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活動紹介

 

医科 初期研修医に向けた保険診療研修会

 

 初期研修医に向けた保険診療に関する研修会を、5月23日勤医協中央病院で開催した。当日は1年目の初期研修医8名(内テレビ会議1名)と病院職員4名が参加した。
 初めに橋本副会長から、北海道保険医会の成り立ちや最近の活動について説明した。続いて「保険診療の理解のために〜保険医の役割について」と題して、保険診療の仕組みや医師法等、医業を行う上で基礎となる知識について解説。最後に共済制度について説明し、終了した。
 参加者は、臨床現場での体験談や患者対応にも興味深く耳を傾けていた。また保険医として医療機関で働くにあたり、「初期研修医が常識的に知るべき事項が多数あることがわかり大変勉強になった」などの感想が寄せられた。


活動紹介

 接遇・電話対応マナー講座

道内各地から217人が参加

 

 6月2日、ANAビジネスソリューションの矢川美惠子氏を講師に迎え、接遇・電話対応マナー講座を札幌市内で開催した。当日は全道各地から92医療機関、217人のスタッフ・医師・歯科医師が参加した。
 講演で矢川氏は、相手にどのように思われるか、見られるかということをいつも意識しながら「お客様視点」「仕事に挑む姿勢」「チームスピリット」をテーマに、実技を交えながら接遇の基本や患者さんへの接し方のポイントについて、わかり易く解説した。
 後半の電話対応では、見えない相手にも良い印象を与えるコミュニケーションの取り方について「正確」「迅速」「簡潔」「丁寧」をキーワードに具体的なケースを想定しながら練習を行った。
 参加者からは「今までこのような研修を受けたことがなかったので、すごく勉強になった」「職場ですぐに実践できる事ばかりで大変参考になった」「言葉遣いや印象を見直す良い機会になった。これから定期的に参加したい」など、大変好評であった。


歯科 北大・道医療大で出張保険講習会

  

 歯科部では、北海道大学と北海道医療大学の歯学部で、主に勤務医を対象に出張保険講習会を開催し、多数の参加を得た。

 

本会の活動の紹介をする
野川副会長


北海道医療大学 歯学部

  


北海道大学 歯学部

■ 北海道大学歯学部

 5月28日「保険診療とは」をテーマに開催し、歯学部所属の歯科医師・研修医など約60人が参加した。
 野川副会長は、本会の主な活動や共済制度等の会員のメリット等について説明。鈴木理事は、国民皆保険制度や保険医・保険医療機関が守るべき療養担当規則等、保険診療の基本的な関係法を中心に説明。さらに審査・指導、監査等の仕組み、カルテ記載の重要性について述べた。
 第二回目は6月5日に開催。田辺理事が講師となり「今回の保険改定を踏まえた保険講習会」と題し、歯科医師・関係職員約200人を超える参加があった。今次改定の重要点や算定時の留意事項について説明。保険診療のルールや保険医のカルテ記載の重要性を訴えた。


■ 北海道医療大学歯学部

 6月7日、北海道医療大学あいの里キャンパスで開催し、臨床に携わる教授・准教授、講師、研修医、歯科衛生士など約50人が参加した。佐藤理事から、本会の活動内容等を紹介し、会員のメリットである共済制度について説明した。 田辺理事は、基本診療料・医学管理料・在宅医療等の項目ごとに、今次改定の要点や算定時の留意事項について詳説。さらに、誤りの多いレセプト請求事例や、改定後に発出された疑義解釈・通知等についても解説を行った。


時論

 

社会保障の基本理念へ立ち返りを


 引きも切らず社会保障費抑制の声が押し寄せる。6月中に閣議決定予定の「骨太の方針2018」は、過去3年間を上回る厳しい社会保障歳出抑制と患者負担を強いるものになるのは確実だ。骨子案には受診時定額負担の導入、地域別診療報酬の活用等、実に数多くの事項が並ぶことになる。
 これは一時的な財政上の辻褄合わせではなく、背景に長年にわたる政府の社会保障の理念破壊がある。
 戦後の1948年に社会保障制度審議会が設置され、50年に「社会保障制度に関する勧告」を提出したが、この中で「憲法25条により、生活保障の責任が国家にある」と明確に述べている。しかし、70年代後半から日本型福祉社会論が登場し、社会保障の柱をなすのは自己と家族そして企業であると喧伝される。80年代後半からは、企業は正規雇用を減少させ、社会保障に対する企業責任を縮小させていく。95年同審議会は「社会保障体制の再構築に関する勧告」で、社会保障制度を「個々人の社会的連帯によって成立する」と変質させた。そして2001年に同審議会は廃止され、社会保障審議会と名前を変えることになる。その後の「社会保障と税の一体改革」の進行に伴い、社会保障の公的文書には常に自助、共助が優先され、公助は最後になることが定式化されてきた。
 法令も同様である。例えば「高齢者の医療の確保に関する法律」は、第1条(目的)「…医療費の適正化を推進するための計画の作成…」、2条(基本的理念)「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努める…」、3条(国の責務)「…医療に要する費用の適正化を図る…」としている。目的、理念としてあまりにも発想が貧しく、憲法25条との乖離は途方もなく大きい。他の社会保障関係の法律条文も同様だ。
 官僚は前例踏襲を旨とする。今後も同様の法令の連続が危惧される。医療福祉関係者の教育への影響も大きい。負の連鎖を防ぐには幅広い分野で社会保障の理念の再構築が必要だ。

 


私たちの主張

 

骨太の方針2018
「歳出改革」社会保障費抑制が焦点

 

 政府の経済財政諮問会議は5月28日「骨太の方針2018」の骨子案、6月5日にはその原案を公表した。両案には、新しい経済財政計画の策定が位置付けられ、歳出改革の主要分野別項目で焦点となる社会保障費について、19〜21年度を「基盤強化期間(仮称)」と位置付け、医療・介護サービス供給体制の適正化・効率化や、生産性向上、給付と負担の適正化などに取り組む考えが明示された。社会保障分野でのさらなる歳出削減を進める内容となっている。

