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1.総会決議  : [事業・報告] 第5回代議員総会

医療改善に向けて、新たなる船出
加藤康夫氏ら、新執行部決定


 5月27日、第5回代議員総会を開催し、全道各地より代議員51人・委任状24通(定足数39)が出席した。議案審議では28年度活動報告・収支決算、29年度活動方針・予算案が承認され、総会決議を満場一致で採択した。今年度は任期満了に伴う役員選挙が行われ、加藤康夫理事をはじめとする新執行部を臨時理事会へ推挙することが決定した。


 

 

 はじめに挨拶に立った小笠原俊一会長は「来年度の医療保険、介護保険の同時改定に向けて、審議が進められていおり、非常に厳しい提案がなされている。このような中で、代議員の先生方に本会は本会活動の総括と新年度の活動方針についてご審議をお願いしたい」と述べた。 

 笠井康弘議長、荻野英二副議長の代議員総会設立宣言後、昨年度に逝去された23名の会員に黙祷を捧げた。議案審議では下出道弘副会長から医療を取り巻く情勢と活動の報告を行い、続いて佐々木 豊財政部長より収支決算が報告され、承認された。
 監査報告は安井隆弘監事が行い、予算の執行や引当金の保有、職務執行などは適正と認める報告があった。

29年度活動方針
 
次に、小笠原会長より「患者負担増の軽減」「真の包括ケアシステム・地域医療構想の構築」「診療報酬・介護報酬の引き上げ」「患者申出療養制度の廃止」「マイナンバーの医療分野への拡大阻止」「ゼロ税率の導入」等などを柱とした29年度活動方針が提案され、承認された。
 引き続き、荒谷英二総務部長からは収入支出予算が上程され、賛成多数で可決された。

 最後に、今上岳彦起草委員長から総会決議文の提案があり、満場一致で採択された。決議文は後日、報道機関や医療関係団体へ送付した。


総会決議

 安倍政権は、財政健全化の名のもと、「骨太方針2015」に則り、医療をはじめとする社会保障の切り捨てを次々と断行し、平成30年度の同時改定を見据え、平成29年度においても、公的医療介護給付費の削減、患者負担増を狙う数々の改悪計画を準備しているが、マイナス改定は絶対に受け入れられない。
平成30年度に施行予定の国民健康保険の都道府県化により、都道府県の権限強化と地域の医療費格差の半減を目指し徹底した医療費抑制策と、国保保険料の引き上げが懸念される。

 近年、「健康格差」「下流老人」「老後破産」「子どもの貧困」「ワーキングプア」など、あらゆる世代の貧困や長時間労働による「過労死」そして「自殺」が社会問題となっている我が国において、患者・国民の視点に立った社会保障を堅持するための運動が益々重要である。

 ドナルドトランプ氏が第45代米国大統領に就任した。米国第一主義を主張し、ポピュリズム、ナショナリズムを展開し、我が国の社会保障への悪影響が危惧される。また、米国はTPPからの離脱を宣言し、日本にとってさらに厳しい日米間FTA締結要求により医療分野にも重大な影響を与えることが懸念される。 一方、安倍政権は発効見込みのないTPP関連法案を拙速に成立させ、米国抜きのTPPへと舵を切ろうとしている。同発効に至れば、医療の市場化・営利化、混合診療の解禁に道を開き、国民皆保険の崩壊が懸念される。

 北海道保険医会は、第一線の地域医療を担う立場から、国民の健康を守り、国民に安全・安心な医療を保障するため、国民皆保険制度の根幹を揺るがしかねない医療制度の改悪に断固反対し、以下のごとく決議する。

一、 「医療制度改革関連法」に基づく、患者負担増計画の即時撤回を求める

一、 国民に必要な医療介護を保障する真の「地域包括ケアシステム」「地域医療構想」の構築を推進し、これを医療費抑制策の手段とすることなく、十分な財源確保を求める

一、 新たな患者負担増や給付削減、地域医療を崩壊させる医療・介護提供体制の再編中止を求める

一、 医療費抑制政策を中止し、公的医療費の総枠拡大を求める

一、 良質な医療や介護を提供するため、診療報酬・介護報酬の引き上げと不合理の是正を求め

一、 選定療養制度の対象拡大に反対し、患者申出療養制度の廃止を求める

一、 マイナンバー制度の医療分野等への拡大に反対する

一、 医師・歯科医師の裁量権を無視し、医療現場を混乱させる指導・監査に反対する

一、 消費税増税を中止し、医療へのゼロ税率の適用を求める

 

