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    患者の負担増や情報流出の恐れ 「社会保障と税の一体改革」最終案、医療関連では 

    後期高齢者医療制度が開始 定額制 診療の質低下懸念 担当医で医療費抑制狙い

    再診時「5分ルール」撤廃を 道保険医会、厚労相に緊急要請提出へ    

    混合診療解禁反対 道保険医会が大会

 



在宅医療「同一建物 訪問診療料減算、医師・利用者双方に不合理」

北海道医療新聞2015年新春号−

 26年度診療報酬改定で、同一建物居住者への訪問診療料が大幅に引き下げられた。訪問診療を行う医療者だけでなく、施設や患者にとっても深刻な影響を及ぼしている。施設や医療者にアンケート調査を行い、問題点等の分析に取り組んでいる道保険医会の荒木啓伸政策部長に現状と課題を聞いた。

 今回の改定による引き下げは、「在宅医療の不適切事例の適正化」が目的とされている。グループホームやサ高住、特養、有料老人ホームなどで訪問診療のニーズは高く、多くの医師がまじまに取り組んでいるにもかかわらず、施設患者の訪問を縮小するケースも出ている。

 当会では、訪問診療を受ける、利用者側の影響について、道内で施設介護を提供する事業所を対象にアンケートを行った。その結果、予想以上に困惑し、不都合を感じていることが浮き彫りとなった。

 改定後は、同一建物の複数利用者に対し、まず同一日に診療を行い、その後、一日後、一日に一人ずつ振り分けているケースが比較的多いようだ。その場合、施設側にとっては医師が頻繁に来ることになるので、安心感につながっているのではと考えたが、現実にはそういった意見はほとんどなかった。むしろ、訪問回数が増えたことで、「ばらばらに来られるとスケジュール調整が難しい」「訪問間隔が利用者ごとに異なり不公平感が生じる」「レクリエーションなど利用者の活動に支障が出る」などの意見が多く、スタッフや患者の負担増につながっていることがわかった。

 また、訪問診療自体が中止となった例もあり、比較的医療費資源の豊富な札幌市内では、「訪問診療の体制に変更・変更の打診があった」は55%だったが、市外は78.4%とその差が大きく出た。今後の不都合解消の見通しについても、「見通しが立っていない」との回答が市外の方が多く、より深刻な状況にあるといえる。

 医療施設に対して行ったアンケートでは、在宅医療を展開している施設の32%で、居宅系施設に入居している患者割合が9割以上を占めていた。収入への影響は、4割減が35%で最も多かった。今後の対策は、「個別訪問の増加」「特になし」「施設患者の縮小」の順に多く、影響の大きさがうかがわれた。

 「効率よく個別訪問できればよい」とする考えがあるが、本道は距離や気候の問題もあり、スケジュール通りに訪問が進まないことも多く、現実的ではない。特に医療資源が限られる地方では採算度外視で続けなければならない。

 今回の減算措置は、不適切事例の適正化という本来の目的を逸脱して、医師の疲弊や施設運営上の不合理といった問題を招き、最も重要な「在宅医療の継続性」が失われつつある。当会では、利用者や患者がこれだけ困っているのだという事実を広く知ってもらい、国に見直しを求めていきたい。 



患者の負担増や情報流出の恐れ

「社会保障と税の一体改革」最終案、医療関連では

―北海道新聞 2011年9月21日―朝刊
(北海道新聞社承諾 D1109-1203-00007748)

荒木啓伸さん
 
 

 政府・与党が6月にまとめた「社会保障と税の一体改革」最終案には、財政再建などのため医療関連でも多くの変更点が盛り込まれた。中でも入院日数の短縮や定額負担の導入、共通番号の創設などは、患者の負担増や情報流出の恐れも指摘されている。北海道保険医会政策部長の荒木啓伸(ひろのぶ)さん(精神科医)に問題点を聞いた。(塚本博隆)

定額負担の導入 通院控え招く懸念

 現在の全国の一般病床の平均入院日数は20日程度。最終案では、病院・病床機能の分化や効率化でこれを短縮し、2025年の時点で、肺炎や骨折などを治療する「一般急性期」の病床が9日、がんなど高度な治療を行う「高度急性期」の病床は15〜16日とする。

 入院日数短縮で治療にかかる1日当たりの作業量が増すため、医師や看護師を増やし在宅医療も充実させる。しかし荒木さんは「患者が完全に治らないうちに退院させるケースが出てくる。看護師の労働密度は今でも高いが、早く退院してもらうためさらに負担は増す」と懸念する。