 政府は、19年度予算編成の基本方針や今後の経済財政政策の方向性を定める「骨太の方針2018」を月内を目途に閣議決定する予定で議論を進めている。

財務省の財政健全化「建議」

 骨子案に先立ち、財務省のまとめた新たな財政健全化の「建議」では、19年10月の消費税増税を確実に実施した上で、国と地方のプライマリーバランスの黒字化を目的として、社会保障分野での財務省の財政健全化「建議」歳出削減の重要項目として以下の点が上げられている。
 社会保障関係費については、高齢化等の人口変動に伴う伸びの範囲におさめるべく、制度改革や効率化に取り組むことで「その他要因に伴う伸び(医療の高度化等)」を抑制していく。特に医療・介護については(1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲とし「薬剤自己負担の引き上げ」「受診時定額負担の導入」(2)必要な保険給付をできるだけ効率的に供給するため「公定価格の適正化・包括化」による診療報酬の抑制と政策効果の検証。更には「医療提供体制の改革」として「地域医療構想の促進」「都道府県の法定外繰り入れの解消」「地域別診療報酬の活用」(3)高齢化や人口減少の中でも持続可能な制度としていくために年齢ではなく能力に応じた負担とし「後期高齢者窓口負担2割への引き上げ」「現役並み所得の判定変更」「介護保険の利用者負担引き上げ」「金融資産を考慮に入れた負担を求める仕組みの導入」。支え手減少下での医療費増加に対しても制度の持続可能性を確保するための「給付率(自己負担)自動調整」などである(2面「解説」参照)。
 社会保障費の度重なる削減、消費税増税による家計への圧迫、規制緩和の名の下に派遣業が大幅に認められ就労人口の37・5%を占める非正規雇用者の拡大など、生活が一向に改善されていない中、さらなる国民負担を求める内容となっている。

骨太の方針取りまとめ状況

 6月5日に行われた諮問会議で、安倍首相は「プライマリーバランスの黒字化に向け、社会保障改革を軸とし、団塊の世代が75歳に入り始める22年度の前までの3年間で、持続可能な経済財政基盤を固めていくことが必要」と述べた。また、麻生財務相も「社会保障費の伸びを高齢化に相当する範囲内に抑えるための重点項目を取りまとめ、19〜21年度の間から実行に移すことが必要」と述べ、社会保障費抑制へ取り組みの加速・拡大の方向を示した。
 現在、政府は、与党内の意見を踏まえ文言の修正作業を進めている。現時点での主な社会保障関連の修正内容は、今後の財政健全化に向けた社会保障の基本的考え方としての記述部分で、与党内から内容が一面的だとの声が上がり、多少聞こえの良い言葉に修正された。
 また具体的には「薬価制度の抜本的改革」において「革新的新薬の評価」と「長期品薬価の引き下げ」の記述などが削除された。
 これは、単なる文言の修正・削除であり、基本的に歳出削減の主要分野としての社会保障費抑制の方向性は何ら変わっていない。

                           ◇ ◇ ◇

 日本の社会保障の行方を左右する「骨太の方針2018」。政府は、社会保障費削減により財源を確保するのではなく、社会保障の充実と安定のもと「真の働き方改革」を積極的に進めることで雇用環境を改善・確保し、若者や女性、高齢者等の保険料を支払う「働き手」を増やすことによる財源確保への方針転換を望む。
 本会は、予算編成や今後の経済財政政策の動向を注視すると共に社会保障の充実、国民皆保険制度の堅持のため積極的に情報を発信し活動を強化していく。

 

 

 


[事業報告] 第6回代議員総会

 
医療改善に向けて決意新たに

満場一致で総会決議を採択

 

 5月26日、第6回代議員総会を開催し、全道各地より代議員74人(委任状22通・定足数39)が出席した。議案審議では29年度活動報告・収支決算、30年度活動方針・予算案が承認され、最後に総会決議を満場一致で採択した。

              

 はじめに挨拶に立った加藤康夫会長は「今年は診療報酬・介護報酬等の改定や関連法の改正が行われる等、社会保障制度が大きく変化しようとしている。本日は代議員の先生方に本会の活動報告と新年度の活動方針について活発なご審議をお願いしたい」と述べた。
  議案審議に先立ち笠井康広議長、荻野英二副議長の代議員総会設立宣言後、昨年度ご逝去された33名の会員に黙祷を捧げた。

29年度活動報告

 議案審議では立花啓副会長から本会の活動報告を行い、続いて鈴木正典財政部長より収支決算が報告され、承認された(関連資料)。
 監査報告は重枝朗監事が行い、予算の執行や保有、職務執行などについて適正と認めるとの報告があった。

30年度活動方針

 次に、加藤会長より「国民負担増の諸政策の即時撤回」「診療報酬・介護報酬の引き上げ」「住民本位の地域包括ケアシステムおよび地域医療構造」「選定療養制度の対象拡大阻止」「医療へのゼロ税率導入」「マイナンバーの医療分野への拡大阻止」などを柱とした30年度の活動方針が提案された。
 引続き、川西譲児総務部長からは収支支出予算などが上程され、賛成多数で可決された(関連資料)。
 最後に、今上岳彦起草委員長から総会決議文の提案があり、満場一致で採択された。決議文は後日、報道機関や医療関係団体へ送付した。

 

 


 

 


私たちの主張


問題多い歯科の施設基準

 

 施設基準は、人員配置や設備等の要件が設けられていて、保険医療機関が自ら届出を行って初めて算定できる診療報酬の項目である。
 歯科の施設基準で初めて診療報酬に導入されたのが、クラウン・ブリッジ維持管理料(以下補管)である。平成8年度改定時に導入された時は施設基準ではなかったが、12年度改定時に、いわくつきのかかりつけ歯科医初診料の導入と同時に突然、施設基準とされた。
 補管とは、保険診療において通常行われている冠やブリッジを装着した後、2年以内の再製作に係る費用は請求出来ないというものである。再製作する場合、その費用は医療機関の持ち出しとなり、歯冠修復・ブリッジ関連の歯科医療費の大きな削減効果を上げた。補管には施設基準といえる基準は全くなく、本会では導入当初から問題視していた。8年度改定以降、施設基準として新規項目が多く導入されてきたが、今次改定で既存項目の中身が大きく変わってきた。18年度に導入された在宅療養支援歯科診療所は2種類に分化され、訪問診療の実施回数や多職種連携への参画など、施設基準がさらに高度化・専門化され、在宅医療にさらなる医療機関格差が持ち込まれた。
 28年度導入のかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準では、算定実績ではなく、算定回数で規定され、体制の評価から実績の評価となり、導入当初の主旨とは異なり、戸惑いが広がっている。
 さらにこれらの施設基準の大きな問題点は、「歯科衛生士の配置」要件である。これまで本会は、北海道では地域によって歯科衛生士がおらず、雇用ができないなどの問題があることから、この要件の廃止を要求してきた。そもそも、医科の施設基準で医師自身のみの診療行為によって算定される項目について、看護師等の配置が求められているものはない。
 このように歯科の施設基準には多くの問題が存在している。次回本会では改定に向けて、これらの問題を解消にすべく、引き続き強く改善を要求をしていく。


ライフプラン講座


ライフサイクルに合わせた計画を

 

 5月19日、ライフプラン講座を開催し、道内各地から28名が参加し た。講師にはファイナンシャルプランナーの須藤臣氏を迎え、「若いうちから備えよう 老後も家族も安心のマネープラン〜資産運用、年金、保険、相続〜」と題し講演を行った。
 須藤氏は初めに保障設計の考え方について触れ「日本人は保険に多く入りすぎている。自分のライフサイクルに合わせ、その都度見直していくことが大切」として、必ず入らなければならない保険や生命保険の入り方等を詳説した。
 また、マイホームの購入・年金受給開始等それぞれのライフイベントに関する必須知識等もわかりやすく解説した。
 参加者は熱心に講演に聞き入り、時折笑いもこぼれる和やかな講演会となった。講演会終了後には「何回聴いても臣さんのお話は面白い」「とても勉強になった。今後見直していく事項が整理でき、感謝する」等の声が寄せられ大変好評であった。


活動紹介

 

小樽市医師会との共催で改定研修会

 

 

 本会小樽・後志支部と小樽市医師会の共催による、診療報酬改定の研修会が4月23日に開催された。小樽市医師会との共催は今回で3回目となり、医師、事務職員など60名が参加した。研修会では本会研究部の松本理事が講師となり、新点数の算定要件やカルテ・レセプト記載の留意事項などを解説した。
 開会にあたり本会の加藤会長は、今次改定について「点数設定が細分化され、算定要件も複雑化している。正しい解釈と最新の情報をもとに、日常の請求事務に生かしてほしい」と述べた。
 続いて講師の松本理事から、今次改定に関する概要が解説された。特に、今回新設された「オンライン診療料」では、診療歴や対象患者などの前提要件、また、利用する情報通信機器やセキュリティー対策等をオンライン診療のガイドラインをもとに解説。歯科医療機関との情報連携を評価した
「診療情報連携共有料」については、提供する情報の内容や方法、診療情報提供料との算定要件の 違いなどを説明した。
 投薬関係では、ベンゾジアゼピン系薬剤の長期継続処方に関して減算規定が導入されたことに対し、減算規定から除外となる要件を詳細に説明。
「不安又は不眠に係る適切な研修」については日医のeラーニングの受講も該当すると疑義解釈を紹介し、活用についてアドバイスした。
 最後に主催者を代表して阿久津小樽市医師会長は、講師への謝辞とともに、今後も保険医会の支援を得て講習の機会を持ちたいと抱負を述べ、会を終了した。


国民皆保険制度崩壊の危機

地域別診療報酬の導入を許すな

 財務省は先月11日、財政制度等審議会・財政制度分科会において、高齢者医療確保法に基づく地域別診療報酬の特例について「具体的に活用可能なメニュー」を国が提示すべきだと提言した。提言に基づいた措置が行われると、1点単価切り下げの恐れがあり、医療現場への影響は計り知れない。国民皆保険制度崩壊を招く暴挙を許してはならない。

 

 財政審が提言

 先月11日、経団連会長の榊原定征氏が会長を務める財政審・財政制度分科会が開催された。社会保障をテーマに審議が行われ、医療費「適正化」の観点から「改革の方向性」が提示された。それによれば「都道府県における医療費適正化の取り組みに資する実効的な手段を付与し、都道府県のガバナンスを強化する観点も踏まえ、医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の具体的に活用可能なメニューを国として示すとともに、今年度から開始する第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活用していくための枠組みを整備すべき」とされた。

□ 都道府県で異なる医療費

 財務省は、同審議会で「医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の活用(考えられる例)」として^緡堵颪凌びが高く住民の保険料負担が過重となる場合における診療報酬1点単価の調整入院医療費の地域差是正等の観点からの、特定の病床が過剰な地域における当該入院基本料単価の引下げD敢浙般海亮要に見合わない供給増(薬剤師や薬局数の増加)が生じた場合の調剤技術料の引下げの3項目を挙げた。
 都道府県に医療費を執拗に競わせ、病床削減の手段としても踏み込む勢いの表現であり、看過できるものではない。

□ 医療現場の混乱は必至

 都道府県に医療費を執拗に競わせることにより、患者に対して必要な医療の提供が困難となり、疾患の重度化につながることが危惧される。また、医療提供体制の地域性を無視して病床数や入院医療費を機械的に削減すれば、広大で自然環境が厳しい本道では医療難民が生じ、さらなる医療崩壊につながる。
 県境を挟んで異なる医療費で医療が行われれば、現場に違和感と不公平感をもたらすのは明らかだ。また、全国的に医療費の高低で患者や医療従事者の移動が起こり、医療現場は大いに混乱するだろう。
 我が国は、いつでも、どこでも、だれもが保険証一枚で全国一律で質の高い医療を受けられる、国民皆保険制度を堅持してきた。地域別診療報酬が導入されれば、この世界に冠たる制度を根底から揺るがす事態となる。

□ 今後に向けて

 地域別の診療報酬は、平成27年に経済財政諮問会議が医療費の地域格差を是正するために強引に導入しようとしたなど、繰り返し議論の俎上に上がってきた。今回、財政審・財政制度分科会で具体的な検討事項として取り上げられ、特例の措置が導入される危険性がある。
 これまで見てきたように、地域別診療報酬の設定は、地域特性を無視した暴挙であり、断じて容認することは出来ない。本道の地域医療、そして世界に誇る国民皆保険制度を堅持するため、本会は地域別診療報酬に断固反対していく。会員諸氏にはご協力をお願いしたい。


解 説

提供体制に不安の声

 
総合事業の調査結果まとまる

 介護保険法の改正により要支援者に対する訪問介護・通所介護が、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)に移行されたことに伴い、本会では全道の市町村に対し総合事業への参入事業者の見通しや自治体財政への影響等についてアンケート調査を行った。その結果、特に人口規模の小さな町村からは不安の声が寄せられ、サービス事業者の不足等による体制整備に危機感を持つ自治体が多いことが明らかになった。

 

 2015年に成立した改正介護保険法では、多様なサービスの提供により要介護状態への進行を防ぎ、地域全体で高齢者の自立した生活を支援するための取り組みを進めることで、地域活力の向上にも繋がると「総合事業」導入の意義を説明している。総合事業は、これまでの要介護・要支援者以外に対する介護予防事業に、介護予防給付の訪問介護、通所介護を組み入れたもので、既に2017年4月から全国の市町村で実施が始まり、2018年4月より完全実施されている。
 総合事業への移行は住み慣れた地域で実情に応じたサービスの提供が受けられるとの利点が示されているものの、保険者が市町村に移管するため、サービス内容や財政措置等は市町村の体力に負うところが大きく、市町村間格差も懸念されていた。本会ではこうした影響を調査するため道内の179市町村に対しアンケートを実施し55市町村(回答率30・7%)から回答を得たのでその概要を報告する。

総合事業移行後の要支援者の変化

 要支援者数は「変わらない」が54・5%と半数を超えており、「伸びている」が23・6%、「抑えられている」が21・9%と拮抗していた【図1】。この伸びや抑制が総合事業への移行に影響したものか明らかではないが、全体的には大きな影響はないと見られる。

新たな総合事業の利用者数

 「見込み通り」との回答が47・3%と約半数に上り、その他は「多い」16・4%と「少ない」14・5%と同水準であった【図2】。「まだ分からない」との回答は18・2%で、先行きの見通しがつかない市町村も2割弱あるようだ。

総合事業に伴う市町村の財政負担

 「変わらない」が49・1%と半数を占めたものの、「増加している(増加の見込み)」も43・6%と高い数字が示された【図3】
 事業の内容、予算については市町村の裁量で行えるものの、これまでのサービスの質や提供体制維持のため、市町村の負担が余儀なくされているケースも多いのではないかと思われる。

新サービス提供事業者の参入有無

 「かなり不足している」が45・5%、「若干不足している」27・3%と合わせると7割以上が不足を訴える回答であった【図4】。さらに「かなり不足している」の回答を、市と町村で比較すると、市が25・0%であるのに対し町村は51・2%と半数を超え、地方での事業者確保の困難さが示された。
 自治体の独自性が発揮できるサービスであり、従来型のサービスに比べ低単価に抑えつつ、増え続ける要支援者の受け皿と目されているものの、事業者やボランティア組織の参入が無ければ成り立たず介護難民を生み出しかねない。今後の状況が注目される問題である。

将来の上限額超過に対する不安大きく

 総合事業移行に伴うメリット、デメリットを問う記述回答では、メリットではチェックリストにより事業対象者の決定が出来るなど事務の簡略化を上げる声もあったが、回答の多くは財政問題を中心に不安を訴える内容で占められていた。
 「地域支援事業交付金の上限額について将来的に訪問型サービス、通所型サービスの給付の自然増が当該上限額を上回ることが予想されるため制度の見直しを要する」「従前相当のサービスを活用せざるを得ず、総合事業の限度額の廃止、引き上げをお願いしたい」「費用の上限を設けられただけの制度」など国からの交付金で賄いきれない場合の財政負担を懸念する声や、「人口規模も財政力も弱小自治体においては事業のメニューを揃えることが難しい」「小規模自治体では新たな事業者の参入があれば共倒れの懸念もある」といったサービス提供体制への不安の声も寄せられた。チェックリストで簡便に対象者を決定する方法も、逆に費用のかかる訪問型、通所型のサービス利用者を拡大させる要因となり財政圧迫に繋がるなど、規模の小さな自治体では切実な課題が山積する状況が明らかになった。

介護給付の削減に歯止めを

 冒頭に記述した通り、「総合事業」の目的は建前上、「地域包括ケアシステム」を構築するための地域全体の支え合いの仕組みとされているが、実質的には国の財政負担を軽減し、市町村と地域に財政問題と運営責任を転嫁するものだ。
 特に要支援者への訪問介護・通所介護は、国の一律の基準による「給付」であったのに対し、総合事業への移行により市町村の予算内で実施される「事業」となり、市町村の財政負担能力や取り組み姿勢等で格差が生じる。また、市町村としても長期的な視野で要支援者の増加等を勘案すると、安易に手を拡げられず、今後要介護1、2も総合事業へ移行される可能性を考えると、予算措置やマンパワー対策にも自ずと限界がある。また、専門職以外の者が直接サービスに携わる総合事業の仕組みにも、一定の歯止めが必要で、国の責任により法律で保障された介護保険給付をこれ以上削減すべきではない。今後も各市町村の動向を注視し必要な改善を求めていきたい。


時 論

 

究極のモラルハザード

 

 とうとう出てきたと云うべきか。
 あの財務省の財政制度等審議会が医療・介護分野に社会保障費削減を目的とする地域別診療報酬を提言してきた。
 高齢者医療確保法で都道府県別の診療報酬設定の特例を認めているが、2006年の法改正後の実施例はない。
 提言では、医療費の伸び率が高い地域は住民の保険料負担が高いとして、地域差是正等も論拠にしている。
 介護報酬の単価が地域によって最大14差異があるとする調査結果も参考にしている。歯科への対応が医科に利用された歴史が、今度は介護から医療へと繰り返されている。
 病名のDPC係数管%の理に味をしめた厚労省が、今後さらに病床数のKPI評価指数等の細かい数値設定で病床削減を目論んでいる。
 しかし特例の法令化から10数年、実施されていないのは大きな理由があるのだろう。医療崩壊の一因とされる「医師の偏在」の悪化だ。
 診療報酬の低い地域で新規医業経営に意欲を持つことが可能だろうか。明日の1%が数年先の数%になる事は誰でも知っている。地域医療崩壊に拍車が掛かり、公設民営や委託の選択を迫られる事案が増えるのではないか。
 係数等のミクロの数値よりもマクロの数値を見直そう。
 道内に医療過疎地が多いのは周知の事実だが、地域医療を支える准看護師の養成数の減少や高齢化など、医療環境の厳しさは医師数、医師の偏在などだけではない。
 今年3月に今後5年間の北海道医療計画が公表された。厚労省の方針に基づく地域医療計画策定では、在宅診療必要者も数万人規模で急激に増加することが予想されている。ここに財務省主導の地域別診療報酬が実施されればどうなるか。疲弊した医療機関が医療・介護連携の要になりきれるか。数値化しにくい互助を地域包括ケアシステムに組み入れ、老々介護は蚊帳の外か。
 残念ながら財務省提言の中にその考察が無いように思う。
 厚労官僚のパソコンに眠っているのか。


私たちの主張

 

 第6回代議員総会にご参加を

 

 安倍政権は、昨年秋の総選挙でも圧倒的な議席を確保し、国民の信を得たとしているが、社会保障費の度重なる削減、消費税増税による家計の圧迫、就労人口37・5%を占める非正規雇用者の拡大など、国民生活は一向に改善されていない。アベノミクスを支える「三本の矢」に景気回復効果が期待できない中「新三本の矢」と称して「名目GDP600兆円」「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」を目指す方針を示した。企業収益はトリクルダウンしないまま内部留保へと変わり、労働者の所得や個人消費が伸びない状況下では実現性が大いに疑問視される。
 最大の関心事である今次診療報酬改定は、本体部分がプラスとなったが、薬価の引き下げ分が本体に充当されず、地域医療を守り医療従事者の雇用・労働環境を改善するための原資としては程遠いものとなった。
 また今次改定では初診料に「機能強化加算」が新設され「かかりつけ医」機能を有した医療機関が評価された。かかりつけ医普及に向けた経済誘導と見られ、将来的なフリーアセス制限の下地づくりとも考えられる。歯科では特定薬剤の取扱いなど、一部本会の要求が反映されたものの、か強診の施設基準は依然厳しいものになっている。また届出の有無で加算・減算が新設され複雑化するとともに、医療機関間の階層化が進み「一物二価」が顕著となった。診療所の差別化を評価するのではなく、初・再診料をはじめとした日常診療への適切な評価や基礎的技術料を中心とした診療報酬の大幅な引き上げが必要である。
 今こそ本会は、活動理念である「国民の健康を守るため保険医療の改善を期し、併せて保険医の生活安定を実現」すべく社会保障の充実・改善に向け国民皆保険制度の根幹を揺るがしかねない医療制度の改悪に断固反対し、より積極的に活動していく。
 来る26日午後5時より札幌ビューホテル大通公園で「第6回代議員総会」が開催される。一般会員の先生も傍聴できるので、是非参加していただきたい。


徹底した給付抑制と負担増

医療費の地域差縮減、20年度で公費2700億円を抑制

 政府が3月29日に開いた経済財政諮問会議で、経済・財政一体改革推進委員会は、2016年度から実施してきた経済・財政再生計画の中間評価を示し、今後の歳出効率化効果を試算。15年度の1人当たり医療費の地域差が23年度に半減すると仮定した場合、20年度時点では国・地方の公費2700億円、保険料3400億円を抑制できるとの結果を示した。

■ 医療・介護提供体制の適正化

 都道府県別の一人当たり医療費の地域差半減を目指し、地域医療構想の策定、実施による都道府県別の取り組み等を数値化して公表するいわゆる「見える化」など、地域差の縮減効果を早期に明らかにするとともに、徹底した進捗管理を行っていくことが重要とした。外来医療費の地域差を半減するため、糖尿病性腎症重症化予防の推進、重複服薬や後発医薬品の適正使用等の取り組みを早期に追加し、医療費適正化のPDCAを着実に実施する必要があるとした。またかかりつけ医の普及と外来時の定額負担については18年度までに、介護医療院等への転換を含めた病床再編等を行うために都道府県の体制・権限の在り方を20年央までに結論を得るとしている。
 しかし、地域特性や疾病特性を考慮せず、医師・看護職員等の需給対策も進んでいない状況で、病床機能報告における定量的基準をもとに病床数の削減を断行しようとしており容認できない

■ インセンティブ改革

 健康増進・予防の推進や医療費・介護費の適正化に向け、18年度から全ての医療保険者に対してインセンティブが強化される。
 国民健康保険では保険者努力支援制度、健康保険組合および共済組合では後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直し、協会けんぽでは都道府県支部ごとの保険料率への反映、後期高齢者医療広域連合では各広域連合の取り組み等を特別調整交付金に反映させる。個人については、疾病予防や健康づくり、健診受診等を促すためのインセンティブ付与(ヘルスポイント等)に関するガイドラインを策定し、保険者による取り組みを推進することとした。
 国民健康保険料に医療費の地域差が一層反映されるよう、インセンティブの評価指標による結果を公表し、取り組み状況の「見える化」や改善状況で、普通調整交付金の地域差による配分を決め、保険者機能の一層の強化を図るとしている。
 この「見える化」によって、成功事例を積極的に横展開させ、成功報酬的な補助金だけを見当てに自治体や保険者に強制的な取り組みを強いるとともに、この傾斜配分的な目標で国民を競わせることに繫がる危険性がある。

■ 公的サービスの産業化

 民間事業者も活用した保険者によるデータヘルスの取り組みの先進・優良事例の全国展開が進められている。18年度から医療保険のオンライン資格確認を導入するとともに、医療等分野の情報連携に用いる識別子( ID)の、本格運用を目指すシステム開発を実施するとしている。
 次世代医療基盤法にも繫がるビッグデータの取扱いによる個人情報の漏洩が危惧される。

■ 負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化

 高額療養費制度及び高額介護サービス費制度の見直しを実施するとともに、介護納付金の総報酬割について、段階的に実施する。医療保険において、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みや、薬剤の自己負担の引上げ、後期高齢者の窓口負担の在り方は18 年度末までに結論を得るとしている。明らかな公費の抑制、国民個人の負担増には断固反対していく。

■ 薬剤・調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革

 後発医薬品の使用割合を20年9月までに80%とし、出来る限り早期に達成出来るよう、診療報酬の更なる対応や保険者毎の後発医薬品の使用割合について、18年度実績から公表し、使用促進策を実施するなど、医師・歯科医師の裁量権の侵害に当たる誘導策を推進する構えには注視が必要である。

◇   ◇   ◇

 公表という「見える化」で自治体や保険者の取り組みを表し、成功報酬的な補助金で自治体や保険者に積極的な取り組みを強いる。ひいては国民の負担、生活の疲弊を増大させることになりかねない。国の数字だけによる誘導に警鐘を鳴らすとともに、国民の医療、くらしに改悪となる政策に反対する運動を行っていく。
 20年度段階での国が示している歳出効率化効果、経済効果については、別表参照。

 


改定内容に困惑の声

医科新点数検討会に500人超参加

 診療報酬改定に伴う、医科の新点数検討会を3月25日札幌で開催し、会員や事務職員等500人を超える参加があった。検討会では﹁点数表改定のポイント﹂を資料に研究部の講師団が改定の概要について2時間半にわたり解説。質疑応答では、通知を待たなければ判断できない改定内容に対し、困惑の声が多数聞かれた。


 入院外の点数では、初診時の「機能強化加算」やITを利用した「オンライン診療料」等の新設された点数を中心に算定要件や施設基準の届出について解説した。

機能強化加算・オンライン診療料が新設

 機能強化加算は、診療所や中小病院のかかりつけ医機能を評価したもので、地域包括診療加算や小児かかりつけ診療料等の届出が要件となっていることを説明。また、地域包括診療料や地域包括診療加算についても、在宅医療の提供を強化した「1」の区分が新設されており届出時の施設基準の留意点を解説した。
 オンライン診療料については、受診歴や特定の管理料等の算定など該当患者に関する制限や、再診料、在宅患者訪問診療料を算定する月は算定できないなど、請求上の要点をフローチャートをもとに解説。緊急時の診療体制の確保、利用可能な情報通信機器等の取扱いについては、今後厚労省から通知されるガイドラインや疑義解釈で内容を確認するよう注意を促した。これに関連して、電話等による再診が整理され、定期的な医学管理を前提として行われる場合には算定できなくなることが明確化され、今後は緊急性等の算定要件について考慮する必要があるとした。

歯科との連携で新設点数

 医学管理では、歯科医療機関との情報連携に対し新設された「診療情報連携共有料」について解説した。別の歯科医療機関からの求めに応じ、患者に係る検査結果、投薬内容等の情報を文書で患者または歯科医療機関に対して交付することが要件となる。診療情報提供料のように他医療機関での診療の必要に応じて診療情報を提供するものではなく、歯科治療上の必要性から情報を求められた場合に算定可能と算定要件の違いを説明した。
 在宅医療では、複数医療機関による訪問診療が可能になったことや、医療機関に併設する介護施設等の入居者へ訪問診療した場合、さらに低報酬となる点数が新設されたことを解説。また、在宅患者訪問診療料(機砲裡韻任蓮∈濛陬拭璽潺淵襯吋加算に「人生の最終段階における医療・ケア決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ患者、家族と話し合うことが要件に加わっており、4月以降の対応の必要性を強調した。

施設基準・届出事項の管理に留意を

 入院点数では、一般病棟入院基本料の再編について説明した。
 急性期一般入院基本料と地域一般入院基本料とに区分され、一部の入院料を算定する病棟では従前の「重症度、医療・看護必要度」の評価票気函■庁丕奪如璽燭魍萢僂靴伸兇里い困譴を選択する。また「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合は届出要件の変動特例が適用されない等の基準管理について留意を求めた。
 療養病棟入院基本料では、従前の褥瘡評価実施加算が褥瘡対策加算に名称変更され、点数も2区分に再編。患者ごと、1日ごとに評価を行い、前月実績との比較で、状態が悪化した場合は点数が1日単位で減額される仕組みとなることを説明した。
 届出に関する手続きの改定では、入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類の一部が様式9に統合されたことや、厚生局に届け出る書類が正副2通必要なものは、1通のみの提出に変更されたことが確認された。療養担当規則の改定で、分割調剤の処方箋様式の追加がされたものの、分割調剤を行わない場合は従前の様式を用いることを説明した。
 
 その後の質疑応答では、妊婦加算の算定時に患者が妊婦であることの確認が要件とされているが、確認方法については通知を待たなければ判断できず、現場での対応に不安な声が寄せられた。またベンゾジアゼピン系薬剤の長期処方について「一時的な休薬をした場合」「定期処方から頓服間の処方変更による算出期間のリセット」等、減算規定から除外されるケースについて質問が寄せられ、4月を目前に、新点数の改定内容に困惑する参加者の声が多数聞かれた。  


時 論


フリーアクセス制限にするな

 

 今次診療報酬改定・基本方針の最重点課題は「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」である。地域完結型医療の仕上げに向け「かかりつけ医機能を有する医療機関の初診を評価した」機能強化加算(80点)を新設した。地域包括診療加算等を届出した場合に加算できる。
 そもそも「かかりつけ医」は、医療法、医師法、健康保険法には規定されてはいない。
 社会保障審議会医療部会「医療提供体制に関する意見」(平成17年月8日)で「かかりつけ医は、国民が身近な地域で日常的な医療を受けたり、健康の相談等ができる医師」であり「患者の症状に応じて適切な医療機関を紹介すること」と記載された。
 ところが「社会保障制度改革国民会議報告書」(平成25年8月6日)では、フリーアクセスとは「いつでも、好きなところでと解釈されるものではなく必要な時に必要な医療にアクセスできる」という意味であり「かかりつけ医」はその「ゲートキーパー機能を備える」と変質させた。
 さらに社会保障審議会「議論の整理」(平成28年12月20日)では「かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担の導入を検討する」と明記した。
 今回、紹介状なし大病院受診時の定額負担の対象範囲が拡大(500床以上から400床以上に)された。また地域包括診療加算は、一患者につき一医療機関が算定する設定となっているが、患者向け説明書に他院受診時相談する旨を記載することとされた。
 「ゲートキーパー機能」を持たせた「かかりつけ医」への誘導はフリーアクセスを一層制限することになりかねない。さらにかかりつけ医以外受診時定額負担は登録「かかりつけ医」による人頭払い制に向かう危険性が懸念される。英国のNHSや米国のメディケアを想起させる。
 「かかりつけ歯科医」や「かかりつけ薬剤師」のあり方も議論されている。
 「かかりつけ医」は住民が安心して暮らせる「真の包括ケアシステム」を担うものである。フリーアクセスの制限、医療費削減の具とさせるわけにはいかない。


歯科診療報酬改定の留意点

 

 今次診療報酬改定の要点は、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進にある。
 改定項目を見ると、院内感染防止対策の実施を前提とした基本診療料(歯科初診・再診)が引き上げられたが、届出のない場合は減算となる。外来診療における基本診療料の減算は、医科の診療所にはなく歯科のみに導入されたもので、今後、診療報酬体系における減算(ペナルティ)の制度化への先駆けになりかねない。また、前改定で導入された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(か強診)については、外来環と歯援診の機能を併せ持つ体制があれば届出が可能であったが、今回の改定では、か強診、歯援診ともに体制の評価から地域連携に関する会議等への参加などの実績の評価へと施設基準の内容が大幅に引き上げられた。「か強診」の機能に新たに実績を課す項目を設けたことにより「か強診」とそれ以外の歯科診療所を区分する意図がさらに強まった。一方で、すでに「か強診」の届出をしている医療機関にとっても新たなハードルとなり、将来的には、医科で行われている「適時調査」が歯科でも行われ、締め付けが強化される可能性があり注視が必要である。
 さらに今次改定では、金属代替材料の普及の一環として、昨年12月からの下顎6番へのCAD/CAM冠の適用拡大に続き、高強度硬質レジンブリッジが導入された。予期せぬ脱離や破損などメタルフリーの安全性・安定性の向上は当然求められる。歯科医療の充実とそのための歯科医療費総枠拡大、診療報酬の抜本的引上げと改善は喫緊の課題である。それらを踏まえた上で、この機会にあらためてクラウン・ブリッジ維持管理料(補管)の在り方に関して十分な検討を行うべきではないか。
 4月から新たな診療報酬となるが、直近のものを除き施設基準の届出には猶予期間がある。地域における自院の立場、チーム診療で目指す歯科医療のスタンスをこの機会に検討し方向性を決めていく必要がある。


歯科新点数検討会

全道から900人以上が参加!

 歯科新点数検討会を3月18日に札幌、函館、旭川、帯広、北見、釧路の全道6カ所で同日開催し900人を超える会員、スタッフ、未入会員が参加した。各会場では支部役員の協力のもと、本会歯科部理事が詳細な解説を行った。さらに基本診療料の新基準に関連し院内感染防止に関する研修会を開催した。

 新点数検討会は、保団連発刊の「2018年改定の要点と解説」をもとに、今次診療報酬改定の各項目に関し詳細な解説と検討を行った。
 札幌会場では、野川本会副会長の挨拶に続き、保団連副会長として厚労省交渉を担当した田辺本会歯科部副部長が講師を務め「今次の歯科診療報酬改定は、新設の項目や施設基準が多いが、既存のものでも再編や変更が行われ非常に複雑で難しくなった」と強調。改定の項目に関しては、基本診療料への施設基準の導入、医学管理での口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下への対応、か強診の機能評価の強化、周術期口腔機能管理の推進、医科歯科連携、処方料算定、在宅医療での単一建物の概念導入などについて、解説部分や改定前後の表に加え、通知の変更箇所まで詳細な説明を行った。
 今回の改定では、基本診療料の初・再診料に新たな施設基準が加わったため、新点数検討会の終了後に「院内感染防止に関する研修会」を会員を対象に開催し小堀理事が講師を務めた。受講者には後日修了証が送付される。
 また、改定に関する質問の他に、今次改定に対する「診療報酬改善 私のひと言カード」のアンケート( 保団連) を実施。多くの感想、意見が寄せられた。
 今回、全道6カ所で開催した新点数検討会のうち札幌会場での解説ならびに改定事例の説明に関する音声ファイルを本会のホームページに掲載した。質問への回答、今後出される疑義解釈、通知等もホームページや本紙「歯科保険診療研究」(4面)に随時掲載の予定でありご確認をお願いしたい。