平成29年5月27日
  
一般社団法人北海道保険医会 第5回代議員総会 

 
                      
  


 

一般社団法人北海道保険医会

 <平成29年度活動方針

 全力で医療制度改悪阻止を

 我が国の情勢と今後の課題

 アベノミクスの金融緩和・財政出動・成長戦略の三本の矢は、停滞する日本経済に効果はなく、政策が失敗したにもかかわらず「道半ば」とうそぶいている。安倍首相は今通常国会の施政方針演説で、「少子高齢化、デフレからの脱却と新しい成長」を政策目標とし、名目GDPの増加や企業倒産数の減少、有効求人倍率の上昇などを自らの実績として強調した。しかし、名目GDPはここ最近足踏み状態が続き、有効求人倍率も、求職者数自体の減少に加え、介護職など人手不足の業種が全体を押し上げていると見られており、経済効果としては懐疑的である。個人消費や消費者物価も低迷が続く中、「デフレの脱却」は程遠い。一部の大企業のみが恩恵を受ける経済政策によって生み出された貧困や格差の拡大に楔を打つべく、国民本位の政策を求め運動していく。


 選定療養制度の対象拡大および、患者申出療養制度の廃止を

 「規制改革推進会議」は2014年、厳しく制限されていた混合診療を拡大する案をまとめた。保険診療と保険外の自由診療を併用する「患者申出療養制度」の創設である。この制度は、患者の同意があれば混合診療が実施できることを柱としている。「医療に関する患者の選択肢を増やし、経済的負担も軽減される」と混合診療拡大の意義を強調している。
 また、同会議は昨年、「完全な遠隔診療」を解禁するように厚生労働省に求めた。厚労省の通知では、現在の遠隔診療は対面診療を組み合わせた場合のみ認められているが、企業の健康指導などの利便性を高めると主張している。都市部で保健所から遠隔診療を認められなかった事例などを取り上げ、育児中や多忙といった理由での遠隔診療や、メールなどで患部の写真を送ることを画像診断に含めることなどを認める方向で検討する。
 「経済財政諮問会議」の薬価などに対する中医協への介入は、「社会的共通資本である医療制度は、国家官僚によって国家の統治機構の一環としてつくられ管理されるものであってはならないし、また儲けを基準とする市場的メカニズムに任せるものであってはならない。」(宇沢弘文氏)という大原則をなりふり構わず踏みにじるものである。
 「経済財政諮問会議」は骨太の方針2015で示された「経済・財政再生計画」を着実に推進する指針として、平成28年末に「経済・財政再生アクションプログラム2016」を発表した。社会保障費の自然増を5,000億円程度に抑えることを目標に、主な施策として、|楼莪緡店汁曚鉾爾ι他穏鏝梱▲如璽審萢僂砲茲詈欷閏垉’修龍化I蘆瓦慮平化による高齢患者の負担増じ緘医薬品の普及と服薬管理の強化などを掲げている。これらの政策は今通常国会でも関連法案が上程されるなど具体化に向け進んでいる。


 新たな患者負担増や給付削減、地域医療を崩壊させる医療・介護提供体制の再編中止を

 平成29年度に導入が見込まれる医療保険の改悪項目は「後期高齢者の保険料軽減特例措置の廃止」「入院時居住費の負担対象者の拡大と負担額の引き上げ」「70歳以上の高額療養費の負担限度額の引き上げ」など高齢者を狙い撃ちにした政策に重点が置かれている。介護分野でも「自立・自助」の原則を強調し、「現役並所得者の利用料の原則3割負担化」、「利用者負担上限額の引き上げ」など、さらなる負担増を求める政策が中心となっている。高齢者の疾病リスクを考慮せず、社会保障の原点である支え合いの精神をも無視した「負担の公平化」では、国民の理解は到底得られない。今回は導入が見送られたものの、「かかりつけ医」以外の受診時定額負担や、市販類似医薬品の保険外しも提案されており、近く再度議論の俎上に載せることも予想出来る。介護保険でも利用料の原則2割化や要介護1、2の利用者の生活援助の保険外しなどが打ち出されており、医療保険・介護保険の利用を妨げる目論見を隠そうともしない。