 一方、受診時定額負担は、高額療養費見直しの財源として導入。現在、医療費の自己負担は小学校入学前までが2割、小学生〜69歳が3割、70歳以上が1割だが、一律100円程度を上乗せし、残りが自己負担と保険給付分となる=図下=。

 荒木さんは「受診1回につき100円でも、乳幼児や高齢者、歯科では何回も通院する人がいて負担は大きい。導入の狙いが『外来受診の適正化』とはいえ、患者が必要な受診を我慢した結果では本末転倒だ」と指摘。さらに当初は100円でも「段階的に増えていく可能性は否定できない」という。

共通番号の創設 給付額制限可能に

 医療や行政手続きの効率化などのため、情報通信技術(ICT)の活用、社会保障・税の共通番号制度「マイナンバー」の導入も最終案に盛り込まれた。

 ICT活用は、電子カルテ化して病院同士で診療情報をやりとりするなど、患者情報を複数の医療機関が共有し、重複する検査や薬剤投与を避けるのが狙い。マイナンバーは国民一人一人に個別番号を割り振り、健康保険証や年金手帳、介護保険証の機能をまとめたICカードを配布。15年から段階的に利用を始める。行政手続きの簡素化や、問題となった年金未納などを防ぐことが可能となる。

 医療面では、転居しても継続的な健康情報の確認が容易になる、行政上の手続きで診断書添付が省略できる−などの利点があるが、一方で健康状態などの個人情報の流出や、不正アクセスなどの恐れもある。荒木さんは「患者情報の共有は大切だが、情報のセキュリティーには十分な注意が必要」と強調する。

 マイナンバーは、小泉政権時代にも検討された「社会保障個人会計」の導入につながる可能性も指摘されている。医療、年金など一人一人の社会保障給付総額を国が把握し、給付額に総枠を定めて制限することも可能になる。荒木さんは「個人レベルで社会保障費の総額が制限されたら、本当に必要なサービスを受けられなくなる人が出てくる」と懸念している。


 

後期高齢者医療制度が開始 定額制 診療の質低下懸念 担当医で医療費抑制狙い

 
― 北海道新聞 2008年4月24日 ―朝刊



4月から始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が医療現場y患者に不安や混乱を巻き起こしている。同制度に伴い、外来の診療報酬に導入された「後期高齢者診療料」は定額制のため、診療を制限する可能性があるなどとして懸念の声が噴出。一方、保険料負担が新たにのしかかるお年寄りは、受診控えや生活費の切り詰めなど、やりくりに追われている。

 後期高齢者診療料の対象は、糖尿病や高血圧など慢性の病気を抱えた75歳以上の外来患者。1人の担当医が患者の同意を得た上で、他の医療機関での診療予定などを含めて診療計画を作り、総合的、継続的に診療する。
検査、画像診断、処置などの部分の診療報酬は、それぞれかかった料金を積み上げる従来の出来高払いでなく、月6000円(患者負担は1割で600円)の定額払いになる。ただ、再診料や投薬、注射、リハビリなどは新しい定額払いに含まれないので、別に医療費がかかる。
医療機関が新しい定額払いか、従来通りの出来高払いかを選べる。厚生労働省によると、医療機関が新しい定額払いを取るには届け出が必要だが、届け出後も出来高払いを選べる。一方、患者も担当医や医療機関を変えられる、という。
高齢になると、複数の病気を抱え、何カ所もの医療機関にかかる人が少なくない。検査や薬などの重複を避け医療費を抑えるのが、狙いとされている。

医療現場 検査や治療も手控えか
 札幌市北区で内科診療所を開く赤倉昌巳さん(72)は、後期高齢者診療料が取れる医療機関の届け出をしていない。「患者が月2回来院すると、定額の6000円を超える可能性がある。だからと言って診ないわけにはいかない。医師の社会的使命と経営とのはざまで悩む人も現れるのでは。一医師が複数の医療機関にかかる患者を把握するのも、現実には無理」と指摘する。
同市中央区で内科・小児科医院を開く松家(まつか)治道さん(60)は、届け出はしたが「使わない」と断言する。「外来診療は患者との話し合いで進む。一つずつ説明し、納得して検査や治療を受け、それに応じたお金がかかる−。この方が定額払いより、患者に分かりやすく、コスト意識が働くはず」と話す。
例えば、血液検査は項目にもよるが、約3000円かかるという。「医療機関が6000円で収めようと、他の検査などを控えたとすれば、早期発見や十分な治療ができない可能性がある」と懸念する。
医療現場での反発は全国に広がる。全国保険医団体連合会によると、茨城など21府県の医師会が、後期高齢者医療制度の撤回や、新しい定額払いを「使わないこと」などを、会員に呼びかけている。
道医師会の畑俊一副会長(64)は「会の統一見解は出していないが、役員のほとんどが1人の担当医制や定額払いは反対だ」と話す。道保険医会は19日の理事会で「届け出、算定は慎重に」との方針を決めた。小谷(おだに)俊一会長(62)は「今後、一般患者に定額払いが広がる可能性があり、きめ細かい医療ができない恐れもある」などと危惧(きぐ)する。
外来の定額払いでは、1996年に老人慢性疾患外来総合診療料が設けられたが、「要件が複雑で現場に混乱がみられる」などの理由で、6年で廃止になった。
道社会保険事務局によると、道内の診療所約3400カ所のうち新しい定額制を届け出た医療機関は約120(11日現在)。医療関係者は「4月から実際に取る施設はわずかでは」とみる。
【写真説明】診療所の待合室で新制度の開始を告げるポスター。新たな診療料に医療現場からも懸念や批判が広がっている

