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市立札幌病院問題に関する本会活動の総括

 

 市立札幌病院救命救急センターにおける歯科医師の医科研修に関わる裁判に関し、平成21年7月23日、最高裁判所は松原医師の上告を棄却、初公判から約8年に及ぶ裁判が終結した。本件への支援活動に関し、本会の組織活動をあらためて総括する。

 

<目次>

(1)裁判に至る経緯
(2)「松原医師と医科研修を支援する会」発足
(3)裁判の争点と判決
(4)本会の対応と組織活動
(5)本件に関する審理および判決に関して
(6)ガイドラインの策定について
(7)最高裁判決後の動き
(8)本会の対応と組織活動を振り返り
(9)関連資料
 ・北海道保険医会 理事会、歯科部担当理事会での協議
 ・北海道保険医新聞記事
 ・全国保険医新聞記事
 北海道新聞記事

 ・「松原医師と医科研修を支援する会」設立趣意書小冊子(PDF)
 ・歯科医師の救命救急研修ガイドライン(PDF)
 ・支援する会からの報告書(PDF)
 ・松原医師から支援する皆様へのお礼(PDF)
 ・弁護団報告書(PDF)
 ・保団連第42回定期大会発言通告



(1)裁判に至る経緯

 平成13年6月5日 道新朝刊に突然「歯科研修医が専門外治療」の記事が掲載され、北海道と札幌市保健所が合同で市立札幌病院救命救急センターの事情聴取と調査を開始。同年10月、札幌市が研修指導医である同センター部長の松原医師と歯科口腔外科研修医3人を医師法違反の容疑で札幌中央警察署に刑事告発した。
 平成14年1月、道警札幌中央署は、松原医師と歯科口腔外科研修医3人を医師法第17条違反の疑いで札幌地方検察庁に書類送検。同年2月、札幌地方検察庁は歯科医師3人については起訴猶予処分としたが、研修指導責任者の松原医師は歯科医師に歯科疾患以外の患者を対象として研修させていたことが医師法第17条違反に当るとの容疑で起訴した。


(2)「松原医師と医科研修を支援する会」発足

 当初、書類送検されその後不起訴となった歯科研修医は、当時、北海道大学歯学部口腔外科に在籍していたため、同医局及び同窓会が中心となり弁護士を含めた組織として、平成14年2月8日「松原医師と医科研修を支援する会」を発足。松原医師の無罪と歯科医師の医科研修の確立を目標に活動が開始された。


(3)裁判の争点と判決

■ 一審 (札幌地方裁判所)

<争点> 検察側は「センターで行なわれた歯科医師の医療行為が、医師以外の医業の禁止を定めた医師法第17条に違反する」としたが、松原被告と弁護団は「十分な研修体制での医師の監督下における医療行為には違法性はなかった」と主張した。

<判決> 平成15年3月28日、裁判長は「指導医の指導・監督下といえども各行為は歯科医師自身の医行為といえる」とした上で、「たとえ歯科医師の手技が熟達していたとしても、歯科に関する患者以外に医行為をさせたことは医師法違反に該当する」とし、歯科医師の救急研修の必要性を認めながらも「現在の法体系では参加型研修は認められない」として、「罰金6万円」とする有罪判決を下した。被告側は直ちに控訴した。

★ 厚労省が「歯科医師の救命救急研修ガイドライン」公表

 本件を受けて、全国の多くの医療施設で歯科医師の救急研修が中止され混乱が生じたことから、厚労省は「歯科医師の救命救急研修ガイドライン」(以下、GL)の策定に 着手し、平成15年9月に公表した。そのなかで、医師の指導や介助があれば違法性は問われないとする研修の範囲や方法を初めて示した。

■ 二審(札幌高等裁判所)

 平成16年2月の二審初公判で弁護側は、控訴審での(1)GLの合理性の検証(2)救急研修のあるべき定立(3)GL公表後の研修の実態(4)各行為の基準への当てはめについて積極的な司法判断を強く希望し、前年、厚労省が策定したGLを証拠申請し受理された。
 平成17年5月、札幌高裁は「公訴事実各行為のGL基準への当てはめにより違法性の有無を判断する」という方針を決定した。