 


歯科臨床講演会

歯科はがん患者にどう向き合うか

講師:北海道がんセンター口腔腫瘍外科 医長 上田 倫弘 氏


 2月24日、独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター口腔腫瘍外科医長の上田倫弘先生を講師に迎え、歯科臨床講演会を開催。会員・スタッフなど42名が参加した。
 講演に先立ち野川副会長は「今回の改定は医科歯科連携がキーワードになる。高齢化で病気を持った患者が増える中、歯科医師はどのように患者に接するべきか、今日の講演を今後の診療に役立てて欲しい」と挨拶した。
 講演では、がん患者の特徴や歯科治療時における注意点等を、実際の症例や手術のビデオなども交え説明。日本では、先進諸国に比べ口腔がんに対する国民の意識が低いため発見が遅れ、罹患者も増加傾向にある。そのため、担癌状態あるいは治療後に歯科を受診する患者も増えている。また、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)に対する見解もポジションペーパーに基づき述べ、歯科医師はこれまで以上に口腔を通して全身の健康管理に努めるべきとした。
 参加者からは「最新のがん治療の話を聴けて大変勉強になった」「BP系製剤を使用中の患者の治療の参考になった」「大変な治療に携わっている先生に感謝の気持ちです」などの感想が寄せられ大変好評であった。
 講演後には田辺歯科副部長より、平成30年診療報酬改定に関する直近の情報について説明があった。今回は医科歯科連携関連の新設項目等も多く「非常に複雑で難しい改定となっているため、ぜひ新点数検討会に参加して欲しい」とした。


細分化・複雑化でより難解に
厚労省が30年度診療報酬改定で説明会

 

 厚生労働省は3月5日、地方厚生局の職員等を対象に平成30年度診療報酬改定説明会を開催した。保険局の迫井医療課長は改定概要の説明で「人生100年時代を見据えた社会の実現、地域包括ケアシステムの構築、制度の安定・持続性の確保」の3つの基本認識を踏まえ、人口動態など社会環境の変化などへ必要な対応を図ったと改定目的を解説。続けて点数告示、通知をもとに個別項目に関する解説と質疑応答が行われた。

  今次改定で大幅な再編が行われた急性期の入院料では、現行の一般病棟7対1及び10対1と、新設される急性期一般入院基本料の届出要件の相違点や、経過措置等が説明された。急性期一般入院料1は現行の7対1相当とし、急性期一般入院料2から7は看護配置10対1とした上で重症度、医療・看護必要度に応じて細分化された。
 また、重症度、医療・看護必要度も現行の評価方法を気箸掘⊃靴燭烹庁丕辰裡釘禿合ファイルを用いた兇良床舛魏辰病院が任意で選択可能としている。なお、患者割合が細分化されたため「3ヵ月を超えない期間の1割以内の一時的な変動は変更不要」の規定は適用されないこととなった。基準を下回る場合は直ちに変更の届出が必要となるため、これまで以上に患者割合に関する病棟管理には注意を要する。また、気鉢兇倭択、変更ともに自由であるが、変更時期は4月か10月の年2回に限られることも示された。

オンラインの取扱はガイドラインで明示

 外来ではオンライン診療に関する説明に質疑が集中した。
 通信機器等の具体的な通信手段などは、月内に示される「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン」に沿い改めて事務連絡等で示すと説明した。その他の質疑では、同一医療機関の医師2名が交代で行う場合は算定不可となること、離島などに居る患者で30分以内に診察できない範囲も算定不可と説明した。対象者は介護施設など住宅形態を問わず可能であるが、あくまでも1対1の診療が必要で、1対多で診療するケースは不可としている。
 また、オンライン診療料の新設に伴い、電話等による再診も対象が絞られた。緊急性が求められ、定期的な医学管理を前提とするものは除外することが明文化された。
 オンライン診療を通じて慢性疾患等の指導・管理を行う、オンライン医学管理料は、特定疾患療養管理料等と併せて算定することが要件とされているが、在宅自己注射指導管理料などを算定するため、実際に特定疾患療養管理料を算定しない場合でも、相応の診療が行われていれば算定可能とした。さらに、在宅患者に算定するオンライン在宅管理料については、在宅時医学総合管理料の加算点数となるため、オンライン診療のみの月では算定できず、訪問診療料及び在医総管の算定とセットであることが改めて示された。

複数医療機関で訪問診療可能に

 在宅医療では、主治医の依頼を受けて他の医療機関が訪問診療を行う場合の点数が新設された。在(施)総管等を算定する医療機関の依頼を受けることが要件で、6ヵ月を限度に複数の医療機関から訪問診療を受けることが可能となる。依頼を受けた診療科でなければ診療が困難なケースなどは、6ヵ月終了後さらに6ヵ月間訪問診療を更新継続できる。皮膚科に褥瘡治療や泌尿器科に尿路管理を一時的に依頼する場合等が想定される。ただし、依頼を受けた医療機関側では継続的に治療を行っても在(施)医総管は算定できない。

抗菌薬の適正使用では一部緩和も

 抗菌薬の適正使用の推進として、小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料に小児抗菌薬適正使用支援加算を新設し、地域包括診療加算等の算定要件にも抗菌薬の適正使用の普及啓発が加えられた。
 1月に出された「個別改定項目」の中では「抗微生物薬適正使用の手引」に則した治療手順等として示される予定であったが、長崎県保険医協会はじめ保団連が、診療報酬による一律の強制は裁量権の侵害と重症化への危惧があるとし、会員に緊急アンケートを実施するとともに、その結果をもとに厚労省に要請交渉を行った。これを受け通知案では「手引を参考に」と一部表現の緩和が図られている。
                   ◇ ◇ ◇
 なお、4月からの施設基準に係る新規、変更の届出は、北海道厚生局に4月16日までに受理されれば4月1日から遡って適用となる。また、今次改定に伴うQ&A(事務連絡)は月末に発出予定となっている。


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