 

 


 

再診時「5分ルール」撤廃を 道保険医会、厚労相に緊急要請提出へ

―北海道新聞 2008年3月26日―

 4月からの医療費の診療報酬改定で、再診の際、医師が患者への診察や説明に五分間以上かけることが再診料加算要件に盛り込まれたことについて「北海道保険医会」(小谷俊一会長)は25日、時間枠撤廃を求める緊急要請書を舛添要一厚生労働相に提出することを決めた。26日にも送付する。「五分ルール」は厚労省の医療費削減策だが、大阪や神奈川など各地の医師団体が「医療の質は時間で計れない」と反発している。要請書は、五分間の時間枠が「国の医療費抑制策により引き起こされた医療崩壊を加速させる」との懸念を表明し、「(医師が)要件を満たすため時間を気にし、カルテ記載に追われる」などの弊害を訴えている。

 厚労省は今回の改定で、病状や療養上の指導などを要件に定め、必要な時間をおおむね五分と定めた。再診料加算は520円。五分に達しなければ、加算は認められず、病院の収入減につながる。神奈川県保険医協会の調査では、五分ルールの導入で、同県内の中小病院(200床未満)の三割が年間約1000万円の減収になる。

 

 

混合診療解禁に反対 道保険医会が大会

 
― 北海道新聞 2004年11月6日―朝刊


小泉純一郎首相が医療制度改革の一環で打ち出している保険診療と保険外(自由)診療を併用する「混合診療」の解禁に反対する道保険医会(木村健修会長、三千七百人)の総決起大会が五日、札幌市内で開かれた。
医師、歯科医師の会員や患者団体などの約八十人が参加した。
木村会長は「混合診療を解禁すれば、国民皆保険制度が崩壊する。低所得者が診療を受けられなくなる恐れもある」などと述べ、解禁反対を訴えた。
 
 

 
 
 
 
 

指導監査の充実 強化は法律無視
厚労省提案に抗議  道保険医会

 
―北海道医療新聞 2010年10月8日
 
 
 
 
 道保険医会(小谷俊一会長)は、「厚生労働省・政策コンテストに関する声明」を公表。全職員を対象に七月実施した同コンテスト(応募八十一件)で、二次選考の七件に残った保険局医療指導管理官による「保険医療指導監査部門の充実強化」が、指導・監査に「犯罪手法を持ち込むべき」という法律を無視した提案として、抗議するとともに同省内で遵法が図られることを要求した。  健康保険法等では、監査における調査、質問または検査についての権限は「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」と明記されているにもかかわらず、提案者は指導・監査の関連法令を意識的に無視していると指摘。  行政指導を犯罪捜査と同列視し、刑事訴訟法に照らしても逸脱した提案で、保険医を指導の段階から犯罪容疑者扱いしているとした。  さらに政策コンテストとはいえ、一次選考を通過するような同省のあり方には疑問を持たざるを得ないと批判している。
 

 

 


明細書 「撤廃」「必要なし」96% 作業煩雑、コスト等問題

― 北海道医療新聞 2010年8月6日

 道保険医会(小谷俊一会長)は、明細書発行に関するアンケート調査を実施。医療機関の9割近くが「既に発行」、または「今後発行予定」としている一方、98%は「義務化を撤廃」や「発行の必要なし」と考えている、との結果をまとめた。