<争点> 弁護団は「あらためて歯科医師の救命救急研修が社会の強い要請であり、全身管理や救急対応能力を身につけた歯科医師を養成することが医療機関の重要な責務であること」「本件研修が指導医の指導監督の下で安全に行われたものであり、正当行為として違法性が阻却されること」「研修医の行為は救命救急研修GLの要件をも充足しており、同GLに照らしても違法性はないこと」を訴えた。これに対し検察側は「そもそもGLにも合致しない」と反論した。

<判決> 平成20年3月6日、裁判長は救急研修の必要性は認めながらも法的な資格の違いを適用し、「歯科医師には医師と同様の研修は認めない。歯科医師の救命救急研 修においてはGLを厳格に適用しなければならない」とし、被告側の控訴を棄却した。被告側は直ちに上告した。

■ 最高裁

<判決>
 平成21年7月23日、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は上告を棄却。
 被告側は「医師法の医業の概念は不明確だ」と主張するも、裁判長は「不明確と言うことはできず、実質は法令違反、事実誤認の主張であり、憲法違反などの上告理由に当たらない」とし上告を棄却。罰金6万円の一、二審判決が確定した。


(4)本会の対応と組織活動

 本会は、事件発生当初より歯科部を中心として状況把握に努め、本件が歯科医師の医科研修に重大な影響を及ぼす恐れがあること、ひいては歯科医療全体の問題に発展する可能性があること等の理由から、早期に全面的な支援を決定。裁判当初より、松原医師の無罪獲得と歯科医師の医科研修の確立を求め医科歯科一体の組織体制での支援活動を会員に呼びかけた。その結果、支援の輪は道内の会員のみならず保団連並びに全国の保険医協会・医会に広がり、さらには他の医療関連団体と共に歯科医療の特性と医科研修の必要性を広く一般国民に訴えた結果、歯科医師の研修のGLの早期策定という一定の成果を得た。以下に本会の具体的な組織活動の内容を示す。

■ 全面的な支援に関する組織内対応
 本件における対応窓口を歯科部として、医科歯科の担当理事が「支援する会」と密接な情報交換を行い、裁判の進展状況や支援の状況等の把握に努めた。また同時に保団連を通じ厚労省や検察庁など行政側の状況把握にも努め、歯科部会および理事会、理事支部長会で綿密な報告、協議を行い具体的な対応に努めた。

■ 支援する会との信頼関係の構築
 本会から支援する会へ担当理事の派遣を行い、信頼関係の構築と維持に努めた。また、裁判の開始および一審判決後には、松原医師と支援する会役員を本会に招き、裁判に至る経緯および研修体制へ及ぼす影響に関し説明を受け、全面的な支援を訴える機会を設けた。

■ 保団連ならびに全国の協会・医会への支援活動への協力の要請
 本会として、保団連理事会、同歯科理事会に対し組織的な支援活動を要請し、全国の各協会・医会への積極的な協力の働きかけを要請した。

■ 意見書、嘆願書の送付
 当初、本件が報道され起訴の対象となっていた関係者に関して、検察庁に対して起訴しないよう本会として要望書を送付するとともに、個人レベルでも同様の主旨の要望書を提出する呼び掛けを行い、複数の医科歯科の理事者が賛同、協力した。

■ 金銭的および人的な裁判支援の呼び掛け
 裁判の公判維持に要する経済的支援について、会員に協力を呼びかけると共に、実際の公判における傍聴への積極的な参加を呼びかけた。

■ 会員への情報伝達
 各公判には担当理事、事務局が毎回傍聴・取材に出向き、本会の機関紙を通じて会員に対し本件が及ぼす医療への影響の重大性、医科歯科一体の組織的な全面支援の必要性を訴えるとともに、裁判の方向性、公判の進展状況、全国の支援活動、一審、二審から最高裁判決に至る関連情報の詳細かつ迅速な提供に努めた。


