会長あいさつ
私たちの主張
医療運動
報道関連
共済制度
入会案内
リンク
ご意見・お問い合わせ

北海道保険医会事務局

〒060−0042
札幌市中央区大通西6丁目
6番地 北海道医師会館3階
TEL(011)231−6281
FAX(011)231−6283

 アクセスマップ


Adobe Flash Playerはこちらからダウンロードしていただけます


Adobe Readerはこちらからダウンロードいただけます

アクセスカウンタ

今日 : 12
昨日 : 142
今週 : 12
今月 : 3733
総計 : 1033673
平均 : 372
私たちの主張
私たちの主張 : 徹底した医療費抑制を誘導する国保都道府県化

   徹底した医療費抑制を誘導する国保都道府県化   

 18年度、多額の赤字が続く国民健康保険(国保)の都道府県化が施行され、徹底した医療費抑制策と国保保険料の引上げなど深刻な影響が懸念される。

 

 

はじめに
 15年度、国保は2853億円の巨額な赤字を抱える。15年5月医療保険改革関連法が成立し、18年度から国保は都道府県化され「都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化する」ことを目指すとしている。しかし、国保都道府県化により、療養給付抑制と保険料引上げ、医療費「適正化」を誘導する市町村のインセンティブ改革、周到な医療費抑制策が始まろうとしている。


都道府県の権限強化
 都道府県は市町村に対し徹底した保険料徴収を強要させる等の「保険者努力支援制度」を新設し、新たに国保特別会計を設け、財政運営の責任を負う。医療給付見込み、所得を加味した1年分の「事業費納付金」を決定し、市町村に割り振り、100%納付が義務付けられる。

 都道府県は、「骨太方針2015」が掲げる(1) 療養病床・外来医療費・医療介護費用の都道府県別の地域差是正、(2) 国保の医療費の地域差が反映されるよう国保財政の仕組みを見直す方針を盛り込んだ「医療費適正化計画18〜23年」を策定する。都道府県別の診療報酬点数単価設定見直しや民間病院病床削減を命令する権限が検討される。


インセンティブ改革としての「保険者努力支援制度」
 保険者に対する「インセンティブ改革」としての「保険者努力支援制度」とは、「被保険者の健康の保持増進や医療費適正化等に向けた保険者の努力を促」し、都道府県が、市町村に対し保険者として徹底したの保険料徴収や特定健診・特定保健指導の実施率、糖尿病等の重症化予防、後発医薬品の使用促進の達成率等を評価する医療費「適正化」政策である。客観的な指標を評価し、一定基準以上改善できれば支援金が交付される。その財源は「医療費適正化」を達成できない市町村から徴収するペナルティからなる。応能負担と社会保の倫理性に矛盾した政策であり、保険者による健診・保健指導等に関する検討会でも異論がでた。


医療費削減に向けた個人のインセンティブ強化
 「個人については、健康づくりの取組等に応じたヘルスケアポイント付与や保険料への支援になる仕組み等の個人に対するインセンティブ付与を行うことにより、国民一人ひとりによる疾病予防、健康づくり、後発医薬品の使用、適切な受療行動をさらに促進する。また、個人の健康管理に係る自発的な取組を促す観点から、セルフメディケーションを推進する」とされている。16年の医療保険制度改革第150条で既に規定されている。しかし、ヘルスケアポイント付与に現金給付、保険料の傾斜設定を行う考えであり到底容認できない。安易なセルフメディケーションは健康被害や必要な受診を妨げ重症化を招く懸念がある。


都道府県と市町村との役割分担

 都道府県は、財政運営責任の主体となり、市町村ごとの納付金を決定し、標準保険料率設定、保険給付の点検、事後調整を担当する。

 一方、市町村は、被保険者の資格管理、保険料率の決定、賦課・徴収、保険給付、保険事業などを行う。保険料を被保険者から徴収し、都道府県に上納する。保険料の収納率目標が下回り、都道府県に収める分賦金が不足する部分は、市町村が一般会計から繰り入れし賄う。分賦金方式では、都道府県は市町村に対する上納額を決めるだけにすぎず、国保の財政問題の解決には至らない。国の責任が、地方自治体に転嫁され、国保事業の後退を招き、地域間格差が一層拡大することが危惧される。


国保料引上げ 最大2倍
 国保制度改正は、市町村間で差が大きい保険料の平準化が最大の目的であり、持続可能な制度にすると説明されている。都道府県は市町村との協議を通じ保険料の市町村間格差を高い方に均して行くため、保険料は引き上げられる。都道府県全体で保険料算定方式を統一すると保険料は更に高騰する。

 道の試算によると、所得200万円、夫婦2人のモデル世帯で、市町村ごとの保険料が大きく増加するのは93市町村で最大2・26倍、最も下がるのは82市町村で33%減であり、激変緩和の措置が講じられる。


国民健康保険をめぐる問題

・職業構成
 被用者保険に加入できない非正規雇用労働者や無職者が増加しつづけ、国保は生活保護を受ける直前までの国民を支える役割と日本国憲法第25条における生存権保障を担っている。

 「保険料の納付」は、保険料を納付できない人々が多数いるという視点が北海道国民健康保険運営方針原案(以下、方針案)には欠けている。国保被保険者のうち65〜74歳の構成比が年々増加し、平成26年で38・3%を占めている。国保被保険者の職業は退職者も含めた無職者が47%であり、非正規雇用者などが31%を占め78%は低所得者と考えられ、更に被保険者の所得は減少する傾向にある。最も平均所得の低い国保加入者が、最も高い保険料を支払っており、国は国保の運営に対し国庫負担を削減しつづけているため国保料は他の被用者保険に比して相対的に高額になっている。

・保険料徴収の強化
 「収納率向上対策」として、現在市町村は以下に述べる制裁措置の強化策を取っている。財産調査の徹底、財産差し押さえの強化等の滞納処分の強化、短期被保険者証発行と納付誓約などである。財産調査による滞納処分は全保険者の93・4%の保険者に及んでいる。また、給与、売掛金、年金、生命保険や学資保険の解約返戻金等も対象とし、全保険者の91・6%で行なわれている。

 高い保険料が生み出される構造、保険料を滞納せざるを得ない状況、国庫負担の削減の結果、被保険者に負担と責任が転嫁されており、早急に改めるべきである。

・経済的理由による受診抑制
 無職者や非正規労働者などの被用者は保険料の納付ができずに、受診抑制が誘導されている。17年度までは市町村が保険者として保険料の強制的徴収などの保険者機能強化が図られ、保険料の納付ができずに実質的に無保険者となり、受診抑制のため重症化を招いている。
 
・医療機関への適正な受診
 必要な医療に安心してアクセスできる国保制度改革が必要である。支払いが可能な保険料設定が重要であり、保険料を支払えない人々から懲罰的に徴収することなく、国庫負担を増やすことが求められる。必要な医療を受けることで、健康確保を通し地域社会の活性化に繋げるべきである。


おわりに
 国保は国民にとって最後の重要なセーフティーネットである。国保加入者は約3500万人と最大の公的医療保険である。被用者保険に加入できない非正規雇用労働者や無職者が増加しつづけ国保は生活保護を受ける直前までの国民を支える重要な役割を担っている。
 

 国保の都道府県化は、都道府県の権限強化による徹底した医療費抑制をもたらし、国民皆保険制度崩壊が懸念され注視が必要である。



印刷用ページ