明細書発行は、今次診療報酬改定により原則、レセプト電子請求を行っている医科診療所が8月、歯科診療所では23年5月から義務化となった。同会は医療機関にどのような影響が出ているかを把握するため、医科・歯科会員を対象に6月下旬―7月上旬に調査し、233施設から回答を得た。 明細書の発行義務化の対象となる、レセプト電子請求(準備中を含む)は約八割。これに対して、「義務化されており既に実施」が47%のほか、「義務化ではないが行っている」「義務化の期限までに行う予定」を合せると、87.6%が体制を整えている。 発行に伴う問題点(複数回答)を聞いたところ、「事務作業の煩雑化」が164件と最も多く、「患者への内容説明」「機器の購入・ランニングコスト」も百件超。義務化への意見では、「撤廃し希望者のみでよい」53.6%、「領収書のみでよく、必要なし」41.2%となり、肯定的な意見は4%弱にとどまった。

 

 


 
 
 

北海道医療新聞―2009.2.20号・1面―
 
 道保険医会(小谷俊一会長)は、道内の市町村に−後期高齢者保険料普通徴収者の滞納者数調査−を実施、20年9月時点での滞納率は6.796%との結果をまとめた。道内180市町村のうち回答があった125市町村の「普通徴収者−(無年金者や年間の年金受給額18万円以下の者など)数に占める滞納者数の割合を調査。滞納率は20年7月が6.0%、8月が6.2%と、月を追って高まる傾向にあった。
 同様な調査は保団連も全国の保険医協会・保険医会を通じて実施しており、27 都府県・587 自治体の状況は10.7%(20年9月)と高く、同会では原則、滞納が1年続くと資格証明書が発行され事実上の無保険となるため、「医療機関の窓口で全額自己負担を求めることは、受診を阻害し、高齢者の命と健康を脅かす」と懸念。「差別医療を強いる後期高齢者医療制度を即刻廃止し、高齢者が安心して暮らせる医療制度をつくりあげることが必要」と主張している。
 
 

時間外要件撤廃を 医療側、患者双方に悪影響 道保険医会が要請書

―北海道医療新聞 2008.8.29号・1面―
 
道保険医会(小谷俊一会長)は、20 年度診療報酬改定で外来管理加算に設定された「概ね5分を超えて診察を行った場合」の要件撤廃を求める要請書を舛添要一厚労相に送付した。
同会実施の緊急調査によると、4月の同加算算定割合は改定前の3月に比べ診療所が9.7 ポイント減の 58.3%、病院も7.5 ポイント減の52.5%に減少。保団連の全国調査でも同様の傾向が明らかとなり、想定される減収額は厚生労働省の試算を大きく上回ると指摘している。
オンライン請求義務化撤回も
 同会では、医科歯科すべての診療報酬オンラインレセプト請求が、23年度から原則義務化されることに対して、「対応できない医療機関は廃業を余儀なくされ、意思不足がさらに加速し、地域医療が崩壊してしまう」と、方針撤回を求める要請書を道内選出の国会議員に送付した。
医療機関は機器の設置、維持費用や操作などで大きな負担が強いられる上、機械的審査や縦覧点検により保険者機能が強化され、医師の裁量権が狭められ日常診療の制限、診療の質の低下を恐れがあると懸念。
 患者の個人情報漏洩や、健診データの目的外使用も危惧され、会員に実施した意識調査では2割が「義務化に伴い開業医を辞める」と回答するなど、事態は深刻と訴えている。
 
 

 

「顔」 患者連携で良質医療を 道保険医会会長に就いた 小谷俊一氏

―北海道医療新聞 2007.6.29号・1面―
 
 
 
 
 
 
 
 
 「世界に誇る国民皆保険制度を守るとともに、市民の健康と保険医の生活安定を推進する」。副会長から本年度会長に就いた。
 欧米諸国と比べ、医師の絶対数が少なく、医療給付費も低く推移。長年にわたる医療費抑制政策の影響により、「医療機関の経営は相当に疲弊」と問題提起する。
 高齢化で高血圧等の慢性疾患患者が増える中、現行の診療報酬では十分に診療時間を割けず、医療の質低下を懸念。
 自己負担額を気にして受信抑制が起こり、「一番困るのは患者に他ならない」。こうした現場の実態を社会へ訴えていく。
 フォーラムや署名活動を通じ、従来から市民への啓発活動に力を入れている。「何よりも『無関心』が医療制度崩壊につながる」と危機感を持っており、日々診療の場でも地道なアピールが必要と説く。
 会は今年で発足57年。「保険医と患者の連携があってこそ、初めて良質の医療が提供できる」。この信念を貫き、全道の会員医師、歯科医師3,600人がスクラムを組み、活動を展開していく。
 昭和21年4月16日生まれ、札幌市出身。昭和大46年卒。札医大第1内科同門。北区・小谷内科医院理事長。
 

 

「リハ見直し」撤回を 道保険医会が厚労相に要請

―北海道医療新聞 2007.2.2号・1面―