回避するのが狙いと説明している。


 同通知は日本看護協会の要望を受け、「スマホ等を用いて看護師による死亡確認報告」をもとに死亡診断書の交付を可能とした。患者の死亡時に生前診療にあたっていた医師が遠方にいるなどして、埋火葬を行うことができず、遺体の長時間保存や長距離搬送が問題になっていると指摘されたことを受け、規制改革推進会議ワーキンググループで議論された内容を具体化したものだ。
 
政府解釈の「診察」

 政府は平成9年に発出した通達で遠隔診療に関し、医師法における「診察」が「問診などの手段の如何を問わず、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のもの」であるとし、「情報通信機器を用いた診療であっても直接の対面診療による場合と同等ではないにしても、代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことはただちに医師法に抵触するものではない」との解釈を示した。
 政府はこの解釈を更に拡大し、医師が死亡に立ち会えず、生前に診療にあたっていた医師が死後診察を行う場合であっても、直接対面による死後診察に代替しうる程度の情報が得られる場合にはICTを用いた遠隔からの死亡診断を行うことは法令上可能であると明示した。

ICTを利用した死亡診断等の流れ

(表):ICTを利用した死亡診断等を行う際の要件

(a) 医師による直接対面での診療の経過から早晩死亡することが予測されていること
(b) 終末期の際の対応について事前に取決めがあるなど、医師と看護師の十分な連携がとれており、患者や家族の同意があること
(c) 医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にあること
(d) 法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が、死の三兆候の確認を含め医師とあらかじめ取決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できること
(e) 看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置等のICTを活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異状がないと判断できること
 生体に対する診察と異なり、死後診察の場合にはどのような条件下であれば 「直接対面による死後診察に代替し得る程度の情報が得られるか」明らかになっていないことから、ガイドライン(GL)で次の5つの要件すべてに該当した場合は、ICTを利用した死亡診断を可能と定めた(表)。             遠隔で死亡診断を行うには、前提として事前に終末期の際に積極的な治療・延命措置を行わないことや、ICTを利用した死亡診断を行うことについて予め文書で同意を得ていること、死後診察を行うまでに12時間以上要する状況であることなどの条件が設けられた。  実際に直面した時の対応としては、一定の研修を受けた看護師が遺体を観察した上で死の三兆候(心停止、呼吸停止、瞳孔散大・対光反射停止)を確認する。心停止については看護師が心音消失を確認した上で、心電図(または心電図波形を撮影したデータ)を送信する。また、遺体に異状がないか判断できるように、遺体の様子を撮影・伝送してリアルタイムに報告する等の対応が行われる。これらの報告をもとに医師が死亡診断を行った場合、看護師は医師の指示の下で死亡診断書を代筆し作成後遺族に交付する。ただし、看護師の報告から医師が死亡の事実確認や異状がないと判断できない場合には、死亡診断等を中止することになる。

ガイドラインの問題点

 ICTを利用した死亡診断等GLについては、平成31年3月を目処に再検証するとしているが問題点は山積している。特に要件の(c)「(略)医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にあること」については想定されている状況を離島・へき地等に限定していない。要件の例示では日当直勤務中に患者が死亡し、その後の勤務時間が長時間であるなど、直接の対面診療まで12時間を越えると見込まれる場合には対象になるとしており、患者との信頼関係への影響も懸念される。
 また要件の(d)「法医学等に関する一定の教育(略)」について、現行の看護師の養成課程では「法医学」に関する教育課程はなく、看護師国家試験の科目にも組み込まれていないため、同GLを踏まえて、平成29年度「在宅看取りに関する研修事業」(厚労省委託事業)で実施する予定としている。数日の研修・講義演習を受講することで法医学に関する一定の教育を受けたことになると定められているが、死後診察の現場で求められる水準に到達できるのか疑問がある。
 さらに、医師が転送された情報から死亡診断を行うことにより、通常の死亡診断よりも異状死を見落とす可能性が高くなることも指摘されている。
 死亡診断に必要な情報についても適切な通信セキュリティ環境下で送受信することを求められおり、情報の保護、漏えい対策等、医療機関の責任も重くなる。死亡診断書は法律上、社会上の重要性が極めて高く、その記載内容が正確になされなかった場合、死因統計が不正確になる等の影響が懸念される。

◇   ◇   ◇

 多死社会を迎えICT技術の活用が今後の医療に大きく貢献していくことが期待されるものの十分な議論を尽くさず、効率・効果を最優先し、見切り発車しては国民や医療現場に混乱をもたらす。保団連や保険医協会も遠隔診療自体に慎重な対応を求めており、今後の動向を注視する必要がある。

 


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