 国民に必要な医療介護を保障する真の「地域包括ケアシステム」「地域医療構想」の構築を推進し

 医療費抑制策の手段とすることなく、十分な財源確保を

 また、平成29年度は地域医療の将来像が描かれる年となる。各都道府県では、「地域医療構想」が策定されたが、入院医療の必要量を低く見積もり病床削減へと導いていくことが決定的である。そして、平成30年度からスタートする第7次医療計画、第7期介護保険事業計画等は、この内容を反映して医療・介護の供給体制が整備される。医療・介護の供給量(給付費用)を制限し、需要(患者数)を調整する仕組みに利用されれば地域医療の崩壊は一層歩みを早める。また、医師の偏在問題も本道にとっては深刻な問題である。地域医療構想に伴う医療機能の集約化に加え、現在検討が進められている新専門医制度が導入されれば、特定機能病院等の大病院や大都市に医師が集中し、偏在がより顕著となる。医師の自主性を保障しつつ、国の責任において地方でも都市部と変わりない研修体制、就労環境が整備され、地域格差なく医師の配置が充足するような施策を求めていく必要がある。
 政府が地域医療の柱の政策に据えている地域包括ケアシステム(川下の改革)は、病床再編で押し出された患者の受け皿作りが中心で「自助を基本としながら互助・共助・公助の順で取り組む(厚労省)」姿勢を鮮明にしており、本会は以前から国民のニーズや地域特性に応じた医療提供体制の整備としては不十分であると指摘してきた。セルフケアなど「自助」を基本とし、ボランティアや住民組織など補完的に「互助」の支援的役割を担わせる一方、財源負担など国の責務を後退させており、単に地域の責任で高齢者ケアを賄わせるだけのシステムといえる。さらに医療・介護の現場で関心が高まりつつある在宅歯科医療、口腔ケアへの対応に関し、歯科医療機関がどのような位置づけで参画していくべきかの指針や具体策は未だ示されておらず、広域にわたる本道の地域医療の中で医科歯科連携をスムーズに浸透させていくための対応を自治体、関連団体、関係機関・施設等と早期に進めるべきである。
地域包括ケアシステムを急激に進行する超高齢社会に対応する重要施策と位置づけるのであれば、社会保障財源を十分投入し、地域で雇用を生み出し地域経済効果をも誘発させるなど、地域振興に貢献し、併せて地域住民の健康増進にも繋がる「真の地域包括ケアシステム」として構築しなければならない。


 良質な医療や介護を提供するため、診療報酬・介護報酬の引き上げと不合理の是正を

 平成30年度改定は医療保険、介護保険の同時改定となる。中医協では、改定に向けた検討が開始され、平成29年12月には「診療報酬改定の基本方針」及び「改定率」が決定する。次期改定の主な検討項目として、「かかりつけ医機能とかかりつけ歯科医機能」や在宅医療では「重症度や居住形態」などが引き続き取り上げられている。外来診療の包括化や在宅点数のさらなる複雑化など、新たな不合理が生じないよう具体的な要求を掲げて運動を進めることが肝要である。歯科では、前回改定で技術料の抜本的引上げが見送られ、医療環境や経営危機を打開するには依然として厳しい状況にある。特に「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」をはじめとするハードルの高い施設基準が増加したことは、医療機関の機能分化と差別化、包括管理の強化につながり、患者のフリーアクセスを妨げる可能性がある。医療技術と直接関係しない届出の有無が歯科医療機関の再編、淘汰に利用されることのないよう活動を強化する必要がある。加えて、会員から医療現場での改善要求を集約すると共に、口腔管理、口腔ケアの専門職としての歯科衛生士の評価、「歯科技工問題」の抜本的な改善のために、歯科医療費総枠の拡大と基礎的技術料の適正な評価など実態を反映した歯科診療報酬の大幅な引上げも要求していく。

◇ ◇ ◇

 本会は、地域医療の拡充、医療機関の経営改善、医療の質のさらなる向上のため、現行の不合理項目の早期是正に加え、次期改定では大幅な引き上げを実現させるよう、保団連をはじめ全国の保険医協会等と連携し、関係各機関等への働き掛けを行っていく。   

 


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