(5)本件に関する審理および判決に関して

 本件に関する裁判では、現行法下での歯科医師の参加型研修の是非および研修の管理責任が問われた。
 一審判決を受け、弁護側は「GLの法的位置づけ」について徹底的な司法判断を求める新たな戦略に出たが、そもそもGLは本件が起きてから厚労省が策定したものであり、公判中に一度も法廷で議論されることがなかった。このことが結果的に二審以降の裁判全体の方向性を決定づけることになり、事件を機に新たに作られた基準が遡って過去の事例に適用され判断の材料になることとなった。
 あらためて本件では、「研修」と「医業」の解釈が争点になった。松原医師と弁護団は、歯科医療現場での救命救急医療の重要性ならびに、そのために必須となる参加型研修の合法性を訴え続けた。上告が棄却されたことにより、「研修といえども医業と歯科医業は区別される」「たとえ指導医の指導の下での研修であっても、歯科医師が医師と同様の立場で歯科以外の疾患の治療を行えば、『医業』を行ったとみなされ、医師法に違反する」との司法判断となった。
 その一方で、長年にわたり歯科医師の救急医療の研修体制や関連する制度を整備することなく、現場の裁量に任せて研修を容認してきた厚生労働省の説明責任が問われることがなかったのは甚だ遺憾と言わざるを得ない。


(6)ガイドラインの策定について

 本件に関し、一審公判中の平成15年9月には厚労省が「歯科医師の救命救急研修ガイドライン」を公表した。これにより、一定の制限がありながらも参加型研修が合法化された。
 GLの策定は、これまで何らの基準もなく「原則見学しか許されない」とされていた従来の歯科医師の救命救急研修について、「参加型の研修を認める」という点で画期的な方向転換であり、本会を含めた関連団体が組織をあげて積極的に活動と行った成果といえる。しかし、控訴審では、参加型研修における指導医の裁量権をまったく認めないとの厳しい判断基準にもなった。


(7)最高裁判決後の動き

 最高裁判決後、本会に対し、松原医師と医科研修を支援する会より「裁判経過のご報告と御礼」、松原泉医師より「支援の皆様へのお礼」、および松原泉弁護団より本件に関する「報告書」(平成21年10月1日付書簡)が届き理事会にて報告された。
 さらに11月24日には支援する会事務局長の小林一三氏が本会を訪れ、第7回常任理事会において裁判の判決に至る経過報告を行い、長きにわたる本会の支援活動に対し感謝の言葉を述べられた。
 本会では、最高裁判決後も支援する会と連絡を密に行い、あらためて支援する会、松原医師、当時の研修に関係した歯科医師各氏、裁判の取材を続けられた杉山正隆保団連理事に個別取材を行い、それぞれの立場から本件に対するコメントを寄せていただき、総括記事を機関紙、ホームページに掲載した。
 さらに、平成22年1月の保団連第42回定期大会では、現行のガイドラインの改善と関係法令の現状に合わせた抜本的見直しの必要性を強く訴えた。


(8)本会の対応と組織活動を振り返り

 本会は、市立札幌病院での歯科医師の医科研修に関する裁判に対して、医科歯科一体の組織をあげて全面的な支援体制で臨んだ。
 初公判から8年に及ぶ裁判を終えて、残念ながら松原医師の無罪を勝ち取るという願いは叶わなかったが、公判の過程で不完全ながらもガイドラインが策定されたことは、関係者から一定の評価が得られるものとなった。しかし、歯科医療の実態や口腔外科等の全身管理を伴う医療の必然性に対する理解を得られないままでの公判審理や判決の内容に関しては未だ納得のいくものではない。
 本会は、研修現場に残された多くの問題解決のために、現行のガイドラインをより現実に即したものへと改善し、参加型研修がより良い方向に進むことを切望する。同時に医療の充実と発展に欠かすことの出来ない歯科医師の医科研修の必要性を粘り強く訴え、国民医療の充実が一層図られるよう関係法令の抜本的見直しを訴えるなど、今後も継続して活動を続けて行く。
 あらためてこれまでの支援活動にご理解とご協力を頂いた本会会員ならびに関係各位の皆様に厚く御礼を申し上げる。 


(9)関連資料

北海道保険医会 理事会、歯科部担当理事会での協議

北海道保険医新聞記事

全国保険医新聞記事

北海道新聞記事

「松原医師と医科研修を支援する会」設立趣意書小冊子(PDF)

歯科医師の救命救急研修ガイドライン(PDF)

支援する会からの報告書(PDF)

松原医師から支援する皆様へのお礼(PDF)

弁護団報告書(PDF)

保団連第42回定期大会発言